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9.疑惑と結婚への迷い

Penulis: 中道 舞夜
last update Terakhir Diperbarui: 2025-05-18 19:18:24
(しかし、自分の住んでいる場所の近くで展覧会があるという情報はどこで知ったのだろうか?ネットに疎いはずだがよく見つけたな……展覧会はきっかけで本当の目的は別にあったりするのか?)

そんな疑惑も抱いたが、自分が知らないだけで独自のコミュニティや繋がりがあるのかもしれないと言い聞かせ、それ以上深く詮索するのをやめた。

(佳奈も『楽しんできてね』で終わらせたということは、行く気はないってことなんだろうな。)

そう解釈してこれ以上は言及しないことにした。お互い干渉をせずに面倒なことから開放されるために選んだ合理的な関係の結婚。それならば、結婚の話がまだ具体的に進んでいない今は家族への紹介はせずに個々で楽しむのが二人にとって最適な距離感なのだと考えた。

何も言わずにスマートフォンを操作する佳奈の横顔を見ながら、啓介は、母からの電話を受けてから今までの両親からの愛情を思い返していた。

(結婚をせがんでくる両親は確かに煩わしかったが、開放されるために結婚を選ぶのはどうなのか。すべて決まってから報告するだけではあまりにも寂しすぎないか。このまま佳奈との結婚の話を進めていいのだろうか?)

母からの電話という予期せぬ出来事で、これからの結婚生活に微かな不安を感じ始めていた。結婚をせがんだり、縁談の話を一方的に進めるのは困った出来事だったが、小さい頃から自分のことを思って愛情をこめてくれた両親。

料理教室もしている母の弁当は、いつも彩り豊かで全て手作りの物だった。春になると人参を花にして1つ目立たせるように盛り付けてくれていた。思春期は照れ臭かったが、『今日はどんなおかずが入っているのか』と毎日ふたを開けるのを楽しみにしていたことを思い出した。

父は上場企業の幹部で不自由なく育ててくれた。新規事業の立上げの責任者をしていたこともあり、忙しそうだが活き活きと仕事をしている父はかっこよかった。自分が起業して経営者になろうと思ったのも父の影響が大きい。

時として煩わしい時もあるが、今までを振り返ると感謝の方が何百倍も大きい。面倒なことからの開放という理由で佳奈との結婚の話をこのまま進めてしまっていいのか?急に佳奈との関係に不安を持ち始めた。しかし、そんな様子を知る由もなく佳奈はお酒を楽しんでいる。
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