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36. 耳の後ろの温もり

last update publish date: 2026-10-02 19:38:05

ユ・ジニが遊歩道脇のベンチに、一人で座っていた。

流れる水面を黙って見つめていた。

午後の活気に満ちた人波の中で、なぜかその男だけが島のように孤立して見えた。

声をかけようか。

それとも、気づかないふりをして通り過ぎようか。

頭で迷っている間に、足は先に彼のほうへ向かっていた。

人の気配を感じたのか、ユ・ジニが顔を上げた。

視線が重なった。

「出ていらしたんですね」

ユ・ジニが先に静かに声をかけた。

驚いた様子はなかった。

まるでここで彼女を待っていることが当然であるかのような表情だった。

ミレは何も言わず、その隣に腰を下ろした。

二人は並んで座り、流れる川を見つめた。

何の会話も交わされなかった。

川は流れ、乾いた風が頬を撫でた。

けれど、そばに誰かがいる。

ただそれだけで、少し前まで塞がっていた息が、奇跡のように楽になった。

ミレは自分の中に満ちてくるこの安堵感が、なぜか少し怖くなった。

「顔色がよくないですね」

ユ・ジニが水辺に視線を向けたまま、静かに言った。

「そうですか?」

「はい」

ミレは膝の上に置いた両手を、そっと重ねた。

「今日はちょっと……変な日ですね」

それ以上は
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