Compartir

#2

last update Fecha de publicación: 2026-04-08 07:01:09

「このままじゃいけないと思って、離れたんだ。それがこんな風に話せるなんて」

先輩は横向きになり、スマホを枕元に置いた。

「今もちょっと、夢でも見てるんじゃないないか……って思う」

俺が思うならともかく、朋空先輩がそんな風に思うなんて。……意外過ぎた。

そんなこと聞いたら、俺もめちゃくちゃ自惚れちゃうじゃないか。

「現実ですよ。ほら、触れるでしょ」

彼の空いた左手をとり、そっちも繋ぎ合わせる。温かくて、自然と眠りに誘われそうだ。

朋空先輩も同じなのか、目を細め、静かに頷いた。

「幸せだな……」

……。

俺も。

という言葉をぐっと飲み込んだ。

こんなに尊い存在がいるなんて。一週間前の自分は夢にも思わなかった。

季節通り、とうとう俺にも春がやってきたってことか。

内心苦笑して、寝息を立てる朋空先輩を眺めた。

もう寝ちゃった。寝つきがいいのか、寝不足なのか……分からないけど、寝顔が可愛過ぎて考えることを放棄してしまった。

……さてと!

朋空先輩を起こさないよう、音を殺してベッドから起き上がった。彼は少しの振動でも気付きそうだから、部屋を出るまでに一分近くかかってしまった。

扉を開け閉めし、何
Continúa leyendo este libro gratis
Escanea el código para descargar la App
Capítulo bloqueado

Último capítulo

  • 帰ろうよ、朋空先輩   #5

    怒らないと約束したのに、光の速さで一喝された。どういうことだ。一緒に寝ようと言われたのに、廊下に出ていたのは俺だ。だから俺も先輩を裏切ったようなもので、間違いなく非がある。けどそれは全部、先輩を守りたかったからだ。……そこまで怒らなくてもいいじゃないか。順序よく説明する、という選択肢はもう俺にはなかった。情けないことこの上ないが……既に色々限界を迎えていたせいで、泣きながら叫んだ。「だ、だって……っ! 先輩いつも無防備で寝てるから、ほんとに危なかったんだもん! 冗談抜きでもっと警戒心持ってよ! 男に興味なかった俺でも、先輩の可愛い寝顔はずっと見てたいと思ったし。自分がどんだけ美人か、もっと自覚してほしい!! うああああ……てか怒らないって言ったのに、先輩の嘘つき! もうやだ、もう絶対信じない!」「………………」はい。不安と悲しみが爆発して、最終的に逆ギレしました。こういう時、どう対応するのが正解なんだろう。感情ぶちまけた後で考えても仕方ないけど、しゃくり上げながらこぼれ落ちる涙を袖でぬぐった。「ふえっ……もう無理、帰る……」「こら。まだ話は終わってない」「終わったもん……諦めたから、もう試合終了」「駄々っ子か」ドアの鍵を開けようとしたものの、阻止されて壁に押し付けられる。やっぱり、怖い。先輩のこと、大好きだけど……何を考えてるのか全く分からない時があって。でもそれを訊く勇気もなくて、逃げたくなる。無論、逃がしてもらえるわけもなく。両腕を掴まれ、見下された。「怒鳴ったりして、悪かった。……お前に怒ったっていうより、自分にムカついてるんだよ」「……自分に?」「守らないといけない奴に守られてた。……自分が不甲斐なくて、さ」朋空先輩は苦しげに顔を歪め、俯く。気付けば力は抜けていて、簡単に腕を振り解くことができた。「お前を危険に晒していたこと。それに気付かなかったこと。全部が腹立たしくて、正直吐きそう」「吐かないでください……」「吐かないけど、触っていい?」何故そうなる。意味不明過ぎてフリーズした。そんな俺に構うことなく、先輩は俺の頬や頭をぐりぐりと触り始めた。「はー、ちょっと回復した。めんどくさいことがたくさん起きるけど、精進あるのみ。だな」「あの、先輩。大変申し上げにくいんですけど、先輩が学校で寝なければ全て解決しま

  • 帰ろうよ、朋空先輩   #4

    赤城先輩は憐れみを込めた瞳で俺を見つめる。そして意を決したように手を叩いた。「とにかく、君が狙われるようになったのは俺のせいだ。だから俺が責任をとる!!」「いやいや、大丈夫ですよ。赤城先輩は悪くないです」むしろ俺と朋空先輩を引き寄せてくれた、恋のキューピッドだ。感謝しかない。笑顔で断ったものの、赤城先輩は食い下がらなかった。「そう言ったって、君の研究室に辰野を入れるようお願いしちゃったし〜。それに君、今は廊下で見張り番してるんだって?」「え。誰からそれを?」「この前研究室の周りをウロウロしてる奴を捕まえて、問い質したんだよ。君がドアの前にいるから今までみたいに突撃できなくなったって嘆いてた。それなら俺が代わるから、無理しないで!」勢いよく両手を握られる。心配してくれるのは嬉しいし、不覚にもドキッとしてしまったけど。────赤城先輩の横に視線をスライドしたとき、心臓が止まりそうになった。先輩の後ろに見えたのは人影。目を凝らして確認すると、無表情で佇む朋空先輩だった。「わああっ!!」「わっ、何? あ、辰野じゃん」俺が驚き叫んだことで、赤城先輩も後ろにいる朋空先輩に気が付いた。俺から手を離し、困り顔で彼に振り向く。「辰野、驚かないで聞いてほしいんだけど。今、入ちゃんが大変なんだ」「知ってる。聞こえたからな」ヒエッ。聞かれたら困ることを、色々聞かれてしまった気がする。びくびくしながら身を縮め、赤城先輩の影に隠れた。朋空先輩の反応を見るのが怖くて顔を上げることができない。「聞いてたか。じゃ、話は早い。入ちゃんを狙う変態が増えた今、研究室にお前ら二人でいるのは危険だ。場所を変えるか、一緒にいるのをやめて」「離れて、関わるなって?」赤城先輩の言葉を遮り、朋空先輩は忌々しそうに吐き捨てた。これはやばい……。掛けていた眼鏡を外し、力強く握り締める。俺の聞き間違いでなければバキッという音が聞こえたので、壊れ……いや、壊したんだと思う。「何で他の奴らの為にそんなことしないといけないんだ?」「他の奴の為っていうか、入ちゃんの為だろ」「問題ない。俺が守るんだから」「って言うけどぉ、分かってんのか? お前は今まで入ちゃんに守られてたんだぞ。廊下で独り、小さいのに頑張っ痛ぇ!!」したり顔で話す赤城先輩を押しのけ(……たというかほぼ平手打

  • 帰ろうよ、朋空先輩   #3

    「入川、何か最近いつも楽しそうだよな」「え、そう?」昼休み、売店で爆弾のようなおにぎりを二個買った。顎が外れそうなほど大きく、親の仇ぐらいぎゅうぎゅう握ったおにぎりなのだが、具の鮭たらこが絶品なので毎週食べている。片手におにぎり、もう片手にお茶を持って、隣を歩く館原に振り返った。「朝は眠いし、授業は全然分かんないし。正直絶望的だよ」「いんや、そういうんじゃないんだよ。お前は大体笑顔だけど、最近はそれに輪をかけてテンション高めっていうか」ハキハキしてるし、動きも俊敏だという。自分では分からないけど、周りにはそう見えてるんだろうか。「眠り姫先輩の件で疲れてると思ってたけど。絶対良いことあったろ。……それも、その先輩のことで」「え? な、何もないよ!」非常に際どいところを突かれ、慌ててかぶりを振る。館原は勘がいい。俺と朋空先輩が最近一緒に登下校してることも知ってるし、先輩後輩以上の関係に見えてる可能性がある。そして、同性愛者が多いことも分かってる。それはつまり、俺や朋空先輩が同性愛者、という推測にも辿り着きやすいわけで。「もしかして、お前……」館原は足を止め、怪訝な表情でこちらを見た。やばい……怪しまれてる。言い訳する為に、必死に思考を巡らせる。すると背後に誰かの気配を感じた。「入川、彼女ができたんだろ?」「わわ! あ、矢代先生……!」軽く背中を叩かれ、思わず飛び上がりそうになった。危うくおにぎりも落としそうになったが、すんでのところでキャッチする。現れたのは、担任の矢代先生だった。神出鬼没で、多分学校で一番人気があるイケメンの先生。彼は俺の反応を見ると、意味ありげに口端を上げた。「先生は良いと思うぞ。何事も経験だし、今しかできないこともある。館原、お前もな」「え? 俺ですか?」「さっき教室でお前を捜しにきてる子がいたぞ。部活のマネージャーって言ってたかな」「あ、そういや部費回収しに来るって言ってた! 失礼します!」館原は一気に青ざめ、大慌てで来た道を走っていった。「廊下を走るのはいただけないな」「矢代先生、俺に彼女って……誰から訊いたんですか?」「ん? 適当に言ったんだけど?」怖怖尋ねると、矢代先生はあっけらかんと言い放った。てっきりなにか知られてると思ったから、愕然とする。「何だ、本当にできたのか。図らずもカマ

  • 帰ろうよ、朋空先輩   #2

    「このままじゃいけないと思って、離れたんだ。それがこんな風に話せるなんて」先輩は横向きになり、スマホを枕元に置いた。「今もちょっと、夢でも見てるんじゃないないか……って思う」俺が思うならともかく、朋空先輩がそんな風に思うなんて。……意外過ぎた。そんなこと聞いたら、俺もめちゃくちゃ自惚れちゃうじゃないか。「現実ですよ。ほら、触れるでしょ」彼の空いた左手をとり、そっちも繋ぎ合わせる。温かくて、自然と眠りに誘われそうだ。朋空先輩も同じなのか、目を細め、静かに頷いた。「幸せだな……」……。俺も。という言葉をぐっと飲み込んだ。こんなに尊い存在がいるなんて。一週間前の自分は夢にも思わなかった。季節通り、とうとう俺にも春がやってきたってことか。内心苦笑して、寝息を立てる朋空先輩を眺めた。もう寝ちゃった。寝つきがいいのか、寝不足なのか……分からないけど、寝顔が可愛過ぎて考えることを放棄してしまった。……さてと!朋空先輩を起こさないよう、音を殺してベッドから起き上がった。彼は少しの振動でも気付きそうだから、部屋を出るまでに一分近くかかってしまった。扉を開け閉めし、何とか廊下に出る。「ふぅ」これはこれで大仕事だな。向かいの壁に寄りかかり、天井を見上げた。朋空先輩がこの研究室に来てることを、恐らく多くの生徒が知ってしまった。正直鍵をかけてるぐらいじゃ安心はできない。先輩に安眠してもらうには、やはり俺が廊下で見張って、来訪者がいたら対応することだ。案の定数人の生徒がやってきたが、丁重に説得して帰ってもらった。できれば先輩が寝てるときではなく、朝や授業後の休み時間に話しかけてほしい、と伝えて。何だかんだスマホを見ていると、あっという間に夜がやってきた。ドアを開け、最奥のベッドに片膝を乗せる。「おはようございます」ブランケットを少しだけめくり、瞼を開けた彼に笑いかけた。「帰りましょ、朋空先輩」夏は日が長いけど、空が薄紫に染まったらあっという間に夜に傾く。マンションに辿り着き、エレベーターのボタンを押した。「……寝癖すごかったな」「あはは。気にするほどじゃないですよ」エレベーターに乗り込み、姿見を見た朋空先輩はぽつりと呟いた。「授業終わってるから帰るだけだし。髪が乱れた先輩も、それはそれでかっこいいし」「相変わらずおだてんの

  • 帰ろうよ、朋空先輩   #1

    なるべく他人に迷惑かけず、細々と生きていた。高校に入ってからは自由主義に拍車がかかり、睡眠研究会なるものを立ち上げてしまったが、それ以外は特筆すべきこともない。授業態度は真面目、遅刻も早退もなし。そんな俺が、今や全校生徒の視線を集めている。いや、正確には俺の隣。「辰野先輩、おはようございます!」「……おはよう」「辰野先輩、今日の体育、テニスの授業ですよね? 頑張ってください!」「ありがと……」想像してた百倍やばい。数歩歩くだけで女子に話しかけられてる。朋空先輩とめでたく(?)お付き合いしてから、待ち合わせして一緒に登校するようになった。それはいいのだが、校門をくぐってから辰野先輩コールが止まらない。俺が返事してるわけじゃないのに、聞いてるだけで疲れてきた。やっぱり朋空先輩ってすごい。淡々と対応してるけど、俺だったらそのうち奇声上げて発狂する。「みんな朋空先輩に話しかけるところがすごいや。俺だったら、好きな人に話しかけられない。遠くから見てることしかできないよ」人見知りではないけど、恋愛に関しては間違いなく引っ込み思案。ため息混じりに言うと、彼はようやく楽しそうに笑った。「かもな。でも、俺はお前のそういうところが好きだよ」「先輩……学校に入ったら、好きとか言っちゃ駄目です。誰かに聞かれたら大変」「いいだろ別に。むしろ聞かせてやりたいよ」朋空先輩はくるっと振り返ると、俺の髪に触れた。「俺の可愛い恋人のこと。他の奴らが欲しいと思わない程度にな」下駄箱で上履きに履き替え、互いの教室へ向かう。……はずだったのだが、何故か男子トイレに連れて行かれ、個室に引き込まれてしまった。「先輩? 何でここ……」「みんなお前のこと見てたな」「いやいや、何言ってんですか。先輩のこと見てたに決まってるでしょ」「いーや。俺と一緒にいるお前。……一体誰なんだ、って興味津々だったぞ」先輩は俺の前髪を持ち上げ、額にキスした。「俺といるせいで目立って、変な奴らに狙われないか。それだけが本当に心配だ」「あはは……大丈夫ですよ。俺は自衛できます。先輩のことも守るつもりだし」自身の胸を叩いて自信満々に答えると、先輩は露骨なため息をついた。「全然駄目だな。こんなちっこくて可愛いんじゃ」「そ、そんな小さくないですよ!」確かに高身長とは言い難いけど、がっか

  • 帰ろうよ、朋空先輩   見たい、見たくない

    『独りなら、夜まで一緒にいるよ』ずっと昔に掛けられた言葉が、今でも耳に残っている。急に、小学生のときのことを思い出してしまった。……マンションに帰ってきたはいいものの、誰もいない部屋に入りたくなくて。一階の共用スペースで時間を潰していた俺に、優しく微笑む男の子がいた。変わった名前だったから、すぐに覚えた。笑うととても綺麗で、声も透き通っていて。傍から見ればすごく懐いてたんだろう。同じマンションの人は、俺達が常に一緒にいることを分かっていた。本当の兄弟みたいと言われたこともある。あの時は嬉しかった。けど、今は思う。兄弟じゃなくてほんとに良かったと。誰を好きになってもいいなら、俺はやっぱり……この人以外には考えられない。久しぶりに話して、触れて、ずっと押し殺してた感情が溢れて出してしまった。「俺も、朋空先輩が欲しい」優しい声とか、柔らかい掌とか。視線も関心も、全部独り占めしたい。こんな気持ちになったのは初めてだ。我ながら傲慢だと思うけど、今さら撤回や訂正はできない。俺の言葉を聞いた朋空先輩はきょとんとしていたけど、すぐに意味を理解し、微笑んだ。「もちろん、やるよ」額にチュッと音の鳴るキスをされる。こんな甘い行為も、普段の先輩を知ってる人からしたら想像もできないだろう。俺だってそうだ。こんなに表情豊かで、可愛い人だなんて────二人きりにならなかったら絶対知らないままだった。「あの……俺達のこれって、告白になるんですか?」「……」純粋に疑問で問いかけると、彼はうーん、と天井をあおいだ。そして非常に淡々と言い放つ。「告白。からの、カップル成立」「はっや!!」びっくり過ぎて叫んでしまった。想像していた百倍軽いぞ。告白からのお付き合いって、もっとこう……互いの表情や仕草を窺い、同意を得るものだと思ってた。うわわわ……もう成立してしまったらしい。俺と朋空先輩は、恋人同士と。嬉しいけど、俺達は男で、つい最近久しぶりに喋った仲だ。冷静に考えたら山ほど問題を抱えている。だけど先輩は落ち着いている。相変わらずの無表情で、俺の頭をぽんぽんと叩いた。「お前に怖い思いをさせたくないから、今まで距離をとるようにしてた。でも、俺も馬鹿だな。よく考えたら、守ればいいだけだったんだ」朋空先輩はなにか腑に落ちた様子で体を起こした。俺のことも抱き

Más capítulos
Explora y lee buenas novelas gratis
Acceso gratuito a una gran cantidad de buenas novelas en la app GoodNovel. Descarga los libros que te gusten y léelos donde y cuando quieras.
Lee libros gratis en la app
ESCANEA EL CÓDIGO PARA LEER EN LA APP
DMCA.com Protection Status