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第219話

Penulis: 一燈月
弁護団の代表はそれを聞いて、ひとまず安心したようだったが、彼らが協議した末の結論は、やはり変わらなかった。海外へ渡り、二年間の別居期間を設けるのが最善だ、と。

「我々が現在手元に持っている材料では、再び訴訟を起こすには六ヶ月待つ必要があります。

新たな決定的な情報、例えば、相手方の不貞行為の証拠となる、ホテルへの出入りや肉体関係を裏付ける写真や動画でも手に入らない限りは、いつでも訴訟を起こすというわけにはいきません。

我々も長らく尽力してきましたが、長谷川さんはあまりに用心深く、なかなか尻尾を掴ませないのです。

そこで、我々の提案は、二段構えで進める、というものです。

まず、高宮さんはもう長谷川家側には近づかない方がいいでしょう。可能であれば海外へ渡り、別居という既成事実を作ってしまうのです。そうすれば、離婚成立まで時間はかかりますが、成功率は格段に上がります。

そして、我々も引き続き、長谷川さんの不貞の確固たる証拠を手に入れるべく、再度の訴訟の機会を窺います」

二つの策を並行して進める。確かに、その方が勝率は高いだろう。

しかも、この二つの方法は同時に進行でき、互いに
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    茶室の前で二時間近く待ち続けた彰が、いい加減しびれを切らして中に踏み込もうとした矢先、小夜が自ら出てきた。 「あいつが、何かしたのですか」 目の縁が赤く、鼻先もほんのりと紅い。明らかに泣いた後だった。彰の目の奥が、すっと冷たく沈む。口調こそ落ち着いていたが、体はすでに大股で茶室に向かっていた。青山に落とし前をつけに行く気だ。 「違うわ!」 小夜は慌てて彼の腕を掴み、強引に外へ引っ張った。「栄知様に今夜来るよう呼ばれているの。これ以上遅れられないわ。それに、あなたには関係ないでしょう!」 いつもこうだ。 この一年、小夜が青山と会うたびに、彰は異常なほどぴったりと張りついてくる。最初の頃は部屋の中にまで同席しようとしたほどだ。きつく叱っても、返ってくるのは決まって同じ言葉だった。 ――旦那様の遺命です。社長をお守りしろと。 青山が自分を傷つけるわけがないのに。 何度か本気で怒って、ようやく外で待たせるようになったが、それでも時間制限つきだ。小夜には彰に対する命令権があるとはいえ、相手は長谷川本家が育て上げた筆頭の腹心であり、単に気に入らないからと切り捨てるわけにはいかない。 せいぜい、専属秘書の奈々をそばに置いて、彰との接触を物理的に減らすくらいしかできなかった。 だが国内にいる限り、どうしても彼を完全に振り切ることはできない。 本当にやっかいだ。 彰を車に押し込み、走り出す。道中、運転席の彰がバックミラー越しにやはり一言挟んできた。「奥……社長、小林青山という男は危険です。見た目ほど単純な人間ではありません。今後は、少し距離を置かれたほうがよろしいかと」 「……」 小夜は呆れたように言った。「それ、本当に青山のことを言ってるの?自分のことじゃなくて?」 「……私は、決して社長を傷つけません」 「ふん」 小夜は取り合う気にもなれなかった。それに、まだ心も落ち着いていない。目を閉じ、指先で眉間を揉みながら、波立つ感情をやり過ごそうとした。 …… 茶室の二階。 オレンジ色のベントレーが視界から消えるのを見届けた青山が、席を立とうとした時、テーブル上のスマホが震えた。画面に表示された番号を見た瞬間、彼の唇から穏やかな笑みがすっと消え失せた。 「何の用だ」 何度か無視した

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    青山はタブレットを小夜の前に押しやった。 「構わないさ。君と僕の仲だろう。君を信じられなくて、他に誰を信じるって言うんだ」 確かに、その通りではある。 青山の会社が公安に納入している中核アルゴリズムですら、小夜はその仕組みを知っているし、開発にも携わっていた。青山は昔から、彼女に対して一切の壁を作らない。 だが、その信頼は今の彼女にはあまりに重かった。ためらいはしたが、重ねて頼み込まれ、小夜はとうとう画面をタップした。 そして、息を呑んで固まった。 国内のプロジェクトだけではない。 海外の案件までリストアップされている。 瞬時に察した。これは純粋に意見を求めているわけではない。この男の本当の狙いは――別のところにあるのだ。 …… 「あなた、これ……」 呆然と顔を上げたまま、小夜は絶句した。 青山はまるで動じた様子もなく、気楽に笑って言った。「そう構えなくていい。君の意見を参考にしたいだけだよ。最後に決めるのは僕だからね」 そうは言われても、小夜は静かにタブレットをテーブルに置いた。長い沈黙のあと、ようやく重い口を開く。 「青山。もし私の思い違いなら、ただの自惚れだと思って聞き流して……もう、私を待たないで。あなたはこんなに優秀な人なんだから、もっといい人にいくらでも出会えるわ。あなたの大切な時間を、私なんかに使わないで」 「ささよ」 小夜が正面から切り込んできたのを見て、青山もついに覚悟を決めた。 「僕にそんな資格がないのはわかっている。一年前、君を海外へ送り出したのは僕だ。そのせいで、君はあんな酷い目に遭った。それなのに僕は国内で身動きが取れず、君を助けに行くことすらできなかった……だから、ずっと怖くて訊けなかったんだ。でも今は、お互いを縛るものがなくなって、新しい人生が始まっている。だから、訊かせてほしい。あの日の言葉を、まだ信じていてもいいかな」 小夜の表情が凍りついた。 あの日の言葉。覚えていないはずがない。一年前、青山の助けで海外へ逃れる日、搭乗の直前に、彼女は確かに彼と約束を交わしたのだ。 けれど、今は…… 「違うの」 長い間うつむいてから、小夜は絞り出すように声を出した。「海外へ行くと決めたのは私自身の意志よ。あなたはただ、手を貸してくれただけ。

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