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第287話

Author: かおる
雅臣と勇は、すっかり清子の演奏に酔いしれていた。

ただ一人、航平の顔には穏やかな笑みが浮かんでいるだけで、澄んだ眼差しはどこか遠くを見ていた。

演奏が終わったあと、勇は得意げに尋ねる。

「航平、清子のヴァイオリンはどうだった?」

航平は温和に微笑み、「とても美しかった」とだけ答える。

幼なじみの勇には、その言葉の裏がわかる。

「......でも、なんだか心には響いてない反応だな?」

航平の笑みには、どこか淡い翳りが差した。

「もしかすると――もっと美しい風景を、見てしまったからかもしれない」

「もっと美しい風景?」

勇はすぐさま食いつく。

「それってどういう意味だ?

なぁ航平、お前さ、好きな女がいるんだろ?」

航平は隠すことなく、静かに頷いた。

「そうだ」

「誰だよ!どんな女なんだ?

見せてくれよ。

この航平に好きと言わせる女なんて、よほどの逸材に違いない!」

勇の目は好奇心で輝いていた。

雅臣と同じく、航平も幼い頃からエリート教育を受けてきた。

だが家庭環境の温かさゆえか、彼は雅臣よりも柔らかく、穏やかな気質を持っている。

冷ややかで人を寄せ
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