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第179話

Auteur: 一燈月
あまりに長い間、小夜に会えなかったせいだろうか。

樹は食事が終わるとすぐに彼女にべったりと甘え、宿題を見てほしい、お風呂に一緒に入ってほしい、夜も一緒に寝てほしいとせがんだ。

この一連の甘えに、彼女は弁護士に連絡する時間さえ取れず、明日に持ち越すしかなかった。

樹の入浴については、手の怪我のため手伝えなかったが、ただそばに座って話に付き合った。夜、一緒に寝ることだけは拒まなかった。

その夜、圭介は帰ってこなかった。彰は、寝室の外で一晩中見張っていた。

……

翌朝早く。

「ママ、学校まで送ってくれないの?」

小さなランドセルを背負った樹が、車のそばで不満そうに立っている。

久しぶりにママが帰ってきたのに、学校へ送ってくれない。パパもどこかへ行ってしまい、送ってくれない。

「奥様は手を怪我されておりますので、外出は難しいのです。またの機会に」

彰は一晩中起きていたにもかかわらず、疲れた様子は少しも見せず、相変わらず精悍な顔つきをしていた。

彼は腰をかがめてそう言うと、渋る樹を車に乗せ、運転手に学校まで無事に送り届けるよう命じた。

主寝室に閉じ込められた小夜は早々に目を覚まし、朝食を済ませると、バルコニーの椅子に座り、屋敷の門の方をじっと見つめながら、弁護士に電話をかけた。

電話に出たのは、弁護団の責任者であるベテランの女性弁護士だった。

昨日の法廷での一件があったため、彼女は早くから珠季と連絡を取り合っており、ずっと小夜からの電話を待っていた。電話はすぐにつながった。

基本的な状況を確認し、二人はすぐに本題に入った。

弁護士はまず、現状について説明した。

一度目の提訴は失敗に終わり、次に原告が訴えを起こすには六ヶ月待たなければならない。

ただし、その間に特殊な事情が発生した場合、原告はこの制限の例外として、いつでも訴訟を起こすことができる、と。

「どのような特殊な事情でしょうか?」

小夜は六ヶ月の待機期間のことは脇に置き、その特殊な事情の条件について単刀直入に尋ねた。

「旦那様のDVや虐待、賭博といった重大な過失がそれに当たります。あるいは、不倫の決定的な証拠を掴むことです。

以前我々が集めた証拠は、どれも直接的なものとは言えず、あくまで状況証拠に過ぎません。相手方の弁護士に隙を突かれやすく、決定打にも欠けます。できれば、そ
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