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君こそが私の光だった
君こそが私の光だった
Autor: 清多納言

第1話

Autor: 清多納言
父が死の淵で、最後に私の夫の黒木瑛太(くろき えいた)に会いたがっていた。

だが瑛太は、頑なに幼馴染の元へ行こうとした。

私は離婚を切り出して脅したが、彼は冷笑した。

「水野茜(みずの あかね)、いい加減にしろ。そんなに騒ぎたいなら、望み通りにしてやるよ」

彼は私を役所に引きずって行き、離婚届の受理証明書を顔に投げつけた。

「今度はどうやって復縁を迫ってくるか、見せてもらおうか!」

私は冷静に涙を拭い、彼の宿敵に電話をかけた。

「西園寺修(さいおんじ おさむ)、前に、私が離婚したら結婚してくれるって言ったわよね。あの話、まだ生きてる?」

「ああ、もちろんだ」

……

「茜、お父さんが危ないの。

最後にあんたと瑛太くんに会いたいって」

母からの電話で、スマホが手から滑り落ちそうになった。

覚悟はしていたつもりだった。

それでも、いざその時が来ると、世界が崩れ落ちるような感覚に襲われた。

私は自分に三分だけ時間を与え、思いっきり泣いた。

三分後、涙を拭いて階下へ降り、瑛太の元へ向かった。

さっき、また相原美咲(あいはら みさき)のことで彼と喧嘩したばかりだ。

喧嘩の後、彼はいつも数日間、姿を消してしまう。

今のうちに引き止めなければならない。

予想通り、瑛太は車のキーを手に玄関へ向かっていた。

「どこへ行くの?」

彼は私を見ようともせず、冷笑した。

「いちいちお前に報告しなきゃならないのか?」

胸が詰まる思いだったが、怒りを押し殺して言った。

「お願い、一緒に父に会いに行ってくれない?」

瑛太は眉をひそめた。私の突然の懇願に驚いたようだ。

その時、彼のスマホが鳴った。

彼は私を一瞥し、背を向けて電話に出た。

「瑛太さん、記者会見がもうすぐ始まるの。いつ来るの……」

美咲の声だ。

瑛太の表情が一瞬で和らぐ。

「すぐ行くよ。いい子だから、もうちょっと待っててくれ……」

頭に血が上った私は、手近にあったテーブルの上のマグカップを投げつけた。

ガシャン!

瑛太は身をかわし、マグカップは床で砕け散った。

「何するんだ!」電話を切った瑛太が怒鳴る。

私は熱くなる目頭を押さえ、震える声で言った。

「最期に一目、父に会ってくれないかって聞いてるのよ!」

瑛太は一瞬怯んだが、すぐに鼻で笑った。

「茜、俺が美咲に会いに行くのを阻止するために、そんな嘘までつくようになったのか?

お前と喧嘩してる暇はないんだ。美咲が待ってる!」

そう言って、彼はソファの上着を掴んで出て行こうとした。

私は彼の前に立ちはだかった。

「絶対に行かせない!」

瑛太は深く息を吐き、怒りを抑えるように言った。

「何度言えば分かるんだ?俺と美咲は幼馴染で、ただの友達だ。

どうしてお前はいつも彼女を敵視するんだ!?」

「ハッ?ただの友達なら、酔ってあんたの名前をうわ言みたいに繰り返す?

寝てる隙にキスしたりするわけ?」

「いい加減にしろ!」瑛太が遮った。

「そのことはもう説明しただろ!喧嘩のたびに蒸し返すな!」

心臓をハンマーで殴られたような鈍痛が走る。

「……で、今日もやっぱり彼女のところに行くのね?」

「ああ!」

迷いのない即答だ。

「ふふ……」私は涙を拭い、笑った。

「もし、彼女のところに行ったら離婚するって言っても……それでも行く?」

「行く!」

「分かった!じゃあ離婚しよう!」

瑛太は一瞬言葉を詰まらせたが、すぐにいつもの見下すような態度に戻り、嘲るように言った。

「また始まったか。そんなに騒ぎたいなら、望み通りにしてやるよ」

彼は私の腕を掴み、無理やり外へ連れ出し、車に押し込んだ。

ドンッ!

ドア枠に頭を強く打ちつけ、激痛に涙が滲む。

「何するのよ!?」

「離婚したいんだろ?今すぐ役所に連れてってやるよ!」

彼はアクセルを強く踏み込んだ。私は再び頭を打ち、目眩がした。

道中、瑛太はずっと私への不満をまくし立てていた。

「美咲はお前の悪口なんて一度も言ったことがないのに、お前ときたら、何かと理由をつけては彼女に突っかかる!」

「お前のそのヒステリックな態度にも、監視される生活にも、もううんざりなんだよ!」

「……」

頭を打ったせいか、耳鳴りがして、彼の声が遠くの出来事のように感じられた。
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