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第583話

Author: 鈴木真知子
浩一郎は、掴んでいた髪を乱暴に突き放した。多恵子はどさりと床に崩れ落ち、激しい眩暈に襲われた。

「山口の件については、俺がきっちり始末をつける……だが、お前が長年俺を騙し続けてきたことは、まったく別の話だ。それだけは絶対に許さない!」

「浩一郎さん……本当に、本当にごめんなさい!謝って済むことじゃないのはわかってる!」

多恵子は床を這いずるようにして、浩一郎の足にすがりついた。

「貧しい家に生まれて、両親も早くに亡くして……十二歳のときには叔父に危うく手を出されそうになって……高校に入ってからは山口に……毎日が、薄氷の上を歩くような恐ろしい日々だったの。

こんな汚れた私を、浩一郎さんだけが本当に、心から大切にしてくれた……あなたに出会ったとき、私、生まれて初めて本当の恋をしたの。最初にあなたの顔を見たその瞬間に、絶対にこの人と一緒になりたいって強く思った……

だから、だから過去を隠してしまったの!浩一郎さん、誓うわ……この一生で私が本当に愛した人は、あなただけよ!もしこの言葉に一言でも嘘があるなら、外に出た瞬間にどんな天罰が下っても構わない!」

「お母さん!そんな恐ろしい
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