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第3話・広がる噂

Penulis: 新矢識仁
last update Terakhir Diperbarui: 2025-11-20 14:19:43

 どんなに嫌だ嫌だと思っていてもバレる日は来る。特別に嫌な事なら絶対に。

 誕生日の次の日が月曜日で、僕は友達に取り囲まれ、どんなコアを手に入れたのだと聞かれ。

 僕……丸岡まるおかひとしのコアが、限りなく無色に近いベージュだったってことは、学校中に知れ渡った。

 翌日には、ひそひそ声があちこちから聞こえてきた。

「あいつのコア、ベージュだったんだってよ」

「ベージュ? マジかよお」

「嘘だと思うなら見せてもらえよ。俺、笑えるどころか泣けて来たよ」

「何か使える力とかあんのか?」

「ベージュで何か連想できるかよ」

「あ、美白とか」

「それB組の武田が言ったらしいけど、何にも起きなかったとか」

「それどころか、別のコアも手に入らないんだぜ? あのコア一つで一生送るんだぞ」

「高校受験、どうすんだろな……」

「職に就けるかどうかわかんねーしな……」

 みんな、一度は笑い、その後、気の毒そうな表情で僕を見た。

 何せ、コアは将来に大いに関わってくる要素なんだ。

 コアの色で職の向き不向きも出てくるし、特定の職業では色が違ったら採用されない場合もある。コアの色や、コアの力で将来が決まってくる。

 なのに僕のコアは色は死ぬほど地味で、三日目の現在、何の力も発揮していない。日焼けに悩んでいるB組の武田さんにどうにかならないかと言われてコアの力を使えないかと努力はしたけど、武田さんの小麦色の肌は薄れもしなかった。美白の力が使えればまだ女の人相手の仕事をできたかも知れないのに。そうすればまだ僕の将来も……。

 はあ、と大きくため息をつく。

 僕の第一志望高校は日本弧亜学園高等学校。日本で数ある高校の中でも、コアの使い方を教えるのが一番うまい高校と評判だ。

 学力は問題ない。内申書にも問題はない。

 ただ、弧亜高校には秘密の試験がある。

 どんな内容かは知られていない。

 合格者は固く口留めされる。落第者は恐らくコアの力で試験の内容を忘れてしまい、思い出せない。コアを使うとしか知られていない秘密の試験と呼ばれるそれが、学力より面接より重要なのだという。

 僕の、何ができるかすら分からないコアで、そんな試験を突破できるんだろうか。

 去年部活の先輩が弧亜を受けて落ちていた。

 赤色に近い黄色と言う色合いで、太陽の光を強めたり弱めたりしようと訓練もしていてある程度うまく行っていたのに、だ。

 先輩も自信があったから第二志望なんて受けていなかったので、落ち込む暇も悲しむ余裕もなく第二志望を探してギリギリ高校浪人を避けた。

 そんな学校に、ベージュの僕が挑めるんだろうか。

 ついさっき、先生にも言われた。

「丸岡、お前今でも本当に弧亜を受けるつもりか」

 先生は真剣な顔で言った。

「あそこは日本でも有数の難関校で、コアを見る。……言っちゃ悪いが、淡いベージュの、まだ何の力も発揮していないコアのお前が合格できるか」

 先生の言いたいことは分かってる。この中学から色々なコアの色や力を持つ生徒が弧亜に挑んだけど、いまだに誰一人合格していない状況なのだ。

「……でも」

「お前の気持ちは分かる。けどな、せめて第二、第三志望は考えておけ」

 弧亜学園高校を選ぶ生徒は皆自分のコアに自信があるから、第二志望を受けない人が圧倒的に多い。そんな人たちも落ちてきているんだ、先生は決して悪意があって言ってるわけじゃない。

 だけど。 

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