เข้าสู่ระบบ樹理が教室に駆け込んだのは、まさにぎりぎりだった。前の足が中に入ったと思った次の瞬間には、もうチャイムが鳴っていた。きちんと整然と埋まった座席を見て、彼女は慌てて聴講席を見つけ、そこへ腰を下ろした。そして当然ながら、その行動は周囲の学生たちの目を引いた。有村教授の授業に聴講生が来ている。そんなことは、これまで一度もなかったのだ。有村教授は高齢で、足腰もあまり丈夫ではないため、来るのも遅かった。授業開始のベルが鳴ってからかなり経って、ようやく保温ボトルを片手に、のんびりと入ってきた。髪はもう白くなっていたが、気力は驚くほどしっかりしていた。年配向けのジャケットを着たその姿は、いかに
有村教授は、この医科大学の古参教授で、二年生以上の学生を担当している。ひと月に授業は三回だけ。しかも、ないことすらある。だが、その一コマ一コマが毎回満員になる。ひとえに、この教授の教え方が本当に素晴らしいからだ。実際、この教授が直接育てた弟子たちは、誰も彼も博士号持ちだった。最低でも修士だ。もし上原先生が医学界の一方の大黒柱だとすれば、この人は間違いなくもう一方だった。しかも、この二人には決定的に違うところがある。上原先生は権力を弄するのが好きで、「生命樹協会」を作り、業界の優秀な人材を取り込んできた。けれど有村教授は、そういう場に顔を出すのを好まなかった。どこにも縛られず、雲
樹理はため息をついた。「たぶん、論文の内容が、あの人たちの理念と合わなかったんじゃないかな」「その言い方……よそで言わないほうがいいよ。本気でまずいことになるから」和香はそう言って、ぞっとしたように身震いした。どうやら彼女も、樹理にこんな大胆さがあるとは思っていなかったらしい。協会を正面から悪く言うなんて、いったい誰にそんな度胸があるというのか。「これはやけくそで言ってるだけ。せっかくあれだけ手間をかけて書いた論文を突き返されたんだよ。二言三言くらい文句を言ったっていいでしょ?」和香はため息をつき、仕方なさそうに腰を下ろした。「だから言ったのに。ほんと、なんでわざわざ協会を敵に回
涙を拭いてしまえば、また素直ないい子だった。樹理は少し考えてから言った。「……あの人たちのことで、自分を責めないで」「え?」「あの人たちのために、そこまでする価値なんてないの。あなたがまず覚えなきゃいけないのは、あの人たちに好かれることじゃない。先に自分を受け入れて、自分を大事にすること」樹理は一語一語、噛みしめるようにそう告げた。詩織を見つめるその眼差しには、諦めにも似た静かな感情と、遠い過去を振り返るような色がにじんでいた。彼女は、昔の自分を思い出していたのだ。樹理がまだ渡辺家にいたころ、詩織と何ひとつ変わらなかった。無視され、踏みにじられていた。あのころはまだ幼くてわか
白夜も、機会があれば一度詩織の家を見に行きたいと思っていた。なにしろ今の彼は、彼女の主治医のような立場でもある。患者の症状が長く改善しないなら、医者が家を訪ねて生活環境を確認するのは、ごく自然なことではないか。ただ、招かれてもいないのに訪ねていくのは、やはりあまりに唐突すぎる。彼にはそんなことはできなかった。それを聞いた樹理も、考えてみればその通りだと思い、もう一度ため息をついた。「もういいよ。今はひとまず家に戻る必要はないんだし、私たちで少し多めに気にかけてあげよう」それからというもの、樹理はたびたび療養施設へ足を運ぶようになった。行くたびに、詩織にちょっとしたものを持ってい
それ以上は、一言も説明しなかった。幸い、ここにいるのはみんな分別のある人たちだった。そんな様子を見て、それ以上深く尋ねる者もいなかった。それに、詩織の振る舞いについても、何か言える立場ではない。何を言えるというのだろう。相手は出資者側なのだ。自分たちはただの介護スタッフにすぎない。一介の雇われの身である以上、受け入れるしかなかった。スタッフたちは大きくため息をつきながら、その場を離れていった。白夜は薬箱から機器を取り出し、検査は樹理に任せた。本当なら、詩織はいつも通り嫌がって抵抗するものだと思っていた。ところが今回は、彼女はただ鼻を鳴らしただけだった。その反応には、白夜はもち







