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last update آخر تحديث: 2025-12-30 21:15:24

 3人それぞれの個性が際立っているのに、完璧に調和している。完成されたエンターテインメント。まごうことなきスターの姿だった。

「……うわ、俺めっちゃカッコつけてんなー」

 こたつの上から聞こえた間の抜けた声に、私は現実に引き戻された。

 目の前にはゴロゴロしながら、自分の映像をボーッと眺めるハルくんがいる。その横ではセナさんが眼鏡を外して目をこすり、レンくんはあくびを噛み殺している。

 レンくんのスウェット姿は(悲しいことに)見慣れてしまった。

 だがセナさんとハルくんまで……?

 画面の中の「完璧な偶像」と、こたつの熱でふやけた「無防備な男たち」。そのギャップがあまりにも大きくて、私は呆気にとられた。

「あー……」

 ハルくんが、天井を見上げながらポツリと漏らした。

「ここ、マジで帰りたくねーな」

 ただの独り言のようで、ひどく切実な響きがあった。セナさんもそれを否定しなかった。

「外は敵とカメラばかりですからね。ここは酸素が濃い。息ができる」

 彼らは戦っているのだ。あのきらびやかで過酷な世界で、常に完璧であることを強いられながら。

 だからこそこのボロアパートの生活感にまみれた空気が、彼らにとっての「安全地帯(セーフティゾーン)」になっているのかもしれない。

 テレビの画面の向こうでは、輝くようなアイドルが歌っている。

 あれもまた、確かに彼らの姿。

 けれども目の前の3人も、彼ら自身なのだと感じた。

 深夜になると、セナさんの運転手付きの車が迎えに来て、2人は帰っていった。祭りの後の静けさが戻った部屋で、私はキッチンの片付けを始めた。

 すると、背後からふわりと温かいものに包まれた。レンくんが後ろから抱きついて、私の手からスポンジを取り上げる。

「手荒れする。俺がやる」

「でも、レンくん今日は疲れてるんじゃ……」

「いいから」

 彼は私を横に退かせ、慣れない手つきで皿を洗い始めた。その背中はいつもの甘えん坊な彼よりも、少しだけ大

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  • 塩対応の国宝級アイドルは、私の手料理がないと生きていけないらしい   109

     それに、あの目はただの不機嫌じゃない。もっと深刻な嵐の前の静けさだ。 ここでリカバリーしておかないと、後々大変なことになる予感がする。「私が、ちゃんと栄養を届けてきます」 私はキッチンに戻り、フライパンを火にかけた。◇ 15分後。私はトレーを持って、レンくんの部屋の前に立った。 メインディッシュは彼が一番好きなオムライス。ただし、ランチに出すようなカジュアルなものではない。赤ワインを煮詰めた濃厚なデミグラスソースをかけて、バターを贅沢に使った「ドレス・ド・オムライス」だ。「レンくん。入りますよ」 ノックをしても返事がない。私は肩をすくめると、セナさんから預かっているマスターキーでロックを解除した。 部屋の中は薄暗く、間接照明だけが灯っている。 レンくんはデスクに向かっていたが、ペンは止まっている。背中から漂う空気は、拒絶そのもの。「……勝手に入るなと言っただろ」 低く地を這うような声が聞こえた。不機嫌を通り越して怒りすら感じる。 でも私は怯まない。私は管理スタッフだ。レンくんがいくら怒っても、栄養補給を全うする義務がある。 いや、義務とかそんなもの以上に、彼には健やかでいて欲しい。「ご飯を食べないなら、私が食べさせます」 私が強引に歩み寄ろうとすると、ガタッ、と椅子が鳴った。 レンくんが立ち上がり振り返る。その瞳は熱を帯びていて、暗闇の中で獣のように光っていた。「……っ」 次の瞬間、私の手首が掴まれた。強い力で引き寄せられ、私は壁に押し付けられた。「レンく……」「……お前、鈍感すぎるぞ」 逃げ場を塞ぐように、私の顔の横に彼の手が伸ばされる。 至近距離にある彼の顔は、怒りと、どうしようもない切実さで歪んでいた。「俺が、ここに連れてきたのに」 彼の指先が私の頬をなぞる

  • 塩対応の国宝級アイドルは、私の手料理がないと生きていけないらしい   108:王様の嫉妬

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  • 塩対応の国宝級アイドルは、私の手料理がないと生きていけないらしい   107

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  • 塩対応の国宝級アイドルは、私の手料理がないと生きていけないらしい   106

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  • 塩対応の国宝級アイドルは、私の手料理がないと生きていけないらしい   105

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  • 塩対応の国宝級アイドルは、私の手料理がないと生きていけないらしい   104:夜の攻防

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