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第939話

作者: かおる
発覚を恐れ、連れていたのは運転手一人だけ。

向かった方角は分からないが、使っていた車は――

朝陽は、自分が把握している情報を、すべて吐き出した。

その協力度合いに、影斗は思わず視線を向ける。

だが、すぐに納得した。

この二人は、もともと生死を共にするような間柄ではない。

航平は、朝陽から得た情報を書き留め、部下に捜索を命じた。

そのとき、航平の携帯が鳴る。

「鈴木さん。

先ほど、星野さんに似た女性が、病院へ搬送され、救急処置を受けているとの情報が入りました。

現在、手術中で、ご本人かどうかは、まだ確認できていません......」

航平は、喜色を浮かべることもなく、淡々と答えた。

「分かった」

この一夜で、同じような報告を、何度も受けている。

影斗が尋ねる。

「そちら、何か動きがあったのか?」

朝陽を確保したことは、航平にとっても大きな助けだった。

隠す理由はない。

「彩香が、高架橋の下の川に落ち、今は病院で治療を受けている。

それから、少し前に、星に似た人物が、救急処置室に運ばれたという報告が入った。

余裕があるなら、病院へ行って確認してほしい。

ここは、私が引き受ける」

航平は、その人物が星だとは、正直、思っていなかった。

怜央のような男の手に落ち、しかも重傷を負っている。

そこから逃げ出せる可能性は、限りなく低い。

影斗は、航平を一瞥し、うなずいた。

「分かった。

こちらは任せる」

航平は、朝陽から、さらに情報を引き出そうとしていた。

一方、影斗は、彩香から何か掴めないかと考えつつ、星に似た患者が、本当に星なのかを確認するつもりだった。

こうして、朝陽の対応は、航平に委ねられた。

……

病院で、影斗は、まず彩香の容体を確認した。

救命処置はすでに終わっていたが、意識は戻っていない。

目を覚ますまでには、まだ時間がかかりそうだ。

続いて、星の可能性があるという、手術室へ向かった。

手術は、まだ終わっていない。

影斗は、電話で次の指示を出しながら、手術室の前で待ち続けた。

どれほど時間が経ったのか。

やがて、手術室の扉が開く。

医師が姿を現し、影斗を見るなり、一瞬、驚いた表情を浮かべた。

そして、こう告げる。

「ご家族の方ですね。

患者さんの手は、非常に深刻な状態です。

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