LOGIN「そんな……」
私は全身の力が抜けていくのが分かった。目の前は真っ黒になった。私の世界が見るも無惨に崩壊していく。
「こんなことって……」
「これが、あなたの愛した天野恭吾の本性だよ」
「嘘!嘘よ!嘘って言って……」
私は泣き叫んだ。そんな私を世那が強く抱き締めた。久しぶりに男性に触れられた。力強い腕が恋しかった。
なぜ、恭吾は私に触れてくれないのかとずっと悩んでいた。でも、今日その答えが分かった。それは、他に相手が居たから。私は必要なかったのだ。恭吾の為に、美しくあり続けたのに、全てが無駄な努力だった。
「ねぇ、世那」
「ん?」
「私は綺麗?」
「綺麗だよ、とっても」
世那が私を見つめて言った。世那の目には私だけが映っていた。それがとても心地よかった。
「それにね、俺、知ってるんだ」
「なに?」
「麗奈さんが兄貴より俺の顔の方が好きなこと。さっきも見てたでしょ」
「それは……」
気づかれていたなんて知らなかった。私は気まずさのあまり俯いた。
「いいよ。触って」
「だめよ」
「俺が兄貴の弟だから?」
私は頷いた。
「こんな最低野郎のことまだ庇うのかよ」
「んん……///」
世那は私の唇に舌をねじ込みながら、無理やりキスをした。いつぶりのキスだろうか。拒まないといけないのに、身体が世那を受け入れてしまう。
「いつから兄貴に触られてないの?」
「言わない/」
「こんなに綺麗なのに、どうして我慢出来るんだろう」
世那は私の太ももに手を這わせた。このままでは取り返しのつかないことになる。私は世那の腕を掴んだ。
「やめて……」
「本当にやめて欲しい?俺、無理やりは嫌いなんだ」
世那の問いかけに頷けば良いだけなのに、私は世那を見つめたまま動けなかった。
「だけど、俺は麗奈さんが欲しい」
世那は私の耳元で囁いた。私に狂おしい程の想いをぶつける世那を私は拒めなかった。今は、ただ、愛されたい。崩壊した私の世界で愛をくれる人が世那ならば、彼に抱かれても構わない。
「いいよ、抱かれてあげる」
恭吾、本当はあなたに愛されたかった。こうなったのは恭吾のせい。あなたが私を育てたの。私の中にも欲望はあったみたい。それを満たしてくれるのが、婚約者の弟は皮肉なものだ。
世那は私をまるで壊れ物を扱うかのように、丁寧に触れた。世那の手が私の身体をなぞり、世那の舌が私の肌を舐めた。その度に、私の身体は疼いていく。相手が婚約者の弟という背徳感も私をより興奮させた。
世那が私の首筋に吸い付いた。私は咄嗟に我に返った。
「痕は付けないで」
「兄貴にバレるのが怖い?」
「違う」
この時、私の恭吾への愛が狂気に変わった。
「ならどうして?」
「まだ知られるのは早いから」
恭吾が裏切りを重ねたように、私も裏切りを重ねてあげる。私が自分の事を一途に愛していると信じているであろう恭吾が、私の裏切りを知ったらどんな顔をするだろう。絶望か?それとも後悔か?それとも……
「兄貴のこと考えてただろ」
「うん」
「ムカつく。麗奈さんの目の前に居るのは俺なのに」
「嫉妬してるの?」
「してるよ。もうずっと前からね」
そう言った世那が、強引に私の中に入ってきた。久しぶり感じる痛みと快楽に私は身体を震わせた。世那は私の奥深くまで突いてきた。私は世那の背中に爪を立て、自らも腰を振った。
「麗奈さん、気持ちいい?」
「聞かないで/」
「麗奈さん、愛してる」
私は答えなかった。世那を愛している訳ではない。だけど、世那と居ると、自分が自分じゃないみたいな感覚に陥る。それを言葉に表すことが私には出来なかった。
「答えてくれないんだね」
世那の表情が曇った。その顔すら美しく、私は見惚れてしまった。無意識に私は、世那の頬に手を伸ばした。すると、世那は私の手に自分の手を添えた。その手は温かく、心地よかった。
「早く俺を選んでよ」
「言ったでしょ。世那とどうこうなるつもりはないって」
「俺と寝てるのに?」
「そう、寝てるのに」
「麗奈さんも残酷だ」
「兄の婚約者に手を出すあなたも相当よ」
「俺たち似た者同士だね」
世那は私の唇にキスをした。世那の舌が私の唇をこじ開けた。私も負けじと世那の唇を貪った。愛がなくても、身体は満たされる。私はひたすら世那を求めた。
許されないと分かっている。だけど、私は世那との情事に溺れた。
今日、私は、愛する天野恭吾と婚約する。「どうして、裏切られたのに兄貴と婚約するんだ?そこまで、兄貴のことを愛してるのか?麗奈さん、答えて」 「世那、あなたには関係ないことよ」 「関係ない?俺と寝たのに?」 「それは……!」すると、世那は私を壁に追い詰め、強引にキスをした。「んん……やめて!」私は世那の唇を噛み、彼を突き飛ばした。世那は唇に滲んだ血を舌で舐めた。「なんで抵抗するんだよ。俺の事、拒めないくせに」 「自惚れるのもいい加減にして。あの日はどうかしてたの」「へぇー。嘘だ。顔に書いてある」 「麗奈。着替え終わった?」その時、恭吾が私を呼んだ。恭吾に、今、世那と一緒に居る所を見られる訳にはいかない。 「あと、すこし……んん//」 世那が私の口を塞いだ。私はこのキスを知っている。すぐ側に恭吾がいるのに、私は世那を拒めない。「見つかっちゃうよ。お義姉さん」 「見つかる気なんかないくせに」 「よく分かってるね。そうこなくっちゃ」 この時、私の中の理性が切れる音がした。世那は婚約者の弟。いけないと分かっているのに、止められない。あの夜の出来事が脳裏に蘇った。私の目の前にいる男に、私は一晩中抱かれた。婚約者の弟との行為は、背徳感にまみれ、堪らなかった。今も、世那がキスしてきたせいで私の身体は疼きだした。だが、それを悟られないように私は気丈に振舞った。「世那、離してよ!もう行かないと」「まだ平気だよ」すると、世那は私を後ろから抱き締め、私の制止も聞かず、右耳を甘噛みした。「あっ//」「声出したらバレちゃうよ」「だから触らないで/」「ねぇ、知ってる?兄貴さ、昨日もあの子と一緒に居たんだよ」「……そう」あの子とは、恭吾の勤める法律事務所に勤務しているアシスタントで、名を雪村葵と言う。この女が今の恭吾の浮気相手だ。今日の私と恭吾の婚約パーティーにも招待客として来ている。一体、どの立場で来るのだろうか。その図太い神経だけは尊敬する。3日前に、世那の暴露により恭吾の裏切りを知ってから、私の世界は崩壊した。信じていたものがこんなにもあっさりと崩れ去るとは思ってもみなかった。恋は盲目とはよく言ったものだ。私は恭吾の本当の姿が全く見えていなかった。恭吾の為に、美しくあろうと努力した。だが、恭吾は随分前から私に触れようとはしなかった
「そんな……」私は全身の力が抜けていくのが分かった。目の前は真っ黒になった。私の世界が見るも無惨に崩壊していく。「こんなことって……」「これが、あなたの愛した天野恭吾の本性だよ」「嘘!嘘よ!嘘って言って……」私は泣き叫んだ。そんな私を世那が強く抱き締めた。久しぶりに男性に触れられた。力強い腕が恋しかった。なぜ、恭吾は私に触れてくれないのかとずっと悩んでいた。でも、今日その答えが分かった。それは、他に相手が居たから。私は必要なかったのだ。恭吾の為に、美しくあり続けたのに、全てが無駄な努力だった。「ねぇ、世那」「ん?」「私は綺麗?」「綺麗だよ、とっても」世那が私を見つめて言った。世那の目には私だけが映っていた。それがとても心地よかった。「それにね、俺、知ってるんだ」「なに?」「麗奈さんが兄貴より俺の顔の方が好きなこと。さっきも見てたでしょ」「それは……」気づかれていたなんて知らなかった。私は気まずさのあまり俯いた。「いいよ。触って」「だめよ」「俺が兄貴の弟だから?」私は頷いた。「こんな最低野郎のことまだ庇うのかよ」「んん……///」世那は私の唇に舌をねじ込みながら、無理やりキスをした。いつぶりのキスだろうか。拒まないといけないのに、身体が世那を受け入れてしまう。「いつから兄貴に触られてないの?」「言わない/」「こんなに綺麗なのに、どうして我慢出来るんだろう」世那は私の太ももに手を這わせた。このままでは取り返しのつかないことになる。私は世那の腕を掴んだ。「やめて……」「本当にやめて欲しい?俺、無理やりは嫌いなんだ」世那の問いかけに頷けば良いだけなのに、私は世那を見つめたまま動けなかった。「だけど、俺は麗奈さんが欲しい」世那は私の耳元で囁いた。私に狂おしい程の想いをぶつける世那を私は拒めなかった。今は、ただ、愛されたい。崩壊した私の世界で愛をくれる人が世那ならば、彼に抱かれても構わない。「いいよ、抱かれてあげる」恭吾、本当はあなたに愛されたかった。こうなったのは恭吾のせい。あなたが私を育てたの。私の中にも欲望はあったみたい。それを満たしてくれるのが、婚約者の弟は皮肉なものだ。世那は私をまるで壊れ物を扱うかのように、丁寧に触れた。世那の手が私の身体をなぞり、世那の舌が私の肌を舐めた。その度に、私の身体は疼
婚約パーティー3日前の夜、私は幸せの絶頂にいた。私は誰もが羨む美貌を持ち、婚約者は容姿だけでなく、富と名声までも兼ね備えていた。 その婚約者の名を天野恭吾と言った。恭吾は弁護士として、日本中を飛び回っている。今日も恭吾は、2泊3日の京都出張の為、同棲しているこのマンションには居なかった。 私はリビングのソファーで寛ぎながら、赤ワインを飲んでいた。一人の夜は寂しい。けれど、恭吾は毎日私に「愛してる」とメッセージを送ってくれる。もちろん、今夜もそのメッセージは送られてきた。私は恭吾に愛されている。その自信が私をより輝かせた。恭吾とは大学時代から交際していた。今年で交際を始めて8年目になる。どれだけ月日を重ねても、恭吾の私への愛は変わらなかった。ピンポーン今の時刻は22時。こんな遅くに訪問者が尋ねてくるのは珍しい。私はインターホンのカメラで、その人物を確認してから玄関のドアを開けた。「世那、こんな時間にどうしたの?」「どうしても麗奈さんに話したいことがあって」私は、切羽詰まった表情を浮かべる世那をリビングに連れていき、ソファーに座らせた。「兄貴は?」「京都に出張に行ってるの。明日の夕方に帰ってくるって」「そうなんだ」世那は恭吾の実弟で、大学時代に起業したIT会社を成功させ、今や若手経営者として一目置かれる存在となっていた。更に、目を引く容姿が故、メディアでも取り上げられる程、注目を浴びていた。「麗奈さんは一人でワインを?」「たまには、ね」「俺もワインもらおうかな」「世那、今日は車じゃないの?」「タクシーできたよ」 「そう。珍しいわね」 「麗奈さんとゆっくり話がしたくて」私はキッチンへ行き、食器棚からワイングラスを取り出した。そして、リビングに戻るとソファーで寛ぐ世那の姿が見えた。世那の横顔は、恭吾よりも美しく、私は思わず見惚れた。「乾杯」「乾杯、麗奈さん」私はワインを一口飲んだ。ふと、顔を上げると世那と目が合った。すると、世那が私に問いかけた。「麗奈さん、兄貴のことすき?」「好きよ」「迷わないんだ」「当たり前でしょ?もうすぐ婚約もするんだし」「へぇー」世那の声色が変わった。そして、私を嘲笑った。「麗奈さんが何も知らなくて可哀想だから、特別に、兄貴の秘密、教えてあげる」「恭吾の秘密?そんなものある訳ないじゃ







