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第178話

Author: 一燈月
長谷川邸。

主寝室のドアが開くと、樹が小走りで入ってきて、ベッドの端に座る小夜の懐へと飛び込んだ。

「ママ。パパがね、ママは最近忙しくてお家にいないから、邪魔しちゃだめだって。僕、ママに会いたかったよ」

小夜は樹の柔らかい体を抱きしめる。血の繋がりがもたらす抗いがたい愛着に一瞬心が揺さぶられるが、すぐにまた平静を取り戻した。

小夜は、裁判所へ行く前日のことを思い出していた。

樹が若葉の手を引き、圭介と一緒に、あのお気に入りのキャンディー店へと向かう姿。

その光景は、まるで本当の家族のように、仲睦まじく見えた。

この言葉に、どれほどの真心が込められているというのだろう。

しかし、どうあれ自分の息子だ。彼女は樹の体を少し離して隣に座らせると、穏やかな声で最近の出来事や勉強について尋ねた。

だが、体を離された樹はそれが不満だった。

しばらくママに甘えられていなかった彼は、会えない間は若葉と遊んでいたため、時折思い出す程度だったが、いざ顔を合わせると本能的に寄り添いたくなる。

ママの匂いが好きだ。ママの温かい腕の中が……

彼は再び小夜の懐に顔を埋め、小夜の真っ白なセータ
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