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第 223 話
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夏目さん、死なないで！ 社長のアプローチが始まった！ 第 255 話
「霧島さん」凛の声が聞こえ、全員が一斉に振り返った。病室の入り口に、凛が車椅子に座っていた。表情は驚くほど穏やかだった。「二宮さんの言うとおりです。彼は悪くないです。それに、今日はおばさんにお会いしました。今後の治療は彼女が面倒を見てくれるそうです。他に何も言われませんでした。本当に感謝しています。霧島さん、私がここまで来られたのは、あなたのおかげです。でも、今、あなたの立場が危うくなっているのは、私のせいです。これ以上、あなたに迷惑をかけるわけにはいきません。私たちは友達ですよね。友達なら、お互いを理解し合うべきじゃないですか？あなたが私を助けたいと思ってくれる気持ちはわかってい
夏目さん、死なないで！ 社長のアプローチが始まった！ 第 254 話
VIP病棟の階に戻ると、先ほどの看護師が慌てて駆け寄ってきた。「夏目さん、どこに行ってたんですか？こんなことされたら、私がクビになっちゃうじゃないですか！まあ、無事に戻ってきてよかったです。今、防犯カメラの映像を確認していたんですが、もしかしたら、あの奥さんが......」「ああ、夏目さんが戻ってきてくれてよかった！」悠斗は看護師の言葉を遮り、言った。「本当に驚いた。迷惑をかけたな！」「いえいえ、患者さんの安全を守ることは私たちの仕事ですから」看護師は凛を見ながら、聖天をちらりと見た。「夏目さん、霧島さんは本当物凄く心配していたんですよ。今にも病院をひっくり返すんじゃないかと思いまし
夏目さん、死なないで！ 社長のアプローチが始まった！ 第 253 話
ふと、8年前の記憶が蘇ってきた......豪雨の中、救助活動を終えたばかりの聖天は、足を滑らせて崖から落ちそうになった。その時、柔らかな手が彼の手を掴んだ。まだ18歳だった凛は、小柄な体で、命懸けで聖天を助けてくれた。「手を離さないで......」風雨の音にかき消されそうな、震える声だったが、その言葉には強い意志が感じられた。聖天は助け上げられたが、凛は力尽きて低体温症で倒れてしまった。あの状況では、目を閉じたら二度と目覚めない可能性もあった。聖天は、今でもあの時の気持ちを鮮明に覚えていた......彼女はまだ死んではいけない。まだ、直接お礼を言えていないのに。「聖天！」悠斗の
夏目さん、死なないで！ 社長のアプローチが始まった！ 第 252 話
悠斗は廊下に立ち、雪がホテルに戻ったというメッセージを受け取った。ちょうどその時、聖天が診察室から出てきたので、悠斗は慌ててスマホをしまい、何気なく尋ねた。「どうだった？医者は何て言ってた？」聖天は少しイライラした様子で言った。「前と同じだ。早く抗がん剤治療を始めなければならない」「では......夏目さんはどう言ってるんだ？抗がん剤治療は辛いだろうに？」「彼女は嫌がっている」聖天は眉をひそめた。「だが、彼女のわがままを聞けるか？」悠斗は頷いた。「確かに、ここで諦めたら、本当に終わりだ」「ああ」聖天は小さく返事をし、病室へ向かって歩き出した。悠斗は聖天の後ろ姿を見つめ、何かを考
夏目さん、死なないで！ 社長のアプローチが始まった！ 第 251 話
「聖天に縋っても無駄よ！今のうちに徳でも積んで、来世はいい家に産まれることね！」「そういうわけではありません......」凛は困惑しながらも、少しおかしかった。雪の言動は、まるでありがちな恋愛ドラマに出てくる意地悪な姑のようだ。完全に誤解されている。「あの......最初に言われた提案ですが、とても良いと思いますので、そのようにお願いします」「？」雪は疑問に思った。おかしい。これは、自分が想像していた展開と違う。小切手を突きつけて凛を聖天から引き離し、一悶着あるはずだったのに。「どうしました？何か問題でもあります？」凛に尋ねられ、雪は我に返り、慌てて威厳を取り繕った。「まさ
夏目さん、死なないで！ 社長のアプローチが始まった！ 第 250 話
凛は日差しで目を覚まし、椅子に座って目を閉じている聖天を見た。少し痩せたようで、もともとシャープなあごのラインがより一層際立っていた。金縁眼鏡をかけていても、目の下のクマは隠しきれていない。この数週間、目覚めるといつも聖天が側にいた。最初は偶然だと思っていたが、いつも聖天がいるので、彼がずっと付きっきりで看病してくれているのだと気づいた。鈍感な凛でも、聖天が自分を大切に思ってくれていることが分かった。そしてそれは、ただの友達の域を超えている。しかし、それ以上深く考えるのは......怖かった。「何を考えているんだ？」聖天の低い声が聞こえ、凛はドキッとした。慌てて否定した。「い、い
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