เข้าสู่ระบบ「改めまして、早瀬舞美絵です。よろしくお願いします」
「四之宮賢哉です。こちらこそ、末永くよろしくお願いします」 す、末永く……。なんだか改めて言われると、少しばかり照れる。「私、もうすぐ三十歳になります。一週間後が、三十歳の誕生日です」
「え、本当に三十歳? 見えませんね。もっと若く見えます」
「えっ、本当ですか?」
もっと若く見えますと言われ、ちょっとばかし浮かれてしまいそうになる。
「ちなみに俺も、三十です。今年三十一になります」
「そうなんですね。 年齢近いんですね」
「本当ですね」
でも四之宮さんも三十一になるようには、どうも見えない。 年齢の割に大人びて見えるし、落ち着いているように見える。
「ちなみに俺の好きな食べ物は、うどんにちくわの磯辺揚げとかしわ天乗せね」
「いい組み合わせですね。美味しい組み合わせですもんね」
うどんにちくわの磯辺揚げとかしわ天乗せて食べるというのは、ちょっと贅沢で美味しい。
「舞美絵さんの好きな食べ物は?」
「私の好きな食べ物は……わかめご飯と鶏の照り焼きですね」
「わかめご飯好きなんだ」
四之宮さんからそう聞かれたので、「はい。わかめご飯のおにぎりとかよく食べてます」と答える。
「わかめご飯好きな女の子って、結構多いよね」
「確かに。 あの塩気がたまらないんですよね」
特にお弁当用に売ってる混ぜ込みのヤツが好き。
「俺も好きだよ」
「……え?」
「わかめご飯」
な、なんだ、そっちか……。急に好きだと言われたので、びっくりしてしまった。
「あと、照り焼きとかも好きかな。 照り焼きバーガーとかよく食べるし」
「そ、そうなんですか?」
四之宮さんはアイスコーヒーを口にしながら「照り焼きバーガー美味しくない? バーガーだと、あれが一番好きなんだよね」と言ってくる。
「確かに、美味しいですね。 甘辛い照り焼きソースが最高ですね」
「そうそう。あれをポテトに付けて食べるとなお美味しいしね」
「確かに、あれは美味しいですね」
「舞美絵さんもやったことある?」
「はい。あります」
まさか、照り焼きバーガーでこんなに盛り上がるとは思ってなかった。
「俺たち、意外と食の好み似てるのかもね。好きな食べ物の好み、近いし」「……確かに、そうですね」
私もちくわの磯辺揚げ好きだし、かしわ天も好きだし、照り焼きも好きだし。
ちょっと食べ物の好み似ているかもしれない。「やっぱり俺たち、結婚する運命だったのかもね」
「はい?」
「俺たちはまさに出会うべくして出会った、ってことだと思わない?」
これがもし運命だと言うのなら、雪輝とのことはどうだったのだろう。 雪輝と出会ったのは、運命でもなんでもなかったってことなのかな……。
私一人だけが、運命だと信じていたのかもしれない。 本当は、運命でもなんでもなかったんだ。「確かに……今日あそこに四之宮さんがいなければ、私たちは出会うことはなかったですもんね。 ましてや、結婚することになるなんて思ってもなかったですし……」
運命は意外と、近くにあるのかもしれない。
「出会わなかった方が良かった?」
四之宮さんからそう聞かれて、私はすぐに「いえ、そういうことじゃないんです。……四之宮さんに出会わなかったら、私の人生はどん底のままだったと思いますし、四之宮さんには感謝しています」と伝えた。
「そっか。なら良かった」
「すみません、誤解させるようなこと言ってしまって」
変な言い方で伝わってしまったのではないかと思い、ちょっと焦ってしまった。
「ううん、気にしないで舞美絵さん」
四之宮さんは優しい。 だからこそ、気になることがある。
「あの……四之宮さん」「ん?」
私はアイスココアを口にすると、「四之宮さんは、私と結婚すること……後悔しませんか?」と問いかけてみる。
「え? 突然、どうしたんです?」
「いや、私たち成り行きで結婚することになったじゃないですか?……その、付き合ってもないのに結婚するわけですし、いつか後悔する日が来るんじゃないかと思って」
いつかきっと、四之宮さんの口から「離婚」という二文字が浮かび上がるのではないか。そう思ってしまう自分がいて、なんとなく怖いのだ。
「舞美絵さん」
そんな私の手を握りしめる四之宮さんは、「まだ籍も入れてないのに、離婚なんか出来ないでしょ。……そもそも、俺は離婚するつもりで舞美絵さんと結婚なんかしないですよ」と笑ってくれた。
「俺は舞美絵さんと結婚することを後悔はしませんし、これからだって後悔することはないですよ」「……でも」
四之宮さんが、もしかしたら同情してくれているだけなのかもしれないと、そう思ってしまう自分がいる。
「お腹の子が大きくなったら、舞美絵のチキン南蛮食べさせてやりたいな」「それは嬉しい」「マジで美味いからな、舞美絵のチキン南蛮は。世界一美味いと思う」 ご飯を食べながら、舞美絵は「ええ?本当に?」とびっくりしている。「本当だ。舞美絵のチキン南蛮食べたら、他のチキン南蛮は食べられないよ」「そんな、大袈裟だよ」 舞美絵はそう言っているけど、俺にとってそれは大袈裟なことでもなんでもない。「俺にとっての思い出の味は、このチキン南蛮かな」「思い出の味かあ。……それは、嬉しいな」「これからも、たまにこうしてチキン南蛮作ってくれると嬉しい」舞美絵は嬉しそうに「それは、もちろん」と微笑む。「あ、賢哉さん」「ん?」舞美絵は俺に「明日のおにぎり、一緒に作る?」と聞いてくれるので、俺は「いいのか?」と返事をする。「もちろん、一緒にやろうよ」「ああ、頼むよ」「せっかくだから、寺巻さんの分作ってあげたら?」え、俺が寺巻の分を俺が……? ま、まあ、作ってやってもいっか。「おにぎりの具材いくつか用意したから、好きなの作っていいからね」「ありがとう」おにぎり作りは寝る前に行うことになった。「ごちそうさまでした」「お粗末さまでした」 夕飯の後は、先にお風呂に入ることにした。 「舞美絵、風呂出たぞ」「あ、うん」舞美絵はソファに座って、何やらスマホを見ていた。「何見てるんだ?」「んー? 赤ちゃんの名前、何しようかなって思って見てたんだ」「名前か……。そうだよな、名前決めないとな」俺はタオルで髪の毛を拭きながらソファに腰掛ける。「性別、もうわかってるんだろ?」「うん、分かってるよ」知りたい気持ちはあるが、舞美絵からサプライズの発表があるのを待つことにする。「名前ってその子の一生を左右するから、やっぱりちゃんと決めたいよね」「そうだな。……大人になった時に恥ずかしくない名前にしないとな」「そうだね」舞美絵はスマホをテーブルに置くと、「私もお風呂に入ってくるね」とソファから立ち上がる。「賢哉さん、お風呂出たらおにぎり作るから待っててね」「わかった」俺も今後はおにぎりくらい作れないとな。舞美絵に子供が産まれたら、舞美絵が一番大変になるわけだし。俺が今のうちに、少しでも出来ることを増やしておきたいというものあ
家族になる喜びを知ったからこそ、俺は言える。 そんな言葉で語れるほどのことじゃないけど、俺は何よりも家族を大切にしたいと思ってる。家族より大切にしないといけないものなんて、きっとないはずだ。「親父さん、体調はどうなんだ?」「あんまり芳しくはないな。……認知症も発症してるし、食欲もだんだん落ちてきてるみたいで、日に日に衰弱していってるよ」「……そうか」 寺巻は休みの日、今は親父さんのところへ行っているが、あまり体調は良くないようだ。「この間なんか、また施設勝手に抜け出して徘徊してたらしいしな」 「そうか。……徘徊してたのか」前に寺巻から「親父さんの体調があまり良くない」とは聞いてはいたが、認知症のせいもあり、入り込むだけでするようになっていたとは……。「まあな。 でも俺に出来ることなんて限られてるし、施設の人にお願いするしかないんだけどな」「……まあ、お前も四六時中一緒にいられるわけじゃないもんな。 面倒見るの大変だよな」「仕方ないさ。これも、全部事故のせいだし」寺巻は深くため息を吐くと、「うだうだ考えてても、仕方ないよな。 起きたことは変えられないし、前向いて生きていくことしか出来ないもんな」と目の前にあったお茶を飲み干す。「俺は、ずっとお前の味方だよ。どんな時もな」「ありがとうな、相棒よ」寺巻の悲しみは、俺にもよくわかる。✱ ✱ ✱「ただいま」その日仕事を終えて帰宅すると、キッチンからいいニオイが漂ってくる。 このニオイは……唐揚げか?「ただいま、舞美絵」「あ、おかえりなさい、賢哉さん」「やっぱりこのニオイは、唐揚げか?」 キッチンから漂ってくるニオイが唐揚げだと思ったが、どうやら唐揚げではないようだ。「残念。今日の夕飯はチキン南蛮だよ」「チキン南蛮か。 唐揚げだと思ったんだけどな」でも舞美絵の作るチキン南蛮は格別に美味すぎるから、また食べられるのは嬉しい。「唐揚げはまた今度ね」「わかった」「もうすぐ出来るから、着替えてきたら?」 「ああ、そうするよ」舞美絵の料理が復活してから、俺は食欲が戻ったようにまた食べるようになった。 今まで料理をあまりしてこなかった代償のせいか、簡単なものしか作れなかった。 最近やっとうどんを茹でるようになったり、パスタを茹でるようになったりはしたけど、そんなものし
【自分に出来ること】愛おしい家族のため〜賢哉SIDE〜「四之宮、奥さん体調どうだ?」「もうすっかり落ち着いたみたいだ」「そっか。良かったな」「ああ、まあな」舞美絵の妊娠がわかってから半年が経ったが、舞美絵の悪阻も落ち着いたようで、最近では動けるようにもなったようだ。お腹の子も順調に育っていて、すくすくと成長しているのが目に見えてわかるようになった。 舞美絵のお腹が前より大きくなって、本当に子供がいるんだなと実感している。お腹の子が時々動くのがわかると、鼓動が聞こえる気がして俺は嬉しくなる。 今まで子供がいる生活のことを想像していなかった俺は、今が一番楽しく感じる。「性別はもうわかってるのか?」「ああ、五ヶ月くらいでもう一般的にはわかるらしい」「そっか。 四之宮のところはもうどっちか聞いたか?」寺巻に子供の性別のことを聞かれたが、俺はまだ性別を知らない。 というのも、舞美絵が俺にはサプライズで性別がどっちかをケーキで教えたいらしく、まだ秘密にされている。「俺はまだ知らされてない」「え、まだ知らないのか」 「今度の検診の後、舞美絵がサプライズで教えてくれるみたいだ」「へえ、サプライズか。 ちょっと面白そうだな」寺巻も俺に子供が出来たこと自体が嬉しいのか、なんだかんだと楽しみにしているらしい。「性別をケーキで教えてくれるそうだ」「ケーキで? ああ、たまに聞くよな」 俺的には、子供の性別はどっちでもいいんだ。 元気に産まれてさえくれれば、どっちでも構わない。「四之宮的には、どっちのが嬉しい?」「まあやっぱり男の子がいいなーとは思うけど、女の子でもかわいいからどっちでもいいかな」「確かに、どっちでもいいかもな」とにかく元気に産まれてくることが、何より一番だからな。「それにしても、四之宮がパパになる日が来るなんてな」寺巻にそう言われて、俺自身もそう言われて「確かにな」と呟く。 「お前が結婚したって聞いた時もびっくりしたけどさ、子供が出来たって知った時はもっとびっくりしたけど……でもお前が幸せなら、俺はそれでいいかな思ってる」寺巻からそんなことを言われると、ちょっと照れる気もする。「お前も幸せになれる人を見つけないとな」俺が寺巻にそう言うと、寺巻は「うるせー。余計なお世話だ」と俺を見る。「……俺にもいつか、家族が
私たちなら、この幸せをずっと守れる。愛おしい家族が増える喜びも、これから一緒に親になっていく覚悟も、全部二人で分け合えるから。この愛おしい気持ちを、私は彼と二人で噛み締めていきたい。「俺には、舞美絵とこの子がいれば充分だ。 他にはもう、何にもいらない」「……私も、賢哉さんとこの子がいれば、もう何にもいらないな」「そうだな」私たちは、この子が産まれて来るのを今から楽しみにしてるんだ。 新しい家族が増えることを、心待ちにしている。「悪阻、平気か?」「うん、今のところ大丈夫」「ゆっくり休んでて、舞美絵」「ありがとう」私は、彼と家族になったあの日から、私の心に灯を灯してくれている。✱ ✱ ✱「舞美絵、行ってくるな」「あ、ちょっと待って」 「ん?」 私は賢哉さんに朝握ったばかりのおにぎりを手渡した。「はい、おにぎり。 今日もお仕事頑張ってね」「いつもありがとう、舞美絵。助かるよ」仕事に向かう賢哉さんに「行ってらっしゃい」と手を振った。「よし、洗濯しよっと」 あれから数ヶ月が経ち、私のお腹は以前よりも大きくなった。 無事に安定期を迎えることも出来、お腹の子の経過も順調だ。最近ではお腹の子の鼓動を感じるようになり、動くのがわかるようになってきた。 もちろん、出産まではまだまだなので、油断は禁物だ。 悪阻に耐えながらの数ヶ月は本当に辛いことも多かったけど、賢哉さんが隣にいてくれたから頑張って乗り越えることが出来た。私は一人じゃないからこそ、頑張れたと思う。「赤ちゃん、元気ですか? 居心地はいい?」 鼓動を感じるようになってから、こうやってたまに赤ちゃんに話しかけたりしているけど、聞こえているのかはわからない。 だけどちゃんと感じるその鼓動は、私たちが一番嬉しい。 この子がちゃんと生きているって、一番近くに感じる。 「ママとパパは、あなたが産まれて来るのとても楽しみなの」お腹の中で動くたび、そう思う。 お腹の中で動いている時、この子はちゃんと生きているんだと感じる。 賢哉さんにとっても、それはとても嬉しいことみたいだ。悪阻も落ち着いたところで、私はまた家事を再開し、料理もまた作れるようになった。 ご飯のニオイで吐きそうになることもなくなったので、賢哉さんのためにまた料理が作れることの嬉しさを感じていた。
「寝てていいよ、舞美絵」私は静かに頷く。賢哉さんは優しく隣で頭を撫でてくれる。「辛いよな? 代わってあげられなくてごめんな」「ううん……大丈夫」賢哉さんと一緒に乗り越えていくと決めたんだ。私はここで負けたくない。「俺に出来ることなんて、ちょっとしかないな」「……そんなこと、ないよ。 私、賢哉さんがそばにいてくれるから、頑張れるんだよ」頭を撫でながら、賢哉さんは「そっか」と呟く。「これからも、こうして看病してくれると助かります」「もちろんですよ、奥様」賢哉さんは優しく微笑んだ。 ✱ ✱ ✱あれから賢哉さんに支えてもらいながら、なんとか悪阻を乗り越えていた。 病院の診察でも体重が減っていることを指摘されたが、なんとか食べれるものを食べて過ごしている。「いただきます」今私が一番食べられているのは、フライドポテトだった。 フライドポテトなんて絶対に無理だと思っていたのに、いざ口にしてみたら普通に食べられてびっくりした。唐揚げとかチキン南蛮は無理だけど、フライドポテトだけはなぜか食べたくなって、今はよく食べている。「今日もポテトか?」「うん、ポテトしか無理……」賢哉さんは「そっか。ポテトしか無理か」とポテトを眺めている。「あ、でもね、ハンバーガーも食べたよ」「ハンバーガー食べたのか?」「うん、なんかすごい食べられたの」賢哉さんも「そんなこと言うから、俺もハンバーガー食べたくなってきたな」とソファに座る。「実は、ハンバーガー賢哉さんの分もあるよ」「え、あるのか?」賢哉さんにあのファーストフードの袋を見せると、賢哉さんは「マジか、あるのかよ」と嬉しそうに笑った。「もちろん、あるに決まってるよ」賢哉さんにはもちろん、照り焼きバーガーのセットにした。「しかも俺の好きな照り焼きバーガーじゃん」「そうだよ。私はベーコンエッグバーガーにしたけど」「ずいぶんジャンキーだけど、大丈夫なのか?」私が「それがね、不思議なことにこれはすごい食べられるの」と話すと、賢哉さんは「そっか。食べれるものを見つけたのは良かったよ」と言ってくれた。「うん、本当に。今は毎日これが食べたいくらいだよ」「毎日? そうかあ」賢哉さんも「いただきます」と照り焼きバーガーにかぶりつく。「うん、相変わらず美味いな」 「うん、美味しいよね」どう
妊娠が発覚してから一ヶ月、私は悪阻に悩まされている。 そんな中でも、賢哉さんがそばにいてくれるおかげで、一人じゃないと思える。賢哉さんは仕事中もずっと心配してくれるせいか、頻繁に連絡をくれる。 そんな私は、賢哉さんの支えもあって、なんとか乗り越えられる気がしている。 「うぅ……気持ち悪い……」 悪阻にも個人差があるとは聞いているけど、私はどうなんだろうか……? 今のところまともに食べられているレモンやグレープフルーツなどで、上手いこと悪阻と戦えているような気もするけど……。「レモンが……欲しい」レモンを口にするだけで少しマシになるけど、またすぐに悪阻に襲われ、結局起き上がれない日が続く。 最近では家事も疎かになってしまっているので、賢哉さんには申し訳ない気持ちになる。「……はぁ」 賢哉さんは優しいから「そんなこと、気にしなくていい。自分のことだけ考えて」と言ってくれるから、私はその言葉に甘えさせてもらっている。 「うぅ……っ」食べたいのに食べられないって、こんなにももどかしいのか……。 「まだ帰ってこないかな……」悪阻のせいなのかはわからないけど、一人でいると寂しくなるし、辛くなる。 とりあえず動くこともままならないので、寝ていることしか出来ない。【もう少しで帰る】こうして賢哉さんから連絡がくると、ちょっとだけホッとするんだ。【うん、気を付けてね】気持ち悪さに耐えながら賢哉さんが帰ってくるのを待っていると、ガチャと玄関が開く音がした。「ただいま、舞美絵」「賢哉さん……おかえりなさい」 賢哉さんは起き上がろうとする私に「あ、寝てていいから」と言ってくれた。「体調はどうだ?」私は首を横に振ると、「無理っ……」と答える。「パイナップル、食べるか?」「……食べれるかはわからないけど、挑戦してみる」賢哉さんは「わかった。用意するから待ってて」とキッチンでパイナップルを用意してくれる。パイナップルのニオイがふんわりと漂ってくるけど、パイナップルのおかげか気持ち悪さが少しだけ緩和された気がした。「舞美絵、パイナップルだよ」「……ありがとう」身体を起き上がらせて、パイナップルを一つ口にする。「どうだ? 食べられそうか?」「これなら……食べられそう」「そうか。良かった」パ