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6話

Penulis: 籘裏美馬
last update Terakhir Diperbarui: 2025-09-28 21:15:59

ぐわんぐわん、と頭が揺れる。

どうして?

何で瞬はこんなに冷たい人になってしまったのだろうか。

私は力の入らない足を必死に動かして、ソファに腰を下ろす。

体中がずっしりと鉛のように重く、手足の指先がすうっと冷たくなっていく。

何も考えられなくて、考えたくなくて、私は暫くの間ずっとソファでぼうっとしていた。

車内。

瞬は、ハンドルを掴んだ手に額を乗せ俯いていた。

ハンドルを握る手に、ぐっと力が入る。

「……麗奈が言ってた事は、本当だったんだな」

瞬は冷たい目を真っ直ぐ前方に定めたまま、吐き捨てる。

瞬の頭の中には、麗奈から言われた言葉がぐるぐると巡っていた。

言われた時、最初は信じられなかった。

けれど、麗奈が嘘を言うとは思えない。

今まで麗奈は瞬に嘘をついた事など、一度も無い。

それに、そんな嘘を麗奈が言っても何の得にもならないはずだ。

「麗奈……そうだ、麗奈が俺を待っている……」

瞬は、車のエンジンをかけ、アクセルをぐっと踏み込んだ。

リビング。

暫くぼうっとしていた私は、無意識に座り込んでいたけれど、のそのそと立ち上がった。

「お買い物、行かなくちゃ……」

夕食の準備をしなくちゃいけない。

瞬は、夕食の事は特に何も言っていなかった。

きっと夕食は家で摂るはず。

私はいつものように財布と家の鍵をバッグにしまう。

先程、瞬から突き返されてしまった母子手帳とエコー写真は、リビングのテーブルに残したままにしようかと思ったが、それも2つ一緒にバッグに入れる。

車のキーを手に取ろうと考えた所で、私はキーに伸ばしていた手を止めた。

「……何かあったら嫌だから、近所だし歩いて行こう」

お腹の赤ちゃんに何かあったら嫌だ。

私はそう考え、車のキーを置いてそのまま玄関に向かう。

鍵を開けて外に出た。

背後で、重い扉がバタン、と音を立てて閉まる音が聞こえた。

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