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第713話

Author: 鈴木真知子
一瞬、取締役たちが困惑したように互いの顔を見合わせた。

すると、一人の取締役が翔吾に向けてあからさまに媚びた笑みを浮かべ、真っ先に口を開いた。

「まったくです!これほどの不祥事があった以上、すぐにでも強力なリーダーに舵取りをしていただかなければなりません。この場にいる皆の意見をまとめるとすれば……北川さん、あなた以外にこの会社を率いる適任はいません!」

周囲の取締役たちも、すかさずその言葉に同調した。

「そうそう!北川さんが新会長に就任されるのが、文句なしに適任ですとも!」

彩葉は静かに、しかし揺るぎない表情でそのやり取りに耳を傾けていた。

異論はなかった。

権力に対する野心など、もとから彩葉の胸には微塵も存在しなかった。

自分がどれほど高い地位に就くかよりも、ただ純粋に研究開発に打ち込んで、母が生きていたころのターナルテックの輝きをもう一度取り戻したい――彼女の願いは、ただそれだけだったのだ。

孝俊が真っ当に会社を経営していてくれたなら、こんな泥沼の権力闘争には最初から加わりたくなどなかった。

それが彼女の偽らざる本音だった。

だからこそ、皆がこぞって翔吾を推し
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