Share

第201話

Author: 青ノ序
湊は5メートルもある巨大なケーキのそばで立ち止まり、朗らかな声で挨拶した。「本日は、妻の誕生日パーティーにお越しいただき、ありがとうございます。夫婦一同、心から感謝申し上げます。

妻とは幼馴染で、小さな頃からずっと一緒に育ってきました。深い絆で結ばれた相手です。

交通事故で半身不随になったときも、妻は私との結婚を選び、仕事を辞めて身の回りの世話をしてくれました。

妻は自分にとって永遠の宝物であり、命をかけて守り抜くべき存在です」

湊は綾の方を向いて言った。「じゃあ綾、ケーキを切ってくれる?」

綾はナイフを受け取ったが、すぐにケーキを切ろうとはしなかった。

「その前に、いつも私たちを見守ってくださっている皆さんに、どうしてもお伝えしたいことがあります」

綾が話し終えるか終えないかのうちに、海斗がどこからともなく駆け出し、湊の足元に飛びついて抱きついた。

海斗が口を開くより先に、綾は深呼吸をして、はっきりと声を上げた。「ご覧の通りです。夫には、私以外との間にできた子供がいます」

会場は一瞬で水を打ったように静まり返り、その後、どよめきが広がった。

「あの子、中野社長とそ
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 初恋と付き合ったら、車椅子の元夫が立ち上がった   第282話

    「離婚したら分かるはずよ」凪も馬鹿ではない。誠に対する信頼は既に崩れ去っていた。それに最初から誠など信じていない。信じられるのは自分だけだ。利得が確実に手に入るまでは、切り札を簡単には差し出さないだろう。「1週間あげるわ。その後には、SNSで離婚声明を出してもらう」凪は誠の腕を振りほどくと、起き上がって服を着た。誠は眉をひそめた。「もし従わなかったら?」「その時は、私が手伝ってあげる」凪は長い髪をかき上げ、誠に薄ら笑いを浮かべてから背を向けた。誠は凪のしなやかな後ろ姿を見つめ、冷酷な眼差しを向けた。地下駐車場で車に乗り込んだ凪だったが、これだけでは物足りないと感じ、綾の番号へ発信した。綾は知らない番号からだったが、そのまま応答した。「もしもし」「私よ、かしこまらなくていい」受話器から聞こえた苛立った凪の声を聞くや否や、綾は迷わず行動に移した。即座に切断し、着信拒否した。凪から良い話が来るはずがない。しばらくすると、別の番号からメッセージが届いた。【美羽さんが愛人の子だってことは知ってるわよ。その母親が汚い手を使ったこともね】【美羽さんを助けたければ、すぐに連絡しなさい】綾の心が重く沈み、すぐさまかけ直した。「何を望んでいるの?」凪がなぜその秘密を知っているのかは不明だが、それが真実であることは疑いようもなかった。凪は満足げに微笑んだ。案の定、お人好しの綾は釣られたのだ。偽善者ぶって、自分のことを聖女か何かと勘違いしているのか?「湊と離婚して、青木社長の名義にある二宮グループの株を全部譲り渡しなさい。さもなくば、美羽さんを社会的に抹殺する」自分の株と合わせれば、全体の49パーセントに達する。これを秘匿しつつ両親から2パーセント上乗せすれば、自分が二宮グループの筆頭株主になれるはずだ。凪は心の中で思惑を巡らせ、全てが手の中にあるような気分でいた。綾は眉をひそめた。凪は貪欲で、ずいぶんと厚かましい要求をしてくる。これまでの経験上、凪は利益を得れば大人しくなるような女ではない。条件をのんでも、毒蛇のように噛み付いてくることは目に見えていた。しかし、ただでさえ情緒不安定な美羽が、秘密を公にされたら最悪の事態になりかねない……杉本家は間違いなく、宗

  • 初恋と付き合ったら、車椅子の元夫が立ち上がった   第281話

    凪があそこまで図に乗っていられるのは、誠が関係しているからだ。美羽の予感通り、誠は病院を出るとそのまま車を走らせ、水月郷へと向かった。凪は大きな窓の前で絵を描いていて、白いキャミソールのワンピースは絵の具で汚れていた。静かに座る凪は、まるで何にも触れられない聖域のようにも見えた。しかし、キャンバスに描かれていたのは、血を流す恐ろしい骸骨で、背筋が凍るような絵だった。誠は視線をカルトンから逸らしたが、それでも、この時の凪がとても魅力的であることは認めざるを得なかった。まるで誘惑的な毒リンゴのようで、思わずかぶりつきたくなる。「凪、また何をするつもりなんだ?」誠は凪の背後に立ち、その真っ白で滑らかな肩に手を乗せ、身を乗り出して顎で彼女の頬を優しく撫でた。凪は顔をそらし、その手を避けた。「あっちへ行って」飛んできた絵の筆を避けようと、誠は慌てて後ろへ退いた。しかし、完全に避けきれず、首元に冷たい感覚が走る。赤い絵の具がたっぷりついた筆が滑り、まるで刃物で斬られたように、首元から血が流れているような痕跡を残した。窓に映るその跡を見て、誠はぞっとした。凪という女は、自分の思い通りにならなければ何をするか分からない狂気をはらんでいる。「どうしたの?怖い?」凪は少し横を向き、見上げてきた。笑みを浮かべつつも、鋭い視線が魂まで見透かすようだ。「この小悪魔、俺が怖いわけないだろ?」誠は凪の顎を掴み、身をかがめて唇を奪った。凪は持っていた筆を捨て、その腕を首に回して応えた。誠が彼女の細い腰をしっかりと抱き寄せ、軽々と持ち上げた。1時間後、二人はベッドで重なり合っていた。寝室には、まだ熱を帯びた空気が漂っている。誠は凪の長い髪を撫で、額に愛おしそうに口づけた。「凪、俺が一生愛する女は君だけだ」それは本心からの言葉だった。凪を深く愛している。他の男なら、凪のために妻や家族さえも捨てるだろう。しかし自分には無理だ。また、その程度の情しかないのも事実だった。凪は誠の胸元にすり寄り、甘ったるい声で言った。「馬鹿なこと言わないで。愛してるなら私を妻にして」自分にとっても、深く愛した男は誠だけだ。湊に対しては悔しさがあった。綾に負けることが、どうしても許せなかった。湊は自分

  • 初恋と付き合ったら、車椅子の元夫が立ち上がった   第280話

    美羽の心臓は激しく波打ち、今にも口から飛び出しそうだった。凪は、夢遊病のように近づいてくる美羽を一目見て、嫌悪感を露わにした。「跪いてお願いしても無駄ですよ!」凪の甲高い声で、美羽はハッと我に返った。自分はなんてことを考えていたの?美羽は恐怖で足がすくみ、必死に動揺を抑え込んだ。「あなたの相手をしている時間はないので、失礼します」美羽は足早に裏山を離れ、神社へと向かった。「一時の迷いで悪心を抱いたことをお許しください。どうか、私と子供をお守りください」深々と頭を下げ、切実に手を合わせた。帰宅後も、美羽の胸の内は晴れなかった。今日のことは誰にも口外しないよう、運転手と家政婦に固く口止めした。一つは誠に知られれば、彼が凪を問い詰め、自分の秘密が露呈してしまうからだ。もう一つは、ただでさえ今の自分を支えてくれている綾をこれ以上心配させたくないからだ。杉本家以外で自分の出自を知るのは綾だけだが、彼女なら信頼できる。綾は秘密を守り抜くと約束した以上、絶対に凪のような人間に話したりしない。今さら凪がどうやって知ったかを探っても意味がない。まずは情報を封じ込めるのが先だ。だが、凪は死なない限り、このことを黙っていてはくれないだろう。頭を抱えて悩み続けているうちに、不意に目の前が真っ暗になり、美羽は倒れ込んでしまった。次に目が覚めると、病室でベッドに横たわっており、傍らには誠が座っていた。とっさに目が冴える。医師の診察が入れば、自分が妊娠しているとすぐに分かってしまう。誠に知られるのはまだ早い。この男には、父親としてこの子に関わる資格なんてないのだから。誠は美羽が目を開けたことに気づくと、スマホから視線を上げた。「急に倒れるから心配したよ。どこか調子が悪いのか?」凪の追い詰め方が日に日に厳しくなり、離婚しなければ全てをぶちまけるとまで言われているのだ。その焦りが見え隠れしている。このところの言動で、以前あったはずの凪への熱い感情も冷めきり、今はただ苛立ちに変わっていた。「大丈夫、心配してくれてありがとう」美羽は首を振り、おそるおそる尋ねた。「誠、私はどうして倒れたの?」「医者によると、極度の貧血と疲労が原因らしい。しばらく安静にしていれば落ち着くそうだ」誠は上の空で答

  • 初恋と付き合ったら、車椅子の元夫が立ち上がった   第279話

    電話はつながったものの、運転手と家政婦は車内で待機中で、美羽は一人で神社へ祈願しに向かった。駐車場から神社までは、まだ千段以上の階段がある。不穏な空気を感じた綾は、運転手と家政婦にすぐ美羽を探しに行くよう指示し、見つけ次第連絡をするよう伝えた。そして綾は家には戻らず、そのまま車の中で待つことにした。30分ほど経った頃、ようやく美羽から電話がかかってきた。「美羽さん、何かありました?」「綾ちゃん、神社に入るからスマホをマナーモードにしてたの。心配かけてごめんね」美羽は血の気が引き、怒りで胸を激しく上下させていた。綾に異変を悟られないよう、必死に平静を装う。電話を切ると、運転手と家政婦に「大丈夫だから、車で待っていて」と告げた。周りに誰もいなくなると、凪は口を開いた。「あなたが隠し子だってこと、綾から聞いたんですよ。本当に彼女には感謝しないと」「いい加減にしてください!」美羽は激しく否定した。綾が自分を裏切るはずがないと信じている。しかし、隠し子であるという秘密を、他ならぬ凪のような女に知られたことに戦慄した。凪は平然としていた。美羽と綾の仲を壊すことなど、自分にとってはついででしかない。今日の目的は、そんなことではないのだ。「美羽さん、選んでください。誠さんと別れるか、それともあなたの出生の秘密をバラすか……」誠が自分に冷たくなり、美羽に優しくするのを見て、凪はもう待っていられなかった。昨夜も死ぬと言って脅し、誠に美羽と離婚するよう迫ったばかりだ。誠は来たものの、少しなだめただけで、その要求は無視した。彼の言い草では、自分を国外へ追いやろうとしているのが明白だ。こうなれば、美羽の方から攻めるしかない。美羽のような高慢なセレブ妻が何よりも重んじるのは、世間体だ。実の母親の悪事と、親族からも疎まれる隠し子であるという事実。それをバラせば、美羽のプライドも崩れ去るだろう。美羽は冷ややかな目で凪を睨みつけ、鼻で笑った。「男の都合の良い玩物にすぎない分際で、誰に条件を突きつけているのでしょうね?」美羽には分かっていた。ここで離婚を選んだとしても、凪という女は結局自分の素性をバラすだろう。どのみち破滅させられるなら、時間の問題にすぎない。「どうであれ、私の両親はちゃんと

  • 初恋と付き合ったら、車椅子の元夫が立ち上がった   第278話

    役所の前で湊を見かけたとき、綾は安堵した。すべてがうまくいくはずだ。「湊、おはよう」綾は別れる間柄であることも忘れ、旧友に会ったかのような自然な口調で挨拶した。湊は物思いに耽っていたが、声をかけられると綾に向かって微かな笑みを浮かべた。綾のひどいくまを見て、湊は心配そうに尋ねた。「昨夜は眠れなかったのか?」もしかして、自分のことで悩んでいたのか?湊はわずかな望みを抱いていた。綾もこの結婚に名残惜しさを感じているのではないか、と。「ええ。でも昨日はちょうど美羽さんと泊まり込みで話していて。楽しすぎて、ついつい夜更かししちゃった」その言葉で、湊の中にあった最後の期待は消え去った。「綾……」「手続きをしよう」湊が何か言おうとするのを、綾は即座に遮った。今となっては、もう何の言い訳も聞きたくない。必要ないし、意味も感じないからだ。綾の冷たさに愕然とした湊は、引き止めようとした言葉を飲み込み、重苦しい沈黙が彼を支配した。結局、二人は一言も交わさず、事務的に書類へ署名し、離婚の手続きを終えた。綾の心は複雑だったが、その奥底では、これ以上のない解放感に包まれていた。駐車場まで歩くと、湊が助手席のドアを開けてくれた。「運転、気をつけてな」綾は軽く頷き、「ええ」と短く返事をした。いざ車に乗り込もうとした時、見覚えのある二人連れが視界に入った。その場を離れたかったが、健吾が足早に近づいてきた。「奇遇だね、綾」健吾の隣で腕を組んでいたビアンカが、興味深げに湊の姿をじろじろと見つめている。確か以前会ったときは車椅子に乗っていたはずなのに、今はすっくと2本の足で立っている。ビアンカにはそれが魔法のように見えた。脚を触ってみようかとすら考えたが、そんな失礼なことは健吾に止められると察した。「ごめんなさい。急ぎなので先に行かせてもらうね」綾はそれだけ伝えると、すぐにその場を後にした。健吾の視線が、悄然とする湊に向けられ、面白そうに口元を歪めた。「中野社長、奥さんと役所に何かご用ですか?」綾は湊をチラリと見た。湊が秘密にしたいことなら、彼自身から言わせればいい。「ちょっとした……手続きをしていましてね」湊は平然と言い放った。「綾、美羽さんと先約があったんだろう?」「そ

  • 初恋と付き合ったら、車椅子の元夫が立ち上がった   第277話

    美羽は思わせぶりに忠告した。「綾ちゃんと私は違うの。綾ちゃんには逃げ道があるし、やり直せるわ」美羽は当初、綾と湊の仲が修復できるかもしれないと思っていたが、冷静に考えれば、綾が中野家という泥沼に留まる理由などなかった。湊は決して良き伴侶とは言えず、その本質は古風で自分勝手な男だった。あの海斗のために、綾を平気で傷つけるような男だ。美羽から見れば、綾と颯太が一緒にいる姿は悪くなかったし、綾には樹の後ろ盾もある。両親がいなくとも、杉本家に嫁ぐ望みはあるのだ。颯太の母親は性格も優しく、とても話のわかる人だから、嫁いでもいじめられることはないはずだ。「考えてみます」綾は布団の中に顔を埋め、こもった声で答えた。実際には美羽だって逃げ道を持っていた。ただ、何を求めてどこへ向かうかという優先順位が違うだけだ。美羽の求める逃げ道は単純なものだ。生きていればいい。生きてさえいれば、必ず希望はある。「おばあさんも責めはしないはずよ。綾ちゃんを可愛がっていたんだから。死の間際に湊と結婚させたのは、きっと病気のせいで気が触れていたのよ」美羽は和子をよく知っている。和子は筋の通った人だった。湊が一番可愛いとはいえ、孫のために他人の幸福を犠牲にするような人ではない。ましてや、手塩にかけて育てた綾ならばなおさらだ。当時、美羽と誠がその話を聞いたとき、二人とも相当驚いたものだ。特に誠は、和子が無茶な縁談を決めたと言って説得しようとしたが、逆に杖で追い払われてしまった。「そうですよね」綾はやり場のない悲しみを抱えていた。なぜ、中野家はあんな風に変わってしまったのだろう?和子が空から今の様子を見たら、きっと悲しむはずだ。美羽に寄り添って話をしていたが、間もなく美羽は眠りについた。綾はというと、なぜか目が冴えていた。間接照明を消し、静かに目を閉じる。脳裏に中野家で過ごした十数年の思い出が浮かんでは消えた。明日になれば、もうこの家との関係も終わりだ。恩も恨みも、すべてが過去のものになる。翌朝、朝食を食べながら美羽が言った。「綾ちゃん、今日、神社に連れて行ってくれない?前に願掛けをしたから、お礼参りに行こうと思ってるの」綾は困り果てて答えた。「美羽さん、午後か、明日じゃだめですか?」午前中にどうしても離婚の手

  • 初恋と付き合ったら、車椅子の元夫が立ち上がった   第60話

    綾は堂々と出迎えた。「誠さん、そして取締役の皆さん。こんなことで、わざわざお越しいただくなんて申し訳ありません」誠は単刀直入に尋ねた。「湊はどこだ?」「病室です。でも先生からは安静にするよう言われていて……本人も今は誰とも会いたくないみたいです」達也も口を添えた。「今は絶対安静が必要です。皆さん、また日を改めていただけますか」「皆さんはこちらでお待ちください。私が様子を見て来ます」「お待ちください、誠さん」綾は誠の前に立ちふさがり、意味ありげな視線を送った。「湊が今、一番会いたくないのは……誠さんなんです」誠は眉をひそめた。「どういう意味だ?」「今回の拉致事

  • 初恋と付き合ったら、車椅子の元夫が立ち上がった   第53話

    そのハイヒールは、綾のお気に入りのブランドのもので、とても履きやすいと評判だった。こんな偶然、あるはずがない……「健吾、大変なの!」明里の震える声が、受話器の向こうから聞こえてきた。次の瞬間、健吾はシェパードにリードをつけると、車に駆け込んだ。……「くだらないいたずらだろう」湊は、凪が見せてきたネットニュースを一瞥すると、うんざりした様子で無関心にそう言った。「でも、本当に誰かが危ない目に遭ってるのかもしれないじゃない。それに綾も、こんなハイヒールを持ってた気がするわ」湊は画像に目をやり、答えた。「あいつは同じような靴を何足も持っている。履き心地がいいとかで

  • 初恋と付き合ったら、車椅子の元夫が立ち上がった   第49話

    綾は眉をひそめて綾を見ていた。綾の左には颯太、右には健吾が座っている。颯太が慌てて説明した。「青木社長はこっちが招待したんです。仕事のパートナーなので」颯太は、どうも湊が健吾に敵意を持っているように感じていた。健吾のほうも、湊のことが気に入らないようだ。この二人がいつから険悪なのかは分からないけど、とりあえず今は問題が起きないようにするしかない。「中野社長、この席にどうぞ」颯太が自分から席を譲ると、湊は遠慮なくその席に座った。綾は湊と健吾の間に挟まれる形になり、ものすごく気まずかった。二人が来るって分かってたら、絶対に来なかったのに。凪が湊の隣に座ったので、颯太

  • 初恋と付き合ったら、車椅子の元夫が立ち上がった   第51話

    「湊、海斗がサプライズを用意して部屋で待ってるわよ。早く行ってあげて」湊は考えた。綾はもう寝ているだろう。邪魔をしないでおこう。彼は手を引っ込め、凪に車椅子を押されてその場を去った。翌日は土曜日で、凪はキッチンでバーベキューの準備に追われていた。湊はリビングに座り、幸子に言いつけた。「ケーキ屋にケーキをひとつ配達させて。それから、綾を呼んできてくれ」幸子はすぐに3階から降りてきた。「旦那様、奥様は部屋にいらっしゃいません。電話で確認いたしましょうか?」「必要ないわ」と凪が口を挟んだ。「いない方が好都合よ。どうせ気まずくなるだけだし」「綾は明里のところにでも行ってるん

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status