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第329話

Author: かおる
「雅臣、何か他に勇を助けられる方法はないの?」

清子の声は弱々しかった。

だが雅臣の声音は冷ややかだった。

「山田グループには協力し、星を持ち上げる宣伝をさせる。

これ以上余計な問題を起こさせないためにも、しばらく勇には大人しく冷静になってもらうべきだ」

清子は凍りついたように立ち尽くした。

「雅臣......勇を助け出すつもりはないの?」

雅臣は表情を崩さぬまま告げる。

「勇に伝えろ。

自分で後始末できないのなら、軽々しく騒ぎを起こすな。

いつも誰かが尻拭いしてくれると思うなと」

清子の瞳が揺れた。

――雅臣の勇への態度が、変わった。

命を救われた恩義があるからこそ、これまで彼は勇に限りなく寛容だった。

それなのに、どうして急に?

......そうだ、星だ。

警察署を出たあと、二人きりでカフェに入っていた。

きっとあの時、何かを言われたに違いない。

――勇を、牢に閉じ込めておくわけにはいかない。

彼がいなければ、星はますます得意顔になる。

清子は心の奥で歯噛みした。

勇は愚かだが、それでも切り札にはなる。

一方その頃、彩香の胸中はこの上なく晴れやかだった。

抱えていた窮地はすべて解決し、星の評判は見事に逆転した。

レストランの個室で、彩香は思わず親指を立てた。

「星、本当にすごいわ!

あの二百億、価値ある使い方だった!」

彼女らにとって二百億は信じられない数字だった。

だが彩香も理解していた。

あまりに大きすぎる金額は、手にしているだけで危うい。

勇らが虎視眈々と狙い、あの手この手で取り戻そうとするだろう。

星は静かに頷いた。

「正直に言えば、勇のおかげでもあるわ。

彼がいなければ、今の結果は望めなかった」

彩香は声をあげて笑った。

「勇のバカめ!

撒き散らしたスキャンダルが、全部私たちの武器になったんだから!

痛快すぎるわ!」

これほど胸のすく思いをしたのは初めてだった。

勇は完全に足をすくわれたのだ。

彩香は続ける。

「そうそう、今回は航平の情報にも感謝しないと。

彼がいなければ、こんなに完璧な結果になることはなかった」

そう言って、声を落とす。

「勇があまりに悪事を重ねるから、見かねてあなたに知らせたのは理解できる。

でも......酒気帯び運転で事故を起こしたなんて、
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