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第4話

Author: 灯り
【真央と子どもは遠くへやる。あいつとは縁を切る】

【お前の体が回復したら、新婚旅行に行こう】

私は冷たく画面を閉じ、返事はしなかった。

失ってしまったあの子のことを思うと、涙が枕を濡らした。

私はもともと身寄りが薄い。父が亡くなってから、この世にもう家族と呼べる人はいなかった。

だからずっと、自分と血のつながった子どもを持つことを夢見ていた。

なのに侑斗は、自分の手で私の子どもを殺したのだ。

私は目を閉じることもできないまま、朝まで眠れなかった。

看護師を呼び、退院の手続きを頼んだ。

そのとき、侑斗が暗い顔をして病室に入ってきた。

彼は何も言わず、いきなり私の頬を平手で打った。

耳の奥でキーンという音が鳴り、頭の中が真っ白になった。

口の端に広がる血の味で、ようやく何が起きたのか理解した。

彼は私の髪を掴み、顔をスマホの画面へ押しつけた。

そこには炎上したトレンドが映っていた。

【人気歌手・吉田真央が未婚で出産、過去の卑猥写真も流出】

トレンドの下には、真央が若い頃、誘拐犯に攫われて暴行された時の写真が並んでいた。

彼の声は、凍るほど冷たかった。

「咲希、俺はもう譲歩したはずだ。なのに、どうしてこんなことをした?

分かってるのか。お前のせいで、真央は人生を壊されるんだぞ!

俺は十年かけて、真央をうつから立ち直らせたんだ。それをお前が全部壊した!」

私は呆然とそれを聞きながら、必死に否定した。

「私じゃない」

けれど男はもう私の説明など聞こうとせず、そのまま私を一室へ引きずり込んだ。

照明は白々しいほど明るかった。

目の前には、裸の男たちがずらりと並んでいた。

部屋のあちこちには、カメラが据えつけられていた。

心が一瞬で底まで落ちた。私は侑斗の腕を掴んだ。

「何をするつもりなの?」

彼の口元が、不気味に歪んだ。

「お前もこの業界の人間だろ。分かるはずだ。

トレンドを消す一番早い方法は、もっと大きな話題を上にかぶせることだ」

そう言う彼の目は、ますます狂気を帯びていった。

「お前は大女優だ。お前がレイプされた写真が出回れば、誰も真央のことなんか見なくなる」

その瞬間、私は呼吸の仕方を忘れた。

信じられない思いで、目の前の男を見つめた。

私は彼の妻だった。

私はたった今、彼のせいで子どもを失ったばかりだった。

それなのに彼は、真央のために、私を他人に汚させようとしていた。

侑斗は私を振り払い、ドアの方へ歩いていった。

そして男たちに向かって、冷たく言い放った。

「手早く済ませろ」

言い終えると、そのまま部屋を出ていった。

私は弾かれたように駆け寄り、必死にドアを叩いた。

「侑斗、出して!

私じゃない!お願い、出して!

お願いだから!」

けれど扉の向こうから返ってきたのは、車のエンジン音だけだった。ほかには、何一つ聞こえなかった。

私は壁に背を滑らせ、その場に崩れ落ちた。

男たちが囲んでくる。

押さえつけられ、服を剥がされていく中で、私は絶望のまま目を閉じた。

どれほど時間が経ったのか分からない。

明かりが落ちていた。

私は生気を失ったまま、部屋の真ん中に打ち捨てられていた。

体にはまともな皮膚の残っている場所すら見当たらず、下半身からは血が絶えず流れ、床を少しずつ赤く染めていた。

私は這うようにして、入口近くの花瓶のところまでたどり着いた。

残った力を振り絞って、それを倒す。

砕ける音を聞きながら、破片を一つ拾い上げ、ためらいもなく手首を切った。

意識が遠のいていく中、突然ドアが蹴破られた。

大柄な人影が飛び込んできて、私を抱き上げ、取り乱したように怒鳴った。

「誰がやった!誰だ、こんなことをしたのは!殺してやる!」

その頃、侑斗が病院へ足を踏み入れると、街頭の大型ビジョンに映像が流れていた。

無修正の動画だった。私の苦しげな悲鳴が、彼の鼓膜を突き刺した。

彼は目を見開き、信じられないものを見るようにその画面を見つめた。

彼が指示したのは、ただ写真を撮って体裁だけ整えろということだけだった。

どうして動画が流出しているのか。

胸の奥に恐怖がせり上がり、彼は震える指で秘書に電話をかけた。そして向こうへ向かって怒鳴った。

「消せ!今すぐ消せ!咲希の動画を全部消せ!」

だがその瞬間、大型ビジョンには緊急で訃報が映し出された。

【大物女優の藤原咲希さん死去性的被害を受けた後に自殺を図り、搬送先の病院で死亡が確認される】

男の体がぐらりと揺れた。よろめき、その場に立っていることすらできなかった。

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