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第1119話

Penulis: 夜月 アヤメ
侑子は安奈を客室へ案内した。

すると安奈は、部屋に入るなりふわっと跳ねるようにベッドへダイブ。

「わあっ、このベッドふっかふか!しかも、部屋の匂いもめっちゃいい!ここに一生住みたいくらいだよ!」

その言葉に、侑子の表情が一瞬ピキッと固まる。

―一生住みたいって、なにそれ。どんだけ図々しいの。

とはいえ、顔には一切出さずに、柔らかい笑顔で近づいた。

「安奈、ここではちょっと礼儀正しくしようね。あくまでここは、うちの家じゃないんだから」

「えー?でもさ、修さまは侑子姉の彼氏でしょ?ならここも、ほとんど侑子姉の家みたいなもんじゃん?将来的には完全にそうなるんだし、私は従妹だから、ちゃっかり便乗しとくね!」

「......それはまだ、何にも決まってないから。だから、変なことは言わないで。特に、修の前では」

「なにが?だってもう『そういう仲』なんでしょ?それならさ、ちゃっちゃと子ども作っちゃいなよ。そしたら、いよいよ決まりじゃん?......もし侑子姉が無理そうなら、私が代わりに頑張ってあげるってのもアリよ?ほら、私たち姉妹みたいなもんだし、どっちかが藤沢家に嫁げばオッケーじゃない?」

全く悪気もなく、むしろ自信たっぷりにそんなことを口にする安奈。

侑子の笑顔が一瞬、引きつる。

―このままここに置いたら......絶対、修を狙う気だ。

―いや、あの見た目じゃ無理でしょ。でも......油断は禁物。

「もう、変なこと言わないでよ。ちょっとここで休んでて。私、ジュース持ってくるね」

「おっけー、ありがと~!」

安奈は手でハートを作って見せ、すぐにポケットからスマホを取り出した。

侑子が部屋のドアに手をかけたとき、突然、背後から甲高い声が響いた。

驚いて振り返る。

「どうしたの?」

「このクソ作者めぇ、よくも私のことを罵ったわねっ!!」

安奈の叫び声が部屋中に響く。

侑子はベッドのそばに寄って、首をかしげた。

「どうしたの?」

「ここ数ヶ月追ってた小説があるんだけど、あまりにも腹立って、ずっと作者に文句言ってたの。そしたらよ!?まさかの作者本人が私に反撃してきたのよっ!マジ信じらんない!」

「そんなに怒るほどの本?フィクションなんだし、軽く読むくらいがちょうどいいんじゃないの?」

侑子はやんわりと宥める。

「違うのっ、これはもう
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Komen (3)
goodnovel comment avatar
hayelow488
ビックリしました。 杏奈の登場で話がいきなり低俗化して、ドン引きです。 おばあちゃんを理由に侑子と別れてなかったのもドン引きです。そんなのいくらでも対策とれるでしょ。本物がいるんだから。 総裁なのに、何でこうも決断力がないのかしら? 杏奈と侑子をおばあちゃん家に泊める流れもなんだか無理やりすぎる。また、事件が起こるんだろうなあ(涙)
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barairose88
侑子が出てくると、一気にストーリーの質が落ち、読む気力が急降下します。 課金するのを躊躇うほどです。 加えて杏奈…って さすが侑子の従姉妹、めちゃめちゃ気持悪いんですけど…。 苦行に耐えて読んでいるのですから、せめてこの子を侑子退場のきっかけにしてください。
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シマエナガlove
また変な女出てきた 早く侑子と別れないから 若子が訪ねてきたら ヤバイ展開になる予感 いらない人出し過ぎ しばらく続くならもういいかも
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