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揺らぐ視界

作者: るな
last update 公開日: 2026-08-03 16:25:45

「桜井知英さんですか?」

「はい」

「少々お話を伺ってもよろしいですか?」

現場に駆けつけた警察官が私に問いかけた。私は隣に居る桐生を見た。桐生は私の肩をずっと抱いてくれていた。

「はい」

「どうやら、金目の物は盗まれていないようです。もしかすると、桜井さん自身を狙ったのかもしれません。何か心当たりがあれば教えていただきたいのですが」

「今日の昼過ぎに男につけられました」

「その男の特徴は?」

「確か、170cmくらいで黒いキャップを被っていました」

「そうですか。ご協力ありがとうございます。もし、何か思い出したことがあれば連絡ください」

「分かりました」

すると、止まっていた震えがまた始まった。今度は震えだけでなく、冷や汗も流れ出した。しかも目眩もする。視界が揺れる。

「知英ちゃん!知英ちゃん!!」

遠くで私を呼ぶ桐生の声が聞こえた。桐生が心配そうに私を見ていた。早く大丈夫だと伝えなければ。だけど、どうしても身体が動かない。それどころか、視界までぼやけていく。

「つばさ……さん……」

「知英ちゃん!しっかりして!」

私はその場で意識を手放した。

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