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30話

Author: 東雲桃矢
last update publish date: 2026-06-08 00:12:24

 麻袋を取られたのは、あてがわれた部屋にある浴室でのこと。視界が開けると、ノエルが優しく微笑んでいた。

「頑張ったね、フォルター」

「ノエル様、俺、俺……!」

「怖かったね」

 髪を撫でられ、安堵する。ずっとこうしていたいと、目を閉じた。

「さぁ、洗おう。ジャン」

「はい」

 ジャンはフォルターを包んでいたタオルケットを取ると、拘束具を外し、出ていった。

「今日は僕が洗ってあげる」

「ありがとうございます、ノエル様」

 ノエルは丁寧にフォルターの体を洗ってくれる。それが心地よくて、疲労も相まって眠りそうになる。

「まだ寝ないで」

「すいません、気持ちよくて……」

「この後は、食事をしておしまい」

「あの、張り型は……」

「もちろん、入れてあげる」

「よかった……! ありがとうございます」

「ふふ、いいって。さぁ、あとは自分でできるね?」

「はい」

 フォルターが返事をすると、ノエルは浴室から出ていく。フォルターはお湯で口を何度もゆすぐと、体についた泡を流し、バスローブを着て部屋に行く。食事はすでに用意されており、ノエルは座って待っていた。

「張り型入れてあげるから、おいで」

「はい…
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