Share

第2話:デジャブ

Author: YOR
last update publish date: 2026-07-12 07:12:51

天条てんじょうりつ……)

その名を聞いた瞬間、胸を貫かれた激痛が蘇った。

律王りつおう

炎に包まれた宮殿、胸を裂いた刃、狂気に染まった、あの男の瞳。

私は思わず胸元へ手を添える。

傷など残っているはずもない。それでも、あの冷たい刃だけは、今も心臓を貫いたままだった。

(もし同じ魂なら――)

今度こそ、私は逃げない。

「……玲美様、美園みその玲美れみ様。まもなく天条グループとの会食の会場に到着いたします」

その声で現実へ引き戻される。

ゆっくりと目を開くと、高級車の天井が視界に映った。

革張りのシート、静かなエンジン音、窓の外を流れる夜景。

どれも見慣れた光景のはずなのに、妙に胸の奥がざわつく。

(……既視感。)

違う。これは懐かしいではない。

私は、この空気によく似た時間を知っている。

「玲美様、お顔の色が優れません」

声の主は剣持烈。真っ直ぐな眼差しは、千年前と少しも変わらない。

れつ……死んだ夢を見た」

私がそう告げると、剣持烈は困ったように笑った。

「またですか……」

また?

私は思わず剣持けんもち烈を見つめ返す。

隣では漆原うるしばら誠二せいじが肩をすくめた。

「最近は毎晩のようにご覧になっていますからね」

(毎晩……?)

私には、その記憶がない。いや、正しくは、美雪としての記憶が鮮烈すぎて、美園玲美として過ごしてきた時間が霞んでしまっているのだ。

私は静かに目を閉じた。

(この身体は美園玲美。だが、この魂は美雪)

二つの人生が、一つの身体の中で静かに交わり始めていた。

「そうでしたか。余程お疲れなのでしょう」

剣持烈は心配そうに私を見た。

「誠二。日程を詰め込み過ぎなんだ」

「玲美様のお立場を考えれば仕方がないさ。美園グループの交渉は待ってくれない」

「だからって今日は別だろ。相手は天条グループだぞ」

天条。その名だけで車内の空気が少し重くなる。

「しかも婚約を前提とした顔合わせなんて、どう考えても強引すぎる」

「烈」

漆原誠二は苦笑した。

「断って逆上されるより、一度会って帰した方が安全だ」

「安全? あの男が相手だぞ」

二人は昔と変わらない。

理で動く漆原誠二。

情で動く剣持烈。

服はスーツへ変わっても、その魂だけは何一つ変わらない。

思わず口元が緩んだ。

「誠二!」

「はい。玲美様」

「烈!」

「はい。どうなさいましたか? 玲美様」

私が名を呼ぶと、二人は同時に私を振り返る。

「いい名を授かったのだな……誠二、烈」

(前世で呼んだ名よりも、ずっとあなたたちらしい)

唐突な言葉に、二人は少しだけ怪訝そうな顔を見せた。

「玲美様?」

「……何でもない」

前世では名もなき忠臣だった二人。

今は漆原誠二として、剣持烈として、再び私の傍にいる。

それだけで十分だった。

「玲美様。やはり、本日の天条律との顔合わせは取りやめましょう」

剣持烈が真剣な顔になった。

「烈、何を言い出すのだ!」

「玲美様。俺は嫌な予感しかしません」

私は静かに首を横へ振った。

「いいえ。行きます」

「……玲美様」

剣持烈が首を横に大きく振っていた。

「天条律という男に、一度会わなければならない」

すると漆原誠二が不思議そうに笑った。

「何をおっしゃるのです。玲美様は天条様とは何度もお会いしていますよ」

(何度も……?)

胸の奥がざわつく。

美園玲美として生きた私には、確かにその時間がある。

なのに、その記憶だけが霧の向こうへ隠れている。

「……少し疲れているようだ」

そう答えるしかなかった。

「このまま会場へ向かいましょう」

「承知しました」

剣持烈がそう言って、車がゆっくりと速度を落とす。

私は窓へ映る自分の姿を見つめた。

そこにいるのは、美園玲美。

だが、その瞳の奥で燃えているのは、美雪の復讐心だった。

「玲美様。到着いたしました」

漆原誠二がドアを開け、ひんやりとした夜の風が車内に流れ込む。

私は深呼吸をし、かつて命を奪われた男が待つ会場を見上げた。

(待っていなさい、天条律。今度こそ、私があなたの心臓を撃ち抜く番だ)

私はドレスの裾を強く握りしめ、覚悟を決めて車から降りた。

Continue to read this book for free
Scan code to download App

Latest chapter

  • 因果の連鎖、魂の復讐~前世で私を殺した王を地獄で待つ四人の悪女~   第20話:華条家の令嬢

    華条家。 格式高い日本庭園を抜け、私は御門智久、漆原誠二、剣持烈と共に応接間へ通された。 静かな足音が廊下から近づいてくる。襖がゆっくりと開いた。 華条玲華は、黒髪を揺らしながら、私を見る。 そして、ゆっくりと微笑んだ。 「ようこそ、お越しくださいました」 その笑みは美しい。だが、どこか相手の内側まで見透かすような冷たさを秘めている。 私は静かに華条玲華を見つめ返した。 「突然の訪問、失礼する」 華条玲華は私ではなく、御門智久へ一度だけ視線を向けた。 「御門様までご一緒とは本当に、美園様を?」 御門智久は穏やかに笑う。 「ええ、玲美様は婚約者ですから」 華条玲華の瞳が僅かに細くなった。だが、それ以上は何も言わない。 私は静かに口を開いた。 「単刀直入に聞こう」 華条玲華は小さく頷き、 「何でしょう」 笑みを絶やさずにそう言った。 「華条家について知りたい」 私がそう言っても、華条玲華の笑みは崩れない。肝の据わった女であるのは、前世と変わりないことは分かっている。 「……家の歴史について、でしょうか」 「それもある」 私は一歩踏み込む。 「千年前まで遡って聞きたい」 その瞬間だった。 華条玲華の指先が、茶碗を持つ手でほんの僅かに止まった。 それはほんの一瞬だった。だから、普通なら見逃すほど小さな変化だ。 やはり、この女も知っている。先祖代々受け継がれているのだろう。 ここで終わらせず、さらに心理戦を続ける。 華条玲華はすぐに微笑みを取り戻した。 「面白いことを仰いますのね」 「華条家は由緒ある家柄ですが、千年前となると、さすがに伝承程度しか残っておりませんわ」 私は茶碗へ視線を落とした。 「そうか」 「ええ」 応接室は沈黙に包まれた。 互いに相手の出方を窺う。どの時代でも同じだ。 その静寂を破ったのは御門智久だった。 「玲華様」 華条玲華が穏やかに視線を向ける。 「何でしょう」 「一つだけ、お聞きしても?」 「どうぞ」 御門智久は笑みを浮かべたまま尋ねる。 「玲華様は、『王妃・美雪』という名をご存じですか」 その瞬間、華条玲華の表情から、初めて笑みが消えた。 「……なぜ、その名を」 華条玲華の声が低く震える。 千年前の「あの女」と重なる。やはり間違いない。華条玲華もまた

  • 因果の連鎖、魂の復讐~前世で私を殺した王を地獄で待つ四人の悪女~   第19話:婚約者

    地下室から戻った翌朝。 朝食を取っていると使用人が慌てて駆け込んでくる。 「玲美様!」 「御門様がお見えです!」 私が少し目を細める。 (御門智久……) あの男を見ると、不思議と胸が落ち着く。理由は分からないが、その立ち振る舞いや、私を見つめる眼差しが、どうしても影山を思い出させるのだ。同じ人物だとは思わない。それでも、魂のどこかで懐かしさを覚えてしまう。 そこへ漆原誠二が耳打ちする。 「玲美様。昨日お命じになった華条家ですが、すでに調査を始めております」 私は小さく頷く。 「報告は後だ。今は御門様を優先する」 応接室へ入る。 御門智久が立ち上がる。 「玲美様。お加減はいかがですか」 私は静かに座る。 「心配を掛けた」 御門智久は少し笑う。 「三日も眠っていた人とは思えませんね」 その言葉に、私も小さく笑みを返した。 不思議だった。御門智久と向き合っていると、胸の奥に張りつめていたものが少しだけ和らぐ。その安心感が、なぜ生まれるのか。まだ私にも分からなかった。 御門智久が真剣な顔になる。 「玲美様。一つ、お聞きしても?」 「何だ」 「あなたは……本当に玲美様ですか」 部屋の空気が止まる。 漆原誠二と剣持も表情を変える。 私は御門智久を見る。 御門智久は話を続ける。 「目覚めてからも、更に別人のようです。ですが、今の玲美様の方が好きです」 「……そうか」 好き。その言葉に戸惑ったわけではない。 私が気になったのは、その続きを御門智久が口にしなかったことだ。 婚約を申し出たのか、天条律から私を奪ったのか。 あの場で迷いなく手を差し伸べた理由は、本当にそれだけなのか。それとも、まだ私の知らない理由があるのか。いまだに、この男が何を隠しているのか読めない。 私は静かに御門智久を見つめた。 バタバタと廊下を駆ける足音が近づいてくる。 「失礼いたします!」 使用人が息を切らせながら頭を下げた。 「玲美様、天条律様がお見えです!」 部屋の空気が、一瞬で張り詰めた。 御門智久は静かに立ち上がる。 「……来ましたか」 この時期を待っていたかのように、御門智久はそう言った。 私はゆっくりと立ち上がる。 「ちょう

  • 因果の連鎖、魂の復讐~前世で私を殺した王を地獄で待つ四人の悪女~   第18話:王妃・美雪の告白

    冷たい風が、地下通路を静かに吹き抜ける。 剣持烈が携帯用のライトを掲げると、その先の石室が淡く照らし出された。部屋の中央には石の台座。その上には、何もない。 「……遅かったか」 私は静かに呟く。 帳簿は、もうここにはない。誰かが、私たちより先に持ち去っている。 「王妃様……」 かすかな女の声が、石室の奥から聞こえた。 「誰だ!」 剣持烈が庇うように私の前へ立つ。 漆原誠二も周囲を警戒する。 そして、石壁の陰から、一人の若い女性がゆっくりと姿を現した。年は二十歳ほど。質素な着物姿。しかし、その立ち居振る舞いには、どこか気品が漂っている。 女性は私の顔を見るなり、その場へ膝をついた。 「……ようやく、お戻りになられたのですね」 その声は震えていた。 私は思わず息を呑む。 「そなたは……」 女性は深く頭を下げる。 「王妃様付きの侍女、紗月でございます」 その名を聞いた瞬間、胸の奥が大きく脈打った。 影山が語っていた。命を懸けて王宮から情報を流していた、一人の女官。 私は一歩近づく。 「紗月……生きていたのか」 紗月は静かに顔を上げる。 「いいえ」 穏やかな微笑みだった。 「私は、とっくの昔に命を終えております」 漆原誠二と剣持烈が顔を見合わせる。 二人は言葉を失う。 紗月は私だけを見つめていた。 「ですが、この場所を守る使命だけは、魂に刻まれておりました」 私は静かに目を閉じる。 「そうか……」 やはり、千年経っても終わっていなかったのだ。 紗月はゆっくりと口を開く。 「影山は最後まで王妃様を探しておられました」 私は何も言えなかった。 「あの帳簿も、命を懸けて守り抜かれました」 「では帳簿は」 「奪われました」 静かな一言だった。 「ほんの数日前です」 私は拳を握る。 やはり、現代にも、この帳簿を追っている者がいる。 「玲美様……」 漆原誠二が恐る恐る口を開いた。 「今のお話は……一体……」 私は二人を見つめた。 もう隠せない。いや、隠していては、この先へ進めない。 私は静かに息を吸う。 「誠二。烈」 二人が姿勢を正す。 「今から話すことは、到底信じられる話ではない」

  • 因果の連鎖、魂の復讐~前世で私を殺した王を地獄で待つ四人の悪女~   第17話:新たな味方か?封じられた地下室

    冷たい風が、地下の奥から吹き抜ける。 その風に混じる薬草の香りだけが、私の鼓動を速めていた。 「烈」 「はい」 「明かりを」 剣持烈は無言で携帯用のライトを取り出し、暗闇へ光を向けた。 細い通路が、地下深くまで続いている。壁は石造り。だが、美園家の地下とは思えないほど古い。まるで、この屋敷より先に造られていたかのようだった。 「玲美様」 漆原誠二が静かに壁へ触れる。 「この石……かなり古いものです」 私は壁へ手を添えた。冷たい。 その冷たさに触れた瞬間、炎、燃え落ちる宮殿、悲鳴、血。 思わず額を押さえる。 「玲美様!」 剣持烈が私を支える。 「……大丈夫だ」 違う。これは頭痛ではない。石に残された記憶が、私へ流れ込んできただけだ。 「進もう」 私は歩き出した。 通路の奥へ進むほど、薬草の香りは濃くなる。 そして、コツ……また音がした。 三人が立ち止まる。 今度は確かだった。誰かが歩いている。だが姿は見えない。 「追いますか」 剣持烈が小さく尋ねる。 私は首を横へ振った。 「いや」 敵の領域で追うほど愚かではない。追うのではなく、相手に見せる。 「誠二」 「はい」 「灯りを消せ」 「……?」 二人は一瞬戸惑った。 それでも従う。地下は闇に包まれた。耳だけが冴える。風、水滴、そして、衣擦れ。 (そこか) 私は静かに口を開く。 「隠れていても構わぬ」 返事はない。 「だが、お前は私たちを見ている」 私の声だけが響くが、静かだ。 「ならば聞こう」 私は暗闇へ向かって告げた。 「お前は敵か」 数秒。 誰も動かない。カタン……何かが床へ落ちた。音は一つ。そして再び静かになる。 剣持烈が素早く灯りを点ける。 床には、一本の古びた木札が落ちていた。 私は拾い上げる。 そこに刻まれていた文字を見て、息を呑む。 『影』 「……影山」 その名ではない。だが、前世で私が与えた名の最初の一文字。 まるで、『ここまで来られるなら続きを見せよう』そう告げられているようだった。 「玲美様」 漆原誠二が奥を照らす。 通路の先には、もう一枚の石扉が静かに佇んでいた。その中央には、美園家の家紋ではない紋章が刻まれている。 私は思わず呟いた。 「これは……」 前世の王宮で、一度だけ見たこと

  • 因果の連鎖、魂の復讐~前世で私を殺した王を地獄で待つ四人の悪女~   第16話:残された帳簿

    「……前世?」 漆原誠二が静かに問い返した。 私は小さく息を吐く。 「いや、まだ説明はできぬ」 今話しても信じるはずがない。 夢――ではない。あれは、夢では済ませられない。薬草の匂い、影山の声。そして、女官が命懸けで守った帳簿。どれも現実だったかのように鮮明だ。 それよりも先に、確認しなければならないことがある。 私はゆっくりと息を整えた。 「烈」 「はい」 「私は、どれほど眠っていた」 「三日です」 (三日……) 思っていたより短い。では、 「あの後は、御門智久と天条律はどうなった」 「天条様と御門様は、玲美様が倒れられたあと、美園家の医者が到着するまでご一緒に付き添われました」 剣持烈は続ける。 「その後、お二人とも毎日のように玲美様の容体を確認するために屋敷へ訪れております。今日はようやくお目覚めになられたので、まだ誰にも連絡しておりません」 私は静かに頷いた。 (……時間は進んでいる) 前世だけが流れていたわけではない。現代も、私を待たずに動き続けていたのだ。 「誠二」 「はい」 「影山という名に、心当たりはあるか」 漆原誠二は僅かに眉を動かした。 「……影山、ですか」 「知っているのだな」 「いいえ。同名の者は数え切れないほどおります。ただ……」 漆原誠二はそう言い、そばにいる剣持烈へと視線を送った。 剣持烈も僅かに眉を動かしている。 「ただ?」 「玲美様が、その名を口になさるとは思いませんでした」 私は視線を逸らし「忘れて……」そう言いかけて、首を振った。 違う。忘れてはいけない。触れなければ、今の美園玲美と私、美雪との因果が更に膨れ上がるだけだ。 「誠二」 「はい」 「美園家に古い帳簿は残っていないか」 漆原誠二はそう問われて、右斜め上へと視線を上げた。 「帳簿……ですか?」 「何十年も前でも構わない。商談記録でも、寄付でも、資産台帳でもいい。特に、先代以前の資料を見たい」 漆原誠二は少し考え込んでいた。そして、再度、剣持烈へ助けを求めるよう視線を投げた。 「地下資料室なら、古い保管庫がございます。ですが、今では誰も使っておりません」 示しを合わせたように、剣持烈がそう答えた。 (

  • 因果の連鎖、魂の復讐~前世で私を殺した王を地獄で待つ四人の悪女~   第15話:最初の一手

    「……ご命令を」 影山が膝をついたまま、そう言った。 王宮では、誰も私の命令など望まない。だが、この男は違う。 私が何を命じるか、それだけを待っている。 この国はまだ眠っている。ならば、起こしてやればいい。 「影山」 「はい」 「今、民は何を一番恐れている」 影山は迷わなかった。 「飢えです。次に、重税。そして徴兵」 私は静かに頷く。 やはり律王は変わっていない。恐怖で民を縛ろうとしている。 「民は飢えれば従うと思っているのであろう」 「……はい」 私は小さく笑った。 「愚かな王だ」 王とは、民を支配する者ではない。民に支えられて初めて王となる。 その理を、律王は最後まで理解できなかった。 「影山」 「はい」 「残っている商人は」 「まだ七割ほどは我らに恩義を感じております」 「農民は」 「各地の村長たちも」 「薬師は」 「皆、密かに連絡を取り合っております」 私は息を吐いた。 思った以上に残っている。律王は私を殺しても、根までは切れなかった。 「ならば始めよう」 影山の瞳が揺れる。 「まずは税を払えなくなった村へ食糧を流せ」 「しかし、それでは我々の蓄えが」 「構わぬ」 私は影山を真っ直ぐ見た。 「金はまた稼げる。だが、人は死ねば戻らぬ」 影山は深く頭を下げた。 「承知いたしました」 「それと」 私は少しだけ考える。 律王は必ず民を監視している。露骨に動けば潰される。 だから、 「私の名は出すな」 影山が顔を上げる。 「え……」 「死んだ女が民を救うなど、不気味であろう」 思わず影山が笑う。 「確かに」 「救ったのは旅の商人でも、名もない篤志家でも構わぬ。私の存在は、まだ闇の中でいい」 「はい」 影山はすでに次の動きを考え始めていた。 この男は優秀だ。命令を一つ出せば十を動かす。だから私は安心して任せられる。 その時だった。 コンコンと、扉が小さく叩かれる。 影山が一瞬で表情を消した。 「誰だ」 影山が出入り口に向かって、強い口調で言った。 「薬を届けに参りました」 若い娘の声だった。すると、影山は私を見る。 私は静かに頷いた。

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status