漆黒の繭

漆黒の繭

last updateLast Updated : 2025-10-30
By:  琉斗六Completed
Language: Japanese
goodnovel18goodnovel
Not enough ratings
5Chapters
281views
Read
Add to library

Share:  

Report
Overview
Catalog
SCAN CODE TO READ ON APP

視力を失った鷹取雅史は、バディの真鍋美津留に「療養」と称して隔離される。 その場所は外界から完全に遮断された〝部屋〟。 優しさに満ちた真鍋の世話は、徐々に鷹取の自由意志と尊厳を奪っていく。

View More

Chapter 1

プロローグ

 意識を取り戻したとき、鷹取雅史たかとりまさしは、自分がどこにいるのか分からなかった。

 耳に聞こえる、規則的なモーターの音。

 鼻孔に香る、清潔な消毒薬の香り。

 だが、それらを確かめるために目を開いているはずなのに──。

──なにも……見えない?

 慌てふためき、焦りながら自身の顔に触れて、そこに包帯があることに気づく。

 鷹取は、必死に記憶を手繰った。

──そうだ、爆発の煽りを受けた……。

 鷹取は、爆発物処理班に席を置く、エキスパートだ。

 急報を受けて現場に赴き、タイマー型の爆発物の処理を行った。

 だが、それは一つの爆弾の作動を止めると、連携している別の爆弾が爆発する特殊な仕様をしていた。

 気づかず、処理を行ったために、起爆装置が解除された瞬間、建物内の別の場所で爆発が起きたのだ。

 響く爆音。

 咄嗟に腕を上げて頭を──顔をかばったように思うが……。

「痛みはあるかい?」

 声を掛けられ、そちらを向いた。

 が、視界は真っ暗なままだ。

「真鍋?」

「そうだ、僕だ。痛みは?」

 相棒の声に、どこかほっとした。

 暗闇の中で、唯一の繋がりがそこにあるようで、心が少しだけ軽くなった。

「……そう……だな、頭が痛むし……、背中も痛い……」

「そうか。耐えられないほどなら、緒形先生に言って、痛み止めを増やすように頼むが……?」

「いや……、我慢できないほどじゃないな。それより、目が見えない。どうなってる?」

「包帯をしているからだろう。ちょっと待っていてくれ。君の意識が戻ったと、緒形先生に伝えてくる」

 真鍋が離れていく気配に、鷹取は一抹の不安のようなものを感じた。

Expand
Next Chapter
Download

Latest chapter

More Chapters
No Comments
5 Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status