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第788話

Author: かおる
彩香は思わずまばたきし、仁志を見つめた。

「......動く?

動くって、何を?」

仁志は当然のように答えた。

「決まってるじゃないですか。

ハリーの手を使えなくするんですよ。

そうすれば試合に出られません」

彩香は思わず復唱する。

「ハリーの......手を使えなくする?」

仁志は平然と眉を上げた。

「だってそうでしょう。

星野さんを永遠にヴァイオリン弾けないようにするつもりで、この賭けを仕掛けたんです。

それって、星野さんの手を潰すのと同じでしょう?

なのに、こっちがハリーの手を潰すのは駄目なんですか?」

彩香は――

言い返せない自分に気づいてしまった。

......言ってること、間違ってない。

とはいえ、すぐには頷けない。

彼女は周囲をさりげなく確認し、誰も聞いていないのを確かめてから、小声で言った。

「ハリーは世界的な著名人よ。

試合前に手を潰したら、犯人扱いされるのは間違いなく私たち。

星だって、もうすぐ音楽会でしょう?

今、スキャンダルは避けたいの」

そして、舞台中央の星を見やった。

「それに......星の実力はもうほぼ頂点
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