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第112話

Author: かけるに
「私が再婚だったことも、以前は寿永さんと結婚していたことも、今日初めて知ったわけじゃないでしょう?なのに、どうして今さらそこまで取り乱すの?」

海渡は、自分の指先まで震えているのをはっきりと感じていた。

「そこまでして、俺の心を傷つけなければ気が済まないのか?」

梨沙は顔を上げ、彼の心を容赦なくえぐるように問い返した。

「傷ついたのは、あなたの心?それとも男としてのプライド?」

夫婦は互いの目を見つめた。

二人の瞳の表面には、まるで分厚い防壁が築かれているかのようだった。

どちらも相手の本心を読み取れない。

媚薬入りの香はまだ燃え続け、空気中の濃度はますます高まっていた。

海渡が口にした酒の作用も、激しくその身と心を焼いている。

これほど苦しんだことは、今まで一度もなかった。

鎮める方法は、すぐ目の前にある。

梨沙をベッドへ押し倒し、自分の下に組み敷き、獣のように何も考えず欲望のまま抱けば、この苦しみから解放される。

だが海渡は、ほかの男に抱かれた女を抱くことなどできなかった。

たとえ、その女が自分の妻であっても。

これから先の人生で妻を替えようなど、一度
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