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第23話

작가: 夕風の旋律
由理恵は記憶を何度もたどってみた。でも、いつ樹と会ったのか、どうしても思い出せなかった。

それに、彼がずっと好きだったって言うくらいだから、絶対に会ったことはあるはずなのに。

その質問を聞くと、樹はクスっと笑った。

「ええ、ありますよ」

「どこでですか?」由理恵はさらに問い詰めた。

「そうですね。薄いグレーなんてどうでしょう。上品に見えますよ」

樹が、この質問に答える気がないのは明らかだった。

彼が言いたくないなら、由理恵もそれ以上は聞けなかった。

「はい。修正したデザイン画、後でスマホに送りますね」

その時、由理恵のスマホが鳴った。相手は叔母の真奈美からだった。

正直、電話に出たくなかったけど、無視するわけにもいかないのだ。

そして、案の定電話に出たとたん、相手が矢継ぎ早に質問してきた。

「由理恵ちゃん、会えたの?どうだった?言っとくけどね、樹さんは本当にいい人なのよ。性格もいいし、イケメンだし、稼ぎもばっちり。あの人と結婚したら、もう安泰よ」

スマホから漏れる声を、隣にいた樹ははっきりと聞いていた。

そして、彼の口元は緩みっぱなしで、にやけるのを隠しきれない様子だった。

由理恵も笑っていた。でも、その目は全く笑っていなかった。

「おばさん。そんなにいい人なら、陽菜ちゃんに紹介すればよかったじゃないですか」

松田陽菜(まつだ ひな)というのは、真奈美の娘で、今年大学を卒業したばかりだった。

「陽菜?彼女にそんないい人が、釣り合うわけないでしょ。

話をそらさないでちょうだい。それで、あなたはどう思ったの?」

もうごまかせないと観念して、由理恵は正直に答えることにした。

「いい人だとは思いますけど、私たち、合わないと思うんです。

おばさん、また家に帰ってから話します。今、ちょっと立て込んでるので、切りますね」

そう言うと、由理恵は一方的に電話を切った。

改めて樹の方を見ると、さっきまで浮かべていた笑みはすっかり消えていた。

彼が何も言わないので、由理恵も黙っていた。

まもなく、車は由理恵のスタジオの前に停まり、二人は順番に車を降りた。

樹は中までついてくるつもりらしかったけど、由理恵はもうこれ以上話すことはないと感じていた。

「カラーについてはもうご意見を伺いましたし、この後、来客の予定が……」

由理恵の言葉が
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