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第4話

Auteur: おもちうさぎ
私はきっぱりと背を向け、聞こえてくる泣き声には聞こえないふりをした。

子犬を落ち着かせてから、これからの進路のことを思い出した私は、何かに導かれるように学にメッセージを送った。

【大学はどこ行くの?】

返事はすぐにきた。【東都海洋大学だよ】

私は【わかった】とだけ返信し、もし受かっても東都中央大学には行かず、すでに合格している東都海洋大学に進むことに決めた。

祖父にそのことを伝えようと階下へ向かうと、結人が梨花と一緒にユリの花束を抱えて入ってくるところだった。

こめかみがドクンと脈打ち、私は急いで階段を駆け下りた。

「出ていけ!」

私の言葉を聞いて、結人はついに堪忍袋の緒が切れたようだった。

「夏美!どうしてそんな風になってしまったんだ!

お前がさっき梨花にあんなひどいことを言っても、彼女は怒らなかった。それどころか、自分から謝りたいとまで言ったんだぞ!

梨花が半年もためたお小遣いでこの花束を買ったって知ってるのか!それなのに出ていけだなんて!」

その時の私は既にパニックになっていて、二人を外へ押し出そうとした。

「結人、おじいちゃんがユリアレルギーだって知ってるくせに!わざと持ってきたのね!」

私の言葉で、結人はようやく思い出したらしい。

「ごめん、花屋でこれが一番安かったから、急いでて……」

「出ていって!」

私は声を枯らして叫んだけど、祖父が書斎から出てくるのを止めることはできなかった。

一口吸い込んだだけで、祖父の顔は真っ赤に腫れ上がり、首を押さえて息ができなくなってしまった。

「救急車呼んで!」

救急処置室に着くと、私はいてもたってもいられずに廊下を行ったり来たりした。結人は私を見て、かける言葉もないようだった。

梨花がしくしくと泣いているのを見ると、結人はたまらず彼女を抱き寄せた。

「泣かないで。夏美のおじいさんは大したことないから」

「大したことない?」

私の目は血走り、まるで相手を食い殺さんばかりの勢いだった。

「結人、おじいちゃんが私のたった一人の親族だって知ってるのに、ユリの花束で殺そうとしたのね!

ユリが安いからって、梨花のくだらないプライドを守るために!

おじいちゃんの命を奪う気だったんでしょ!」

少しは申し訳なく思うかと期待していたのに、まさか結人があんなに落ち着き払っているなんて。

「夏美、今のお前、もう本当にヒステリー女だぞ」

その言葉は私をその場に釘付けにした。私にできるのは、梨花が目の前でひざまずくのを見ていることだけだった。

「ごめんなさい、本当にごめんなさい!治療費はいくらでも払うから。水商売で体を売ってでも払うから!」

ちょうどその時、梨花のことを聞いて駆けつけたクラスメートたちがその光景を見て、憤慨して彼女を立ち上がらせた。

「菊地さん、やりすぎじゃない?ただのアレルギーでしょ。薬を飲めば治るわよ、死ぬわけじゃないし」

「見損なったわ。金持ちだからって何してもいいと思ってるのね。井上さん、安心して。私たちは募金してでも、あなたにこんな思いはさせないから」

押し寄せる非難の声で、もう誰が何を言っているのか全く聞こえなかった。

それなのに、なぜか、結人の「こいつは話が通じない」とでも言いたげな表情だけは、はっきりと見えた。

私が一番助けを求めている時に、結人は他の人たちと一緒に私の敵になった。「お前のためなら世界中を敵に回す」と言ってくれたことなんて、とっくに忘れてしまったようだ。

全身から力が抜けていくのを感じ、私はよろけて倒れそうになった。

結人はとっさに私を抱きとめたけど、私は震えながら彼を突き放した。

「あなたなんて、いらない」

私はうつろな目で前を見つめ、体を丸めてもう一度繰り返した。「結人、私、あなたなんていらない」

結人は勢いよく立ち上がり、胸を激しく上下させた。

「夏美、そっちが言ったんだからな!今度は何日もつか、見ものだな!」

結人は仲間たちをぞろぞろと引き連れて去っていった。梨花がふと振り向いた時、その顔には隠そうともしない、勝ち誇った笑みが浮かんでいた。

私は気にせず、ただ「治療中」のランプをじっと見つめていた。

突然、入り口に二人の姿が現れ、人波をかき分けて私の方へ走ってきた。

「夏美!」

「夏美!」

二人の声を聞いて、私は堪えて切れずに、声を上げて泣いてしまったた。

この日から、かつて私の心を何よりときめかせた結人の姿は、私の未来から消え去った。

結人、絶対に許さない。

学は心配そうに私を抱きしめてくれて、光希も一緒になって涙を流してくれた。
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