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第509話

Author: かおる
「この件は、少し時間をかけて考えたほうがいい。

焦って動くのは得策じゃない」

仁志が静かに告げると、清子は目を瞬いた。

「川澄家の息子って......もしかして、川澄奏のこと?」

仁志は軽くうなずく。

「星は、まだその事実を知らない。

だが――今日中には、きっと知ることになるだろう。

そして、彼女がそれを知れば、必ず奏を説得して川澄家に戻らせる。

奏も、間違いなく戻るはずだ」

視線を横に流し、清子を一瞥する。

その黒い瞳には、深い思惑が揺れていた。

「葛西家、川澄家、そしておまえの初恋――神谷家。

この三家を敵に回して、星に手を出すなんて、まず不可能だ。

今の彼女の後ろ盾は、最強に近い。

もう、簡単に踏みつけられる虫けらじゃない」

仁志の声は穏やかだったが、その中に冷ややかな現実があった。

星が雲井家にいた頃のことは、彼にも分かっていない。

彼女に、さらに別の顔があることを――まだ知らなかった。

腕時計にちらりと目を落とす。

「もう遅いな。

俺は行く」

そして、少年めいた悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。

「......俺がここに来たこと、内緒
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