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第16話

Auteur: 晴天
一方、Z市。

裕翔が戻ってきたのは翌日の昼だった。

だが彼は奈々花に連絡を入れることもなく、そのまま会社へ向かった。

オフィスに腰を下ろして間もなく、ハイヒールの音を響かせながら奈々花が執務室へ入ってくる。

「帰ってきたなら連絡してくれればいいのに......」

相変わらず甘えるような声だった。

以前なら何とも思わなかったその声音に、今回はなぜか裕翔の眉がわずかに寄る。

そして無意識のうちに、彼は彼女の接近を避けていた。

当然、その動きは奈々花も見逃さなかった。

顔に一瞬だけ陰りが差したものの、すぐに何事もなかったかのように唇を尖らせ、再び彼へ身を寄せる。

「今回の出張で何かあったの?裕翔、なんだか元気がない」

その言葉に、彼は胸の奥の違和感を押し込めながら、今度は避けることをやめた。

「何もない。少し疲れただけだ」

実際、疲れていた。

心の疲労に加え、夜通しの移動。

肉体的にも限界に近かった。

その疲労が偽りではないと分かったのか、奈々花も少し心配そうな表情になる。

それ以上甘えることはせず、優しく声をかけた。

「とりあえず、何か食べましょう?」

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