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第150話

Penulis: かおる
星は彼を見つめ、静かに問いかけた。

「もし私に養える力があったら......翔太を渡してくれるの?」

雅臣の答えは一瞬の迷いもなく、冷たかった。

「あり得ない」

星はわずかに顎を上げ、その精悍な顔をまっすぐ見据える。

「もし、それでも私が望むとしたら?」

雅臣の返答はさらに無情だった。

「星......翔太を俺から奪おうなんて、おまえには勝ち目はないぞ」

「そうね」

星の唇に嘲りの笑みが浮かぶ。

「裁判になったところで、収入もない専業主婦に親権なんて渡らない。

判決は最初から見えている」

彼女の視線は鋭く雅臣を射抜いた。

「子どものために私は仕事も夢も捨て、専業主婦になった。

その結果、仕事がないから安定した収入もないことを攻撃の口実にされ、親権すら失う。

全てを投げ打った専業主婦の犠牲なんて、何ひとつ認められない。

雅臣、それでも翔太は自分の子どもだと、胸を張って言えるの?」

もし彼女に後ろ盾や地位があれば、あるいは親権を望めるかもしれない。

だが彼女には頼れるものもなく、姑からも毛嫌いされている。

離婚となれば、翔太は彼女の手から完全に離れていくだろう。

いや、今の翔太にとっては――むしろ母親であること自体が恥になるかもしれない。

もちろん、星は本気で翔太を取り戻そうなどとは思っていなかった。

彼女は最初から「無一文で家を出る」という覚悟で離婚協議に臨んでいたのだ。

けれど、雅臣は署名もせず、清子ばかりが目の前で好き勝手に振る舞う。

温厚な人間だって、限界はある。

ここまで踏みにじられて、黙っていられるわけがない。

雅臣は言葉を失った。

彼女の容赦ない言葉の刃に、胸の奥が苛立ちでざわつく。

――何かが、自分の掌からこぼれ落ちていく。

「もし俺が離婚に応じなかったら?」

低く投げられた言葉に、星の声は冷ややかだった。

「それでもきれいに終わらせるべきよ。

翔太のためにもね。

世間に泥試合を晒したいの?」

雅臣は沈黙した。

彼女の背後には影斗がいる。

あの男が手を貸せば、夫婦のスキャンダルはすぐに世間に広まる。

それは株価にまで影響しかねない。

翔太の未来にとっても、致命的だ。

彼の眼差しは深い湖底のように冷え、暗く沈む。

「星......俺を本気で怒らせたら、どうなるか考えたことはある
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