Share

第2話・悪夢の誕生日に

Penulis: 新矢識仁
last update Tanggal publikasi: 2025-11-20 14:19:27

 いやいや、僕だって一生懸命探したんだよ?

 十五歳の朝、家族のおめでとうも言葉もそこそこに外に飛び出て、それまで気づかなかったコアの姿に興奮した。

 色の強いコアに次々触った。

 でも、コアは相性で決まるって言ったろ?

 ふにっという感触はしても、どれもこれも僕の中に入ってくるものはなかった。

 もしかして、僕に合うコアはないのかと思い始めて、緑系コアを持つおばあちゃんが僕の誕生をお祝いして庭に植えたって言う木の根元に座り込んだ時。

 むにゅ、とお尻に柔らかい感触。

 あ、何か踏んだかな、って思って立ち上がろうとしたその時、ズボンの布地を、下着の布地を、そして皮膚をすり抜けて入ってくる。

 両親や先に十五になった友達に散々聞かされた不思議な感覚。

 まさか。

 もしかして。

 コア?

 期待と、不安の入り混じった、この感触。

 やがて、右手の甲が熱くなってきた。

 宿ったコアは人間の皮膚のどこかに浮かび上がる。おばあちゃんは眉間だったし、父さんは左の太もも、母さんは右の鎖骨の上だった。

 ……お尻じゃなくてよかったって思った。

 右手に、発光しながらゆっくりとコアが浮かび上がってくる。

 この光が落ち着くと、コアの色が定着し、めでたくコア定着完了、となる。

 お尻で踏んだから色は分からない。どんな色だろう。

 右手の甲に完全に浮かび上がったコアは、最後の光を出し終えて。

 僕が希望した、何の色にもならなかった。

 丸く浮かび上がるコアに、色はない。

 ……って言うか……。

 もしかして、ベージュ色? これ。

 肌に紛れて色が分からない程、淡い淡いベージュ。

 火の赤でも、空の青でも、木々の緑でもない、ベージュ色。

 いや、色としては好きだよ? 無難だし、なんにでも合わせられるし。

 だけどさ。

 ベージュって色で何かすごい力を想像できる?

 ああ、これは友達に笑われる。

「よりによってベージュかよ!」って笑われる明日が目に見える。

 どうせならお尻に出れば見られずに済んだのに……と思って、悪友が見せてみろと制服のズボンを脱がそうとする構図が浮かんで、クラスメイトの前でお尻を出すよりはマシか、と、明後日の方向で自分に納得させようとしたけど、全部うまく行かなかった。

 笑顔で待っていた家族は、しょぼくれた僕に不思議そうな顔をしたけど、コアの色を見てすぐに分かった。

 おばあちゃんが薄暗い緑、お父さんが淡い黄色、お母さんがごく淡いピンク。

 それぞれ、何かの力をイメージできそうな色だ。

 なのに、僕はベージュ。

 肌の色としかイメージできない。

「だ、大丈夫だ!」

 お父さんは僕の肩を掴んで叫んだ。

「別のコアを探そう。な? 別のコアと組み合わせれば、その色だって何かの役に立つ」

「そ、そうよね。そんな色のコアだったらコアキャパシティもそれほど消費してないと思うし!」

 それから、両親と僕は街中へ、おばあちゃんは家の近所でコア探しを始めた。

 十五歳で二個三個のコアを宿すコア主がいるんだから、きっと僕もって。

 だけど、かき集めたコアは全て、僕の中に入ってこなかった。

 コア医に駆け込んだところ、この近所のコア主のコアの色と能力を把握している老齢のコア医は、僕のコアをじっと見てから言った。

「色が薄いですな」

「新しいコアを見つけてあげようと思ったんですが、見つからないんです」

 コア医は様々な機械で僕を検査して、絶望的な一言を告げた。

「コアキャパシティは一杯です」

「え」

 僕も、一緒に来たお母さんも、絶句した。

「こんな薄くて淡い色なのに、何で」

「分かりませんな。コア学は今だ発展途上。こんな力のなさそうな色にこれまでのキャパシティを使うコアは初めてのケースです。新しいコアの入手は、諦めた方がよろしいかと」

 これからの高校生活。憧れの大学生活。夢の社会人。

 それらすべてにバツ印がつけられたようで、僕は落ち込んで帰るしかなかった。

 高校受験がもうじき始まる。

 これも、当然コアの色で行ける高校が決まってくる。将来を見据えて、コアの力でできることを探して、その能力を伸ばしてくれる高校に行くのが定石。

 だけど、僕のベージュ色のコアは、どんな力を出してくれたこともない。

 一体どんな高校なら入れるんだろう。コアにまるで力のない僕が、どんな高校に行けるだろう。

 目の前の高校受験が、地獄の門に思えた。

Lanjutkan membaca buku ini secara gratis
Pindai kode untuk mengunduh Aplikasi

Bab terbaru

  • 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした   第185話・すべては終わり

     十年後。 瑞希と一緒に、バスを降り、少し歩く。 辿り着いたのは、十年前から更地になったままの場所。「おう、来たか」 壮は僕と瑞希の姿を見つけて、軽く手を挙げた。「お前らも毎年律儀だな。こんな跡地に来るなんて」「それを言うなら壮だって」 あの時、学園長と地下研究施設全てを失った弧亜学園は、秘密の研究で全人類のコアを消したのではないかとの疑いをかけられ、国連に全ての研究データなどを没収された。 しかし、肝心なことは、羽根さんは自分の命と一緒に持ち去ってくれたので、残っていたのは動かすコアのないコアコンピュータだけだった。 学校が廃校になって、十年。 更地にされた学園に、僕たちは、一年に一回やってくる。「人のうわさも七十五日」 瑞希が呟いた。「弧亜学園が叩かれて、コアがなくなって。人類どうなるかと思ったけど、案外コアがなくても生きていけるものなのね」 跡地に花を置いて、瑞希は呟いた。「なんだか、あの時のことが、夢みたい……」「でも、覚えてるだろ?」 こうやって、人類が滅亡を免れた日に、花を手向けにやってくる。 羽根さん。長田先生。学園長。地下にいたコア生物や新人類、そして、ココ、ナナ。「僕たちが墓場まで持って行けば、それでこの一件は水の泡。もう誰も、コアがあったことなんか思い出さなくなる」「そうね……」 しばらく僕たちは合掌した。「飲みにでも行くか?」「まだ日中だよ?!」「いいだろが、今日は記念日だ。飲んでいいんだ、俺的に」「相変わらずね、壮君は」「はん、そう簡単に変わってたまるかよ」 僕たちは、歩き出した。 だから、気付かなかった。 木陰に、緋色の光を放つ何かが、落ちていたことに……。                         完

  • 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした   第184話・コアを染めて

    『私の間違いは正されたのですね』 突然、合成音が聞こえた。「何、この声」「羽根さん」「羽根?!」 まだ人間の姿を取り戻せていない長田先生があちこちを見る。『ありがとう、丸岡くん』「羽根さん……これで、終わったんですね?」『まだ、終わりじゃないわ』 合成音は静かに告げる。『新しい人類の道をやり直さなければ、同じことはまた起こる』「どうすれば……?」『全てのコアを、ナナに命じて、貴方のコアの望みのままに、透明に、そして、無に』「……って、それって、地球からコアが消えるってことか?」 彼方くんの問いに、羽根さんは、是、と答えた。『このままコアを残しておけば、人類が成長する限りいずれは誰かが私と同じ結論に辿り着き、同じ結果を導き出す。そして、その時に貴方が、そして透明なコアがあるとは限らない』「無茶だろそれ。今の人類の研究や実験は、ほぼすべてコアか、対コアとして進んでる。コアが突然なくなれば、インフラにも影響がデカい」『そこは、人間の可能性に賭けるしかないわね』「無責任だな」『私のいない未来だもの』「なら生き延びて新しい道を示せよ」『私と言う存在がある限り、人類はコアを諦めない。人造コアの研究すら始まろうとしているのに、唯一残ったコアの繋がったスーパーコンピュータなんて、戦争を起こしてでも勝ち取りたいものよ』「長田先生は……それでいいですか」「私は長生きをし過ぎました」 人間の姿も取れない、黒茶の平面の生き物は、そう言った。「コアがなければ生きていけない身体……見ての通り、もはや人類ですらない。私たちこそ旧人類。コアなき世は、君たちが創るべきです」「丸岡くん……」 渡良瀬さんが、泣きそうな顔で言った。「それって、先生も、先生の妹さんも、死んじゃうってことよね……? やだよ、そんなの……」「死ぬんじゃありません」 平面の黒茶の一部がむくりと伸びあがり、渡良瀬さんの頭を軽く叩いた。「元に、あるべき姿に戻るだけです。私たちは死にませんよ。本当のことを誰も知る必要はない、ここにいる三人だけが知っていればいい」「カピパラ……いや、長田」 彼方くんは、ちょっと唇をかんでから、言った。「散々悪口言って、悪かったな」「気になさらず。君こそ変わりました。君と丸岡くんを教えられたことは、私の誇りです。渡良瀬さんが死んでほし

  • 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした   第183話・透明に

    「まだ覚えていてくれたんですかー」 学園長の一部、金色の光の中から、その声は聞こえた。「色々あり過ぎてー、新しい相棒も手に入れたみたいだからー。私のことなんて、忘れちゃったかと思ってましたー」「忘れるわけないさ」 あの日。弧亜合格を教えてくれたのは、ココだった。 お節介で図太くて図々しくて気紛れで……でも。「君は、僕の、コア監視員だよね」「何を……」 学園長が何か言おうとしたけど、金色の光が強くなってそれを止めた。「それは、今でも有効?」「そりゃーそうですよー。私を仕込んだのは救世主ですけどー、私と言う存在を形作ったのは丸岡さんですものー。私はー、意識ある限りー、丸岡さんをー、監視しますー」「じゃあ、今僕の考えていることは分かるよね」「丸岡君?!」 長田先生の不安に歪む声に笑いかけて、そして僕は恐らくココがいるだろう場所を見た。「協力してくれるかい?」「難しいですねー」 当然、上手く行くとは思ってなかった。ココは学園長が生み出したコア生物だから。「でもー」 いつもの調子で、ココは言った。「丸岡さんがー、私のことを一生覚えていてくれるって約束してるならー。それならー、協力するかもしれませんねー」「!!」 学園長は目を丸くする。 僕が乗っている長田先生も、一瞬震えた。「バカなこと言うなよ、ココ」 僕は笑った。「確かに僕らの繋がりは半年もなかった。だけど、一緒にいた、一番気にかけてくれた相手を、僕が忘れるわけないじゃないか」「そうですかー」 ココの声は楽し気に聞こえた。 そして、金色の光がぞわぞわとまだらに光る色を押しのけていく。 学園長の胸部の、ちょうど真ん中。「絶対の絶対ー、死ぬまでー、忘れないでー、下さいねー?」「忘れないよ。忘れられるものか」 僕は透明のコアを、光の渦の中心に向かって突っ込んだ。「だって、僕らは、相棒だったんだから」「ぅあっ!」 もう一度、悲鳴。 透明のコアを、学園長の胸部に直接押し付ける。「染まりたいんだろ? 染めてやるよ……透明に!」「やめっ、やめてっ、いやっ」 コアの触れた胸から、学園長の肉体が透明になっていく。「やっと手に入れた肉体なのに……やっと手にした結果なのに! こんな所で! 旧人類に!」「君たちが新人類となる夢は破れた」 僕は透明に染め

  • 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした   第182話・ラスボス最終形態

     次の瞬間、パッと暗闇が消え、あの時と変わらない距離で、全身に無数の色をまとわせた学園長がいた。「随分前衛的になっちまったな」「まだらですね」「もう……私は、間違いを犯さない」 学園長……無数の色の集まりは、明らかに僕たち四人を狙っていた。「私が……最終存在となる」「その色で妹を語らないでほしいですね!」「行くぞ渡良瀬っ」「分かってる!」 渡良瀬さんは、限界ギリギリまで、他者鎮静化の光をたくさんたくさん生み出した。 危機において、精神や肉体は時に実力以上の結果をもたらす。それはどんな生き物でも同じこと。 渡良瀬さんの力を、彼方くんは空気弾の先端につけて、様々に軌道を変えて打ち出した。「ゥア……ア……」 明らかに、まだらに染まった光が色を失っていく。 他者鎮静化とは、僕の透明コアに近い能力だった。色を一時的に奪うことで相手の力を弱める。そんな彼女と僕が、そしてそれを弾丸の先に乗せて撃ちだせる彼方くんとが、受験で出会ったのは偶然か? あるいは学園長が何か企んだのかもしれないけど、助かった。 これで、随分色を削れる。 僕は長田先生の背中らしき所に捕まって、光の弾丸を受けて悶える学園長のすぐ近くまで進攻していた。「ナナ!」(はい!) 今の僕には分かる。透明なコアが、全てを透明にしたいという欲望を持っていること。 上手く手綱を取って長田先生にその力を向けないようにしながら、僕は右手を伸ばす。 透明なコアが見える。 学園長を取り巻く色は、それが必要なものだと判断して手を伸ばしてくる。 でも、触れる度、色が怯えて遠ざかっていく。「いいのかしらねぇっ?!」 学園長の狂喜に満ちた笑みが、そのまだらの顔に妙に映えた。「この光は貴方達と同じ人間、光が消えればその人間も死んだことになる! ふふ、まあ同士討ちが当たり前の最低種族だから、脅しにもならないかもだけどっ!」 言いながら、学園長は手を伸ばす。僕の透明コアを手に入れるために。「あなたの中にいる全員が、あなたに従っているとは思えない」 そして、僕は呼んだ。「ココ」

  • 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした   第181話・ラスボス戦

     長田先生の静かな声にも、焦りがにじんでいた。「世界中の人類についているコアを呼び集め、新たな人類の一部として目覚めさせようとしているんでしょう」「新たな人類の、一部?」「なるほどね」 僕はすぐに納得がいった。「学園長がなろうとしているのは、間違いを犯さないために無数の判断装置がついた究極の精神体。世界中の人類の意識を奪えば、そしてその意識を支配下に置けば、間違いを犯さない永遠の支配者と成り得る」「全人類を支配下に置いたところで間違わないとは思えないけどな」 彼方くんの言葉に僕は頷いた。「そこまで追い詰められたってことだけど……」「だけど、世界中のコアを集めるってことはさ、ゲームで言えばラスボスが、残り一桁のヒットポイントを全回復したってことじゃない?」 暗い中、僕のコアが放つ光に浮かび上がった渡良瀬さんの顔は、見るまでもなく真っ青。「全回復どころか攻撃力に防御力もアップさせただろうね。だけど」 僕は渡良瀬さんに向かって笑いかけた。「負ける気は、ない」 それより、と僕は黒い壁を見る。「長田先生、先生は大丈夫なんですか?」「私はコア肉体を私の支配下に置いた存在」 長田先生は少し苦し気で、でも正確に答えてくれた。「あの妹もどきがどれだけコアを呼び集めようと、僕の心臓や脳とも同化しているコアは、僕から離れれば死ぬ時だと分かっているから、離れません。結果、こうして君たちをあいつの影響から庇えますが……あいつが完全体になって襲い掛かってきた時、君たちを守ることができるか自信はありませんね」「それなら大丈夫です」 渡良瀬さんと彼方くんの顔がこちらを向く。長田先生の意識もこちらを向いていることが分かった。「今のはラスボスの第一段階、第二段階だった。そして今、最終段階になろうとしている」「なんか手があるんだな」「あるよ。君たちが無事でよかった。長田先生がいてくれてよかった。僕一人じゃ相当てこずった」 そして、僕は作戦をみんなに伝える。「なるほどな」「……頑張る」「その役目は引き受けました」 その時、地面が揺れた。「地震?」「いいや、足踏み」 僕が呟く。「先生、地球中の人類の意識を、あいつは取り込んだんでしょう」「はい」 ああ、久しぶりに長田先生の「はい」が聞けたな。最初に聞いた時はバカにされてるん

  • 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした   第180話・追い詰められて

     僕は、金色の鞭を掴んで全力で引っ張った。 学園長は慌てて鞭を放す。色なき浸食からギリギリで逃れながら、僕を見ていた。 創造主を名乗り、救世主を名乗ったあの余裕の笑みは何処にもない。 ただ、自分を裏切った者たちに対する恨みがあるだけ。「くっ、このっ!」 学園長の行動は読めた。彼方くんの空気弾のように攻撃を仕掛けながら、隙をついて僕からコアを奪い取る。 だけど、そううまくはいかせない。 僕は、僕の内から溢れ出す透明コアの力を、空気のように操った。 学園長が生み出した以上の透明の弾丸を用意して。「死になさいっ」「そっちの方だ!」 同時に金と透明の弾丸の嵐が互いに襲い掛かった。 透明の弾丸をすり抜けて僕を狙ってきた金色の弾丸は、僕の右肩口や足にぶつかり、血を噴き出させる。「……痛いね」 笑って、呟いた。「でも、分かったから、いいか」「何が……やられておいて、何が分かったのかしら?」 もちろん学園長に教える義理はない。ただ、透明に侵食させて力を失う能力は、どうやら無意識の内には出せないらしい。あくまで僕が意識してでないと無理なのか。 だけど、僕が受けたのは数発。しかもまだ透明コアを狙っている学園長は僕を本気で殺そうとはしていないから絶妙に急所を外してきている。 アドレナリンが噴出しているのか、痛くも痒くもなく、僕は笑う。「次の攻撃と行こうか」 僕は左足を引きずって前に出た。 学園長を覆う金色の光が、随分と弱くなっている。「負けない……私たちの力を借りなければ、歴史すら刻めなかったような生き物に、私は負けない……!」「僕も負けない」 笑って、言う。「全人類を背負う気はないけど、何人かの大切な人を助ける為なら、全人類だって救って見せる」「その全人類が消えたらどうなるでしょうねえっ!」「丸岡君! こっちに!」 ケガをしていない左肩を掴んで引っ張ったのは、長田先生だった。「丸岡っ」「丸岡くんっ」「三人とも、動かないで!」 長田先生は自分の身体を丸めるようになりながら巨大化し、すっぽりと僕らを覆った。 外で何が起きているのか。「先生……学園長は今、何を」「旧人類のコアを集めようとしているんです」

  • 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした   第135話・恐怖

     エレベーターのドアが閉じたと同時に、僕はへたり込んでしまった。「こ……わかったあ……」「の割には、ちゃんと学園長の相手できてたじゃないか」 彼方くんが僕を見下ろす。そこには笑み。「多分あの時の僕、どうかしてたんだよ……。でなきゃ、あんな怖い人の前で、あんな怖い会話なんてできなかった……」「ケンカなんてどっちもどうかしてるもんだ」 彼方くんはすらっと言い切った。「勝つ

  • 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした   第134話・お手伝いしましょうか

    「貴方達がここに来てくれたおかげで確信が持てたわ。裏に何者かがいると。それが誰かを調べなければならない」「お手伝いしましょうか」 学園長はもう一度こちらに体を向け、僕と彼方くんとじっと見た。「……そうね、もし分かったことがあったなら、貴方達のコア監視員で私に報告して。期待はしていないけれど、一年生でここまで辿り着いたのならば何か成果を持ってくるかもしれない。それを期待しているわ。それと」 学園長は付け加えた。「このことを話す相手は渡良瀬瑞希一人だけ。それ以外…&hel

  • 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした   第133話・嘘は吐いていない

     笑みの消えた学園長はじっとこっちを伺っている。「コア周波数で繋がっているコア監視員の目を反らすなんて、コアを最初に宿した時に身につく能力じゃない。少なくともこの学園に来てコア監視員の存在を知って、そこで初めて手に入れられる能力です。もし、長田先生からコア監視員や創造主《クリエイター》の話を聞いて、そんな能力を誰かが持っているんだとしたら、それを学園長かコア監視員の創造主《クリエイター》に伝えなければならないと思った。これで納得できますか?」 学園長はネイルの塗られた爪を口元に当ててこちらを見ている。 僕は笑みを浮かべたままその目を見返す。

  • 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした   第132話・笑うんだよ

     笑顔の学園長は、しかし目だけは笑わずにじっとこちらを伺っている。 どう話せばいいんだろう。何から話せばいいんだろう。 彼方くんは黙ってしまった。そりゃそうだ。彼方くんは何も関係がないんだから何とも返事しようがない。 あるいは、僕に任せる、と言いたいのか? 間違いない。彼をこの場に引き込んだのは僕なんだ。 僕が返事をしなければいけない。 心臓がバクバク言っている。興奮じゃない、緊張の鼓動。 ここに渡良瀬さんがいてくれたらなと思い、僕の迂闊な行動に巻き込まずに済んだとも思い。

Bab Lainnya
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status