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第499話

Author: つき酔
莉奈は承也の顔から目を離し、もう一度スマホの画面を見た。

右上のバッテリー表示が赤く点滅している。彼女の目尻に残る赤みと、同じ色だった。

バッテリー低下の警告が表示され、動画は小槌が首をかしげてカメラに笑いかける場面で自動的に止まっていた。

小槌に会いたい。

その画面を見つめる莉奈を前に、承也の目は夜より深い色を帯びた。スマホを握る指に力がこもる。モバイルバッテリーを持ってこさせたい衝動を、彼は必死で抑えていた。

莉奈は朝から一度もまともに休んでいない。もう部屋へ戻して、眠らせるべきだ。

数秒黙ってから、莉奈は声を落とした。

「起きたら、また見せてくれる?」

承也が最初から残量の少なさを知りながら、わざと動画を見せたことくらい分かっている。スマホの電池が切れそうなのを理由に、彼女を休ませるつもりなのだ。

小槌の姿を少しでも長く見ていたい莉奈の気持ちを、承也は知っている。それでも、まずはきちんと休んでほしいのだろう。

「八時間眠ったら、見せてやる」

承也は譲歩するように条件を出した。

やがて画面が暗くなり、莉奈のまつげがかすかに震えた。

「分かった」

悠斗は近
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    莉奈は承也の顔から目を離し、もう一度スマホの画面を見た。右上のバッテリー表示が赤く点滅している。彼女の目尻に残る赤みと、同じ色だった。バッテリー低下の警告が表示され、動画は小槌が首をかしげてカメラに笑いかける場面で自動的に止まっていた。小槌に会いたい。その画面を見つめる莉奈を前に、承也の目は夜より深い色を帯びた。スマホを握る指に力がこもる。モバイルバッテリーを持ってこさせたい衝動を、彼は必死で抑えていた。莉奈は朝から一度もまともに休んでいない。もう部屋へ戻して、眠らせるべきだ。数秒黙ってから、莉奈は声を落とした。「起きたら、また見せてくれる?」承也が最初から残量の少なさを知りながら、わざと動画を見せたことくらい分かっている。スマホの電池が切れそうなのを理由に、彼女を休ませるつもりなのだ。小槌の姿を少しでも長く見ていたい莉奈の気持ちを、承也は知っている。それでも、まずはきちんと休んでほしいのだろう。「八時間眠ったら、見せてやる」承也は譲歩するように条件を出した。やがて画面が暗くなり、莉奈のまつげがかすかに震えた。「分かった」悠斗は近寄らなかった。承也が莉奈を連れてこちらへ歩いてくる間、暗がりに身を置いたままだった。二人がエレベーターへ入り、扉がゆっくりと閉じるのを確認してから、角の陰から姿を現した。夜は更け、空気にはひんやりとした湿気が漂っていた。悠斗は無人のロビーに立ち、表情を変えずに暗がりへ声を投げた。「前半のシフトの者は、もう上がって休め」隠れていた人影がいくつか揺れた。次の瞬間には、角は元どおり静まり返っていた。風が一筋通り抜けたような、素早い動きだった。悠斗がロビーを横切ってエレベーターへ向かった時、承也たちが乗ったのとは反対側のエレベーターの扉が開いた。彼は足を止め、冷めた目をそちらへ向けた。パジャマの上に上着を重ねた真央が、眠そうに目を細めながら出てきた。――また彼女か。悠斗の眉がわずかに動いた。莉奈が病室からいなくなったことに気づき、探しに下りてきたのだろう。髪は耳にかけただけで整える暇もなかったらしく、足元はスリッパのままだった。歩きながら、しきりにあくびをしている。悠斗は視線を外した。真央が顔を上げて自分に気づく前に、先ほどの暗がりへ戻ろうと身を翻し

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