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第 450 話

Author: 一笠
加賀家。

翠は部屋に入るとすぐに鍵をかけ、和子は外に閉め出された。いくら説得しても無駄だった。

翔は騒ぎで目を覚まし、あくびをしながら部屋から出てきた。「今夜は霧島家で泊まるんじゃなかったのですか?どうして......」

「黙りなさい!」

和子は、翔をビクッとさせるほどの怒鳴り声を上げた。

「今後、霧島家の人たちの話は二度とするな!ろくでもない人ばかりだ!あなたもだ!聖天とはもう関わるんじゃない!彼は......最低な男だ!」

和子は相当頭にきていて、廊下に響き渡るほどの大声で叫んでいた。

翔は少し呆然とした。「一体何が起きたんですか?話してくれないと、判断がつきません。もし本当に聖天が悪いな
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