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28話

Auteur: 籘裏美馬
last update Date de publication: 2026-02-15 16:59:13

律子達が医務室で手当てを受けている間。

音羽は、カウンセリング室で伏見のカウンセリングを受けていた。

「気分は?気持ちが不安定になっていたりはしないか?」

「だ、大丈夫です伏見先生。びっくりはしましたが……」

「それなら、良い。……ここから軽作業場が良く見える。いきなりあんな騒ぎが起きて驚いた」

音羽の言葉に、伏見は緩く口元を笑みの形に変えた後、表情を引き締め、そう続けた。

「この部屋から見えたんですね。だからあんなに早く駆けつけて……!だ、だけど伏見先生!いくら先生が男性で、力が強くとも、あんな風に暴れている人に近付いたら危ないです!女性だからと言って、その……ここは、刑務所ですから……。罪を犯して服役している以上、一般の人より危ないです……」

伏見は、まさか自分の身を案じられるとは思わなかった。

普段、自分がどんな事をしているのか。それを、音羽は知らないのだから当然だ。

女性がいくら暴れようとも、伏見に取ってはそれを御するなど赤子の手をひねる程に容易い。

目をつぶっていたって簡単に出来るくらいだ。

その証拠に、伏見が輪の中に入ってきた瞬間、律子は「助かった
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    ◇ 取引先の創立記念パーティー当日。 その日、樹と裕衣は時間ギリギリに会場にやって来ていた。 ホテルの大ホールを貸し切って催される大きなパーティーだ。 招待客が多く、玉櫛ホールディングスの社長である樹が姿を見せると、沢山の人が挨拶に訪れる。 愛想笑いを浮かべ、そつなくこなしていた樹だったが、ふと隣に立つ裕衣に違和感を覚えちらりと視線を向けた。 すると、裕衣は心ここに在らず、といった様子で挨拶にやってくる人達に言葉を返している。 その裕衣の様子に苛立ちを覚えた樹は、真面目に仕事をしろ、と一言言ってやろうとした。 だが、その時に会場に入って来た人物を見て、話そうとした言葉が固まる。 「──なんで、」 自分の夫が驚いた様子で別の方向を向き、唖然としている──。 その事に気がついた裕衣は、自らもそちらへ顔を向けた。 そして、樹同様、驚いた。 パーティー会場に現れたのは、伏見と音羽だったのだ。 「──何で、あの女が……」 裕衣の表情は忌々しいとでも言うように歪められた。 ◇ 「伏見さん……!」 ざわざわ、と人の沢山の人の話し声が聞こえる中、伏見の名前を呼ぶ声が聞こえた。 遠くからやって来るのは、翔の父親である波多野だ。 波多野夫妻が揃って音羽と伏見の所へやって来た。 音羽はびっくりして伏見に視線を向ける。 まさか、伏見が自ら自分の素性を明かしているとは思わなかったのだ。 「蓮夜、自分の本当の苗字を名乗ったのですか?」 「ああ。あの日、表の名刺を渡してある。もう隠す必要は無いだろう?」 あっけらかんと話す伏見に音羽が呆れていると、波多野夫婦がやって来た。 「このパーティーでお会い出来るとは……!」 「ええ、私たちも驚きました。波多野さんも繋がりがあったのですね」 伏見と波多野が話している間、音羽と波多野の妻が和やかに会話をする。 「恭くんは元気ですか?」 波多野の妻の言葉に、音羽は困ったように眉を下げた。 「実は今、蓮夜──夫の実家に泊まっていて、恭ちゃんとはあれ以来会えていないんです」 音羽が寂しそうにそう答えると、波多野の妻は「まあ」と気遣うように口を手で覆った。 「それは寂しいですね……。一刻も早く一緒に住めるようになればいいですね」 「ええ、本当に」 「それとは別に──」 波多野の妻が、ちらりと

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