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第 63 話

last update publish date: 2026-08-19 12:56:32
ローゼンの声は柔らかい。

それでいて、毒を含んでいる。

「王宮は、正しさだけでは回りません。誰かが黙って引き受けるから、場が丸く収まることもある。誰かが笑って損をするから、家門同士の衝突を避けられることもある」

「はい」

「その黙って引き受ける美徳まで、あなたは値段をつけるおつもり?」

クラリスは、カップを置いた。

小さな音が鳴る。

「美徳に値段をつけるつもりはございません」

「では?」

「労働に、名前をつけるつもりです」

ローゼンの扇が止まった。

クラリスは続ける。

「黙って引き受けた方がいたなら、その方が何を引き受けたのか。どれほどの時間を使い、どれほどの
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