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第51話

Auteur: 春さがそう
「冷えからくる風邪の治療か……」

隼人は薬箱に記された一行を読み上げ、わずかに眉をひそめた。

ただの平凡な風邪薬にすぎない。それなのに、紗季の様子はどこか不自然で、まるで何かを知られるのを恐れているかのようだった。

不思議には思ったものの、隼人はそれ以上深く考えず、自分の勘違いだろうと片づけた。

薬箱を元の場所に戻し振り返ると、ちょうど風呂から上がった紗季が入口に立ち、彼の行動を見つめていた。

彼女に見られた隼人は、少し気まずそうに咳払いをした。

「ちょっと見ただけだよ。そういえば、お前最近鉄分のサプリ飲んでるって言ってなかったか?なんで風邪薬なんだ?」

「ええ、少し風邪気味でね」

紗季は半乾きの髪を拭きながら歩み寄ると、さらに続けた。

「何か問題でも?ほかの薬が見たいなら、持ってこようか」

「いや、別に疑ってるわけじゃないさ」

隼人は自然に手を伸ばし、タオルを取ってやった。

紗季は軽く引っ張ってみたが、抗えずに机のそばへと押さえ込まれる。

隼人の力加減は丁度よく、結婚して七年間、いつも変わらなかった。

紗季は鏡越しに背後の隼人を見た。

深い眼差しと冷やや
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