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第39話

Auteur: みそ煮
last update Date de publication: 2026-03-16 20:49:42

有真は結婚する十年前まで、忠嗣の経営する会社の社員として働いていた。彼女は一般家庭の生まれだったが、努力を重ねて有名大学を卒業後、大企業へと就職することができた。

そんな有真は、学生時代から明るい性格でクラスの人気者だった。絶世の美人というわけではなかったが、穏やかで優しく、いつだって周囲に気さくに振舞うその姿は男女問わず魅了した。

――そんなところが、彼を虜にしたのかもしれない。

彼女が九条グループに入社してから一ヵ月、有真は広い会社内で迷子になっていた。

(道に迷っちゃったわ……会議室はどこかしら……)

会議が始まるまではあと少しだ。入社早々遅刻するわけにはいかない。有真は焦っていた。彼女はしばらくウロウロしていると、トイレの近くで壁にもたれて立っている一人の男性を見つけた。

「あ、あの!すみません!」

「……?」

彼は有真の声に振り向いた。

(す、すごい顔……あまり寝れていないのかな……)

男は目の下に大きなクマを作っており、年齢は四十前後くらいに見えた。有真はその鋭い視線に恐れおののいたが、今は彼しか頼れる人がいなかった。彼女は勇気を振り絞って尋ねた。

「か、会議室に行きたい
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