Share

第2話

Author: カーボン煎餅
真夜中、温室のドアがそっと開いた。

私はプランターの土に身を預けたまま、うとうとしていた。物音には気づいたけれど、わざわざ目を開ける気にはならなかった。

やがて、鼻を刺すような薬品臭が漂い始める。

誰かが温室の花を次々と踏みにじり、除草剤を温室中に無造作に撒き散らした。

最後に、温室のドアに外からしっかりと鍵をかけた。

むせ返るような臭いが、じわじわと温室の中を満たしていく。

喉がひりつき、呼吸が少しずつ苦しくなってくる。

10回も生まれ変わった私にとって、農薬で死ぬことなど、別に珍しくもない。

私は少しだけ体勢を整えると、毒を含んだ空気を肺いっぱいに吸い込んだ。

これなら、今度こそちゃんと死ねるはず。

意識が遠のきかけた、そのとき。

外から大きな音が響き、夜間の見回りをしていたボディーガードが、温室のガラスドアを蹴り開けた。

冷たい夜気が一気に流れ込み、私は半ば乱暴に引きずり出される。

ほどなくして、屋敷のあちこちで明かりがついた。

両親と兄が、慌ただしい足音を立てて温室へ駆け込んでくる。

母は無残に荒らされた温室を見て、胸を押さえた。

「三年もかけて育てた蘭なのに……!」

父は振り返るなり私の襟元を掴み、思い切り頬を打った。

「青葉!母さんがやっと咲かせた蘭を、よくもめちゃくちゃにしてくれたな!」

頬が焼けるように痛む。

私は打たれた頬に手をやり、残念そうにため息をつくと、天井の隅を指さした。

「私じゃない。そこに監視カメラがあるから、見ればわかる」

その瞬間、桃華の顔がさっと青ざめた。けれど、スカートの裾をぎゅっと握りしめたまま、何も言わない。

兄が冷笑を浮かべて歩み寄った。

「いいだろう。見せてもらおうじゃないか。またあとで、お前に被害者面されても鬱陶しい」

桃華が慌てて何か言おうとしたけれど、その前に執事が監視映像を再生した。

映像には、桃華が辺りを見回し、蘭を踏みにじり、最後には正気を失ったみたいに除草剤を撒き散らしている姿が、はっきり映っている。

もう言い逃れはできないだろう。

桃華はその場に崩れ落ち、ぼろぼろと涙をこぼした。

「ママ、わざとじゃないの……

お姉ちゃんがプランターの中で寝てるのを見たら、小林家がコケにされたみたいで……

私、ついカッとなっちゃって……」

除草剤を撒かれた温室に閉じ込められ、私がどうなろうと、誰も気にしていなかった。

それどころか、兄は桃華をいたわるように抱き起こしながら、私をきつく睨みつける。

「聞いただろう?お前があんなみっともない真似をするからだ。

桃華だって、家の顔に泥を塗るような真似を見れば腹も立つ。母さんが大事にしてきた花をあんなふうに台無しにしたのも、もとはといえばお前のせいだ」

私は彼らを見つめたまま、ひどく平坦な声で言った。

「この家に私の部屋がないから、ここで寝るしかなかったんだけど」

その言葉に、両親はそろって固まった。

母は思わず父に目をやった。

「あなた、部屋を用意していなかったの?」

父は眉をひそめた。

「お前がやるものだと思っていたが」

兄は顔を真っ赤にして怒鳴った。

「部屋がないなら、そう言えよ!なんでわざわざダクトやプランターなんかに潜り込むんだ!

他人に、小林家がお前を虐げてるって思わせたいのか!」

私は黙った。これ以上、話す気にはなれなかった。

ただ横になって死を待てるなら、場所などどこでもよかった。

その無反応が、兄の癇に障ったらしい。

「そんなに死体ごっこが好きなら、望みどおりにしてやる!」

兄はボディーガードに命じ、ほどなくして木箱がひとつ運ばれてきた。無造作にリビングの床へ置かれる。

「今日からお前はここで寝ろ!いつまでそんな真似が続くか、見ていてやる!」

「そう?ありがとう」

私はためらいもなく木箱に入り、そのまま仰向けに横たわった。

兄は怒りのあまり、木箱を思いきり蹴りつける。

「なんだ、その気味の悪い真似は!見ているこっちが不快になる。

その中で大人しくしてろ!鍵をかけろ!」

カチッ、と乾いた音がした。

外から鍵がかかる。

周囲は一瞬で、完全な闇に包まれた。

木箱はぴったり閉まり、長さもちょうどいい。まるで最初から私のために用意されていたみたいだった。

包まれる感覚が心地いい。ようやく埋葬されたみたいだ。

私は満足そうに口元を緩め、安心して目を閉じた。

Continue to read this book for free
Scan code to download App

Latest chapter

  • 存在感ゼロのまま死んだら、家族が狂い始めた   第11話

    その日から、母はどこかぼんやりするようになった。何をするにも、私の骨壺を手放そうとしない。眠るときは胸に抱き、食事のたびには骨壺の前に小さな膳を整える。ある夕暮れ、母は豚の角煮を一切れ、骨壺の前の小鉢にそっと置いた。「青葉、これは母さんが自分で作ったの。食べてみて。口に合うかどうか分からないけど」私は宙に浮いたまま、脂がつやつやと光る角煮を見つめ、小さく呟いた。「私は胃が弱いから、脂っこいものは食べられない」その言葉がこぼれた瞬間、母の肩がびくりと震えた。何かが聞こえたかのように、母は箸でその角煮をつまみ上げ、そっと皿に戻した。そして涙を流しながら、いちばんあっさりしたお浸しや煮びたしを、骨壺の前へ少しずつ並べ直していった。「そう、そうよね。脂っこいのはだめだったわね。母さんが入れ替えるから……」父は傍らに立ち、抜け殻のようになった妻を見て、苦しそうに目を伏せた。口を出す勇気も、出す資格も、もうなかった。数日後、母が風呂に入っている隙に、父はついに耐えきれず、人に頼んで骨壺を持ち出させた。そのまま墓地へ運び、菩提寺に頼み込んで、ひそかに納骨を済ませる。風呂から出た母は、骨壺がないことに気づいた。次の瞬間、母は狂ったように家中を探し回り、部屋という部屋を滅茶苦茶にした。やがて台所に立ち尽くし、包丁を握ったまま父を振り返る。「青葉をどこへやったの」泣き叫ぶでもなく、底の抜けたような声だった。そのひと言で、小林家は地獄になった。そこへ、家を追い出された兄の大樹が戻ってきた。無精髭を生やし、目の下には濃い隈が浮かんでいる。「母さん、もうやめてくれ……」兄は床に膝をつき、嗚咽をこらえきれないまま言った。「青葉はもういないんだ……あいつはこの家にいたのに、俺たちは誰もちゃんと見ようとしなかった。気にかけてもやらなかった。俺たちは……まともな服ひとつ、買ってやったこともない」彼は震える手で顔を覆い、途切れ途切れに続ける。「この数日、俺は青葉の真似をして、押し入れや木箱みたいな狭い場所に体を押し込んでみた……あいつは、ああいうふうに囲まれていないと、落ち着けなかったんだと思う。俺たちは……青葉がここにいてもいいと思える場所を、ひとつも与えてやれなかった」その言葉を

  • 存在感ゼロのまま死んだら、家族が狂い始めた   第10話

    ふと気づけば、私は皮肉にも桃華を少しだけ見直していた。彼女は悪辣で、どこまでも割り切っていた。しかも、家族の誰よりも私のことをよく分かっていた。桃華の言葉を前にして、家族は誰ひとり言い返せなかった。母は壁に手をついたまま、崩れ落ちるようにストレッチャーへ近づく。震える指で私の髪をそっとかき分け、無惨に潰れた私の顔をのぞき込む。その瞬間、母の顔からすべての表情が静かに消えていった。「そう……全部、私のせいなのね……」父はその場にへたり込み、顔を覆って泣き崩れた。「どうして……もっと早く気づいてやれなかったんだ……青葉のことを、ちゃんと見ていれば……こんなことには……」兄の取り繕いも、そこでとうとう限界を迎えた。兄は逆上し、怒鳴りながら桃華に掴みかかった。桃華を床に突き倒すと、そのまま馬乗りになり、我を忘れたように何度も頬を張った。「全部お前のせいだ!この性悪女が!」「あんたにだけは言われたくないわね!あんたのしたことのほうが、私よりずっと気持ち悪い!」桃華も悲鳴まじりに怒鳴り返し、兄の腕を必死に払いのけた。二人は病院の廊下でもつれ合った。「もうやめなさい!」母の叫びに、その場の空気が凍りついた。兄も桃華も、ぴたりと動きを止めた。母はゆっくりと立ち上がった。その目は虚ろで、まるで昔の私みたいだった。「青葉の前で騒がないで」感情の色を失った声でそう言うと、母は出口の方を指し、桃華を見る。「桃華、出て行きなさい。今日限り、あなたはもう小林家の娘じゃない。私の娘は、青葉だけよ」「私を追い出すの?」その場にへたり込んだ桃華は、目を見開いたまま母を見上げた。「私は17年間、この家の娘として育てられてきたのよ!それを、たった一言でなかったことにするの?」桃華は父の足に取りすがり、引き裂かれるような声で泣き叫んだ。「パパ、何か言ってよ!昔は桃華を一番かわいがってくれたじゃない!お姉ちゃんの死は事故よ。私が殺したわけじゃない!お姉ちゃんがこうなったのは、あなたたちが放っておいたからでしょ!どうして今になって、全部私のせいにするのよ!?」パンッ!父は足元にすがりつく桃華を振りほどくと、その頬を平手で打った。桃華はその場に崩れ落ちた。父は何も言わなかった。17年間、娘

  • 存在感ゼロのまま死んだら、家族が狂い始めた   第9話

    桃華は兄に胸ぐらを掴まれ、壁に押しつけられたまま必死にもがいていた。桃華の顔が、目に見えて強張っていく。兄にこんなふうに責め立てられるなんて、思ってもいなかったのだろう。「な、何を……言ってるの……」「何だと!?」父が立ち上がった。声が震えている。「今、何て言った?もう一度言ってみろ!」母は大樹に目を向けた。「大樹、知ってたの?全部……」母は壁に手をついたまま、運ばれていく私の遺体を見つめていた。涙が、止まることなく頬を伝っていく。家は、一番安全な場所のはずだった。何があっても守ると、そう言ってくれたはずだった。なのに、どうして私は――換気ダクトや温室、木箱なんかに、身を隠さなければならなかったのだろう。その意味を、母はようやく理解したのだろう。「青葉の言っていたこと……全部、本当だったのね……」母がゆっくりと桃華のほうを向く。唇をきつく噛みしめ、今にも桃華に飛びかかりそうな形相で手を振り上げた。けれど、その手が打ったのは桃華ではなかった。パンッ!パンッ!乾いた音が、二度響く。母は、自分の頬を思いきり打っていた。けれど、父が桃華の前に歩み寄り、彼女の頬を打った。「桃華!お前は……お前は、なんてことを……!青葉はお前の姉だぞ!私たちの娘だ!お前の嘘のせいで、あの子は……あの子は絶望の淵に追い込まれたんだ!」兄も桃華を睨みつける。血走った目のまま、彼女の肩を乱暴に掴んだ。「なぜだ?俺たちはお前に十分すぎるほどよくしてやったはずだろ!なのに、どうしてこんな真似をした!」桃華は床に倒れ込み、頬を押さえた。さっきまで怯えきっていたのに、3人に見下ろされた瞬間、桃華はふいに笑った。「ふ……ふふ……」ゆっくりと顔を上げる。血走った目。引きつった口元。その笑みは、ひどく歪んで見えた。「今さら、何言ってるの……?よくそんな顔で責められるわね、お兄ちゃん」兄を指さし、桃華は吐き捨てるように言った。「あんた、私がやったって分かってたくせに、何度も言い訳して庇ってきたじゃない!自分だって青葉を邪魔者みたいに扱って、追い出そうとしてたくせに!私が手を貸してあげたのに、今さらいい兄貴ぶるつもり?」兄の顔が引きつる。桃華は今度は父と母を振り返った。笑

  • 存在感ゼロのまま死んだら、家族が狂い始めた   第8話

    私の魂は宙に浮かび、廊下で起こるすべてを見下ろしていた。白い布をかけられた私の遺体が、静かに霊安室へ運ばれていく。医師の言葉を聞いた瞬間、母の顔から血の気が引いた。そのまま膝から崩れ落ちる。父が慌てて抱きとめたものの、支えきれず、二人そろって倒れ込んだ。父は自分の両手を見つめた。次の瞬間、狂ったように何度も自分の頬を張る。「俺が……あのドアを叩くべきだった!どうして叩かなかったんだ!」兄もまた、糸が切れたようにその場へ崩れ落ちた。「ありえない……なんで死んだんだよ……」ふらつきながら立ち上がると、兄は運ばれていくストレッチャーを追い、私の顔にかけられていた白布を乱暴に引き剥がした。そこにあったのは、血の気を失った私の顔だった。この家に来てから、兄は何度か私に「死んだような顔だ」と言ったことがある。けれど今、本当に「死んだような顔」になった私を前にして、兄の全身は小刻みに震えている。「死んだ?本当に、死んだのか……?」静まり返った廊下で、桃華が目に涙を浮かべ、すすり泣きながら進み出た。その場にしゃがみ込み、父と兄に縋るように手を伸ばす。そして、弱々しく、いかにも悲しげな声で言った。「パパ、ママ、お兄ちゃん……そんなに悲しまないで。お姉ちゃんがいなくなった分、これからは桃華が一生そばにいてあげるから。お姉ちゃん、家にいても、あんまり幸せそうじゃなかったから。だから今は……やっと楽になれたって思ってるのかもしれない」その言葉が落ちた瞬間、廊下の空気は凍りついた。誰も、すぐには動けなかった。やがて3人はゆっくりと顔を上げる。そして、まるで化け物でも見たかのように、桃華を見つめた。気を失いかけていた母は、父の腕にすがるようにして身を起こし、震える指で桃華を指さした。「桃華は……悲しくないの?あなたの姉なのよ。何も感じないの!?」桃華の目が泳ぎ、怯えたように一歩後ずさる。「ママ、私……」「お前か――!」次の瞬間、兄は跳ね起き、桃華の胸ぐらを掴んで壁に押しつけた。目を血走らせ、恐怖と自責の念を桃華にぶつけるように怒鳴った。「階段のことも、温室の農薬も、木箱の隙間も……全部、お前がわざとやったんだろ!今日の土砂崩れのときだって……お前、青葉が逃げたなんて嘘

  • 存在感ゼロのまま死んだら、家族が狂い始めた   第7話

    「まだ助かる!」医師のその一声で、美由利の全身から張り詰めていた力が一気に抜けた。荒い息をつきながらその場に膝をつき、担架の脇に崩れ落ちる。「助けて、お願い……早く、この子を助けて……!」青葉はすぐにヘリに運び込まれ、市内の総合病院へ搬送された。手術室の前には、息が詰まるような沈黙が落ちていた。「手術中」の赤いランプだけが、冷たく光っている。大樹は壁にもたれている。服に染み込んだ泥水も、まだ乾ききっていない。しばらく黙っていたが、やがて不機嫌そうに口を開く。「……母さんたち、ひどいよ。桃華があれだけ怖い思いをしたのに、誰も桃華のことなんか気にもかけない。一言も聞こうとしないで、みんなここに張りついたままだ」彼は手術室の扉を見やり、納得がいかないというように言葉を継いだ。「言っただろ。あいつがこんなんで死ぬわけないんだよ。あんな岩の下敷きになって、まだ息があるほうがおかしい。どこかに逃げ込める場所でも見つけて、隠れてるだけだ。また俺たちを振り回してるんだよ」美由利はゆっくりと振り返り、大樹の前まで歩み寄った。次の瞬間、乾いた音が廊下に響く。美由利の平手が、大樹の頬を打った。「黙りなさい!」掠れた声には、もう以前の穏やかさは欠片もなかった。「まだそんなことを言うの!?この子を、これ以上どれだけ苦しめれば気が済むの!」大樹は頬を押さえたまま、信じられないものを見るように目を見開いた。その様子を見て、桃華は目を赤くしたまま一歩前に出た。「お母さん、お兄ちゃんを叩かないで……お兄ちゃんの言う通りだよ……」両手の指をきつく組み合わせ、怯えた声で続けた。「あれだけの騒ぎだったんだから、お姉ちゃんが何もしないまま巻き込まれるわけないもん。小さい頃から外で暮らしてたんだから、危ないときにどこへ隠れればいいかくらい、ちゃんと分かってるはずよ。だからきっと、そんなにひどいけがなんてしてないよ。またみんなの気を引こうとしてるだけかもしれない……」美由利は何も言わなかった。ただ、桃華をじっと見つめている。17年間育ててきた娘に、あれほど冷えた眼差しを向けたのは、そのときが初めてだった。その目に射抜かれ、桃華の背筋に冷たいものが走った。思わず一歩後ずさる。「もういい、やめ

  • 存在感ゼロのまま死んだら、家族が狂い始めた   第6話

    大樹は担架の前へ飛び出す。青葉の肩をつかんで揺さぶろうとした瞬間、救助隊員が咄嗟にその腕を押さえた。「青葉、起きろ!目を開けろ!」大樹は叫び続けた。「また死んだふりなんだろ!?俺たちを騙そうとしてるだけなんだろ!?身体だってまだ温かいんだ!こんなことで死ぬわけない!起きろよ、青葉!」桃華も後ろで涙を拭いながら、泣き声まじりに声を上げた。「そうよ、お兄ちゃんの言う通りよ。お姉ちゃんが、こんなところで死ぬわけない!きっと前から隠れる場所を見つけてたのよ。また、こんなふうにして……私たちを怖がらせようとしてるだけよ。きっと、そうよ……」――パンッ!鋭い平手打ちの音が、桃華の言葉を断ち切った。美由利の手が打ったのは、桃華ではない。大樹の頬だ。美由利はよろめくように立ち上がり、血走った目で大樹を睨み据える。震える指で、青葉の血まみれの手を指さして叫ぶ。「この子は助けを求めてたのよ……!何度も、何度もそのボタンを押し続けてた!スマホだって鳴ってたでしょう!なのにあなたは、青葉はもう外に出てるって言い張った!仕返しだとか、底意地が悪いだとか……勝手に決めつけて、通知まで切った!そんなやつに付き合う必要はないって言ったのも、あなたじゃない!」大樹は打たれた頬を押さえることもできず、その場に立ち尽くした。「俺……」かすれた声が、震える唇からこぼれる。「俺、また……芝居だと思って……」一歩、後ずさる。これまで感じたことのない恐怖が、今になって胸の奥から込み上げてきた。「医者!早く医者を!」正人がようやく我に返り、震える声で叫んだ。待機していた医師が駆け寄り、青葉の首元に指を当てて脈を確かめ、呼吸と瞳孔の反応も素早く確認した。全員が固唾をのんで、その手元を見つめた。数秒後、医師が顔を上げ、切迫した声で叫ぶ。「脈がある!呼吸は浅いが、まだ続いている!すぐにヘリへ!急げ、まだ間に合う!」

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status