LOGIN名声を守るため、ジュリア・マルティネスは密かに愛するロドリゲス・NLEのため、夢とキャリアを捨てた。罪悪感から彼は彼女と結婚するが、心は初恋のダイアナ・ケイタにあった。四年間、ジュリアは愛されない結婚生活に耐える。しかしダイアナの帰国で、最後の希望も消える。傷ついたジュリアは離婚し、息子ジョーダンと新しい人生へ旅立つ。失って初めて、ロドリゲスは彼女こそ最愛の女性だったと気づく。だが、彼女にはすでにサム・ウィリアムが寄り添っていた。ロドリゲスは後悔と向き合い、本物の愛を証明しなければならない。
View More真夜中が近づいていた。車はゆっくりと速度を落とし、大きな白い門の前で止まった。ロドリゲスは、その場所を見た瞬間に気づいた。二人が結婚した日の、あの門だった。彼はエンジンを切った。最後に一度だけエンジンが小さく咳き込むような音を立て、それから静かになった。誰もすぐには車から降りなかった。夜の静けさの中、虫の鳴き声だけが聞こえていた。後部座席では、レナがまだ眠っていた。エレナの肩に頭を預け、規則正しく呼吸している。その寝息は、他の者たちより少しだけ大きかった。ロドリゲスは屋敷を見つめた。月明かりに照らされたその家は、昔とは違って見えた。静かすぎる。綺麗すぎる。まるで何年も誰も住んでいなかったかのようだった。それでも、彼にはすべてが分かった。鎧戸。壁に沿って伸び続けているツタ。そして窓の向こうに見える大きな階段。胃の奥がきゅっと締めつけられた。最後にここへ来たとき、彼はまだ二十六歳だった。あの頃の彼は、結婚なんて、署名をしていくつかの義務を果たせば終わるものだと思っていた。「中で何が見つかるか分からない」クロードがそう呟きながら、銃を確認した。小さな金属音が、静まり返った夜の中ではやけに大きく響いた。ロドリゲスは黙ってうなずいた。そしてジュリアを見る。彼女はすでに屋敷を見つめていた。唇を固く結び、両手を膝の上に置いている。「ジュリア、ここに残ってくれ。こっちのほうが安全だ」彼女はゆっくりと彼へ顔を向けた。「嫌」「ジュリア……」「嫌よ、ロドリゲス」彼はため息をついた。「頼む」ジュリアは首を横に振った。「4年間ずっと、あなたは私にどこにいろ、いつ出ていけ、いつ黙っていろって言ってきたでしょう?」彼女はまっすぐ彼を見つめた。「だから今回は、私もあなたと一緒に行く」ロドリゲスが口を開こうとした。だが、その前にジュリアが続けた。「あなたたちが中で危険な目に遭っている間、私はこの車の中で待ってなんていられない」彼女は深く息を吸った。手は少し震えていた。それでも、それを悟られないようにしていた。「一緒に入る。それが嫌なら、私もここであなたと一緒に残る」ロドリゲスは数秒間、彼女を見つめた。言い合うこともできた。けれど、そんなことをしても意味がないと分かっていた。小さな笑みがこぼれた。「
車は、もう一時間近く走り続けていた。 車内には、誰の声もなかった。 聞こえるのは一定のリズムで響くエンジン音と、ときおりタイヤが道路を踏みしめる音だけだった。 後部座席では、ロドリゲスがジュリアとレナの間に座っていた。彼は小さな妹の手を、自分の手でそっと握っていた。 レナはぐっすり眠っていて、頭を彼の肩に預けている。 時々、ロドリゲスは視線を落として彼女を見つめた。 まだ、うまく現実として受け止められなかった。 この小さな女の子が、自分の妹。 血のつながった、妹なのだ。 これまでずっと、家族の一部を隠されていた。 自分自身の過去さえも。 ロドリゲスは、レナの指を握る手に少しだけ力を込めた。 まるで、彼女が本当にここにいるのだと確かめるように。 その隣では、ジュリアが窓の外を流れていく景色を眺めていた。 表情は硬く、視線は遠くに向けられている。 ロドリゲスは、そんな彼女の沈黙に気づいた。 「何を考えてる?」 ジュリアはすぐには答えなかった。 二人の手元に視線を落としてから、静かに息を吐く。 「私たちの結婚のこと」 ロドリゲスの体がわずかに強張った。 「どうして?」 ジュリアは彼のほうへ顔を向けた。 「もし、最初から誰かが私たちを監視していたのだとしたら……」 そこで言葉を止めた。 最後まで口にしていいのか迷っているようだった。 「その後に起きたことも、全部偶然じゃなかったのかもしれない」 ロドリゲスは黙っていた。 ジュリアの言葉が、頭の中を何度も駆け巡る。 彼女はさらに声を落とした。 「私たちが出会ったことさえも」 ロドリゲスは彼女の手を取った。 それは簡単な仕草だった。 けれど、不思議と安心できる温かさがあった。 「俺たちがどうやって出会ったのかなんて、もう関係ない」 ジュリアは彼を見つめた。 「私にとっては、大事なことよ」 「分かってる」 ロドリゲスは彼女の指に自分の指を絡めた。 そして、落ち着いた声で続けた。 「でも、誰にも俺たちの代わりに決められないものが一つある」 「何?」 ロドリゲスはまっすぐ彼女の目を見た。 「俺が君に抱いている気持ちだ」 ジュリアは何も言わなかった。 けれど、その言葉を聞いた瞬間、胸がきゅっと締めつけられた。 ロドリゲスは続けた。 「確かに
誰も動かなかった。数秒間、全員がその場に凍りついたように立ち尽くしていた。車のヘッドライトに照らされた道路の真ん中で、小さな女の子がじっと立っていた。十歳くらいだろう。髪は二つのおさげにきれいに結ばれていて、胸元には古い写真を大切そうに抱えていた。写真の端は擦り切れている。ロドリゲスはゆっくりとエレナへ顔を向けた。母親の顔は真っ青だった。何も言わない。一言も。ただ、その子を見つめていた。まるで目の前に幽霊が現れたかのように、大きく目を見開いている。— 母さん?ロドリゲスの声にも、エレナはほとんど反応しなかった。エレナは黙ったままだった。やがてガブリエルが数歩前へ進んだ。彼の視線が少女とエレナの間を行き来する。— そんな……ありえない。少女は胸に抱いていた写真へ目を落とした。— お母さんが言ってた。いつか、あなたたちが私を見つけるって。ロドリゲスは胸を激しく叩かれるような感覚に襲われた。もう何が何だか分からなかった。彼も少女へ近づいた。— 君のお母さんは誰だ?少女はゆっくりと顔を上げた。そして、その目がエレナを捉える。— エレナ。その瞬間、先ほどよりも重い沈黙が落ちた。ジュリアはロドリゲスを見つめた。彼の顔には、はっきりと混乱が浮かんでいる。ロドリゲスはエレナへ向き直った。— この子は、あなたの娘なのか?エレナはゆっくりと首を横に振った。— 違う。少女が眉をひそめる。— 私は、お母さんの娘だよ。エレナは口元を手で覆った。目には瞬く間に涙が溢れた。彼女は何かに引き寄せられるように、少女へ数歩近づいた。— あなた……声が震えた。エレナは震える手を伸ばし、少女の頬にそっと触れた。まるで、本当にそこにいるのか確かめるように。— 生きていたのね。少女の唇に、小さな笑みが浮かんだ。— お母さんが来てくれるって、分かってた。エレナはもう涙をこらえられなかった。少女を強く抱きしめる。そして、声を上げて泣き始めた。ただの涙ではなかった。二十五年間、心の奥に閉じ込めていた痛みを、すべて一気に吐き出しているようだった。ロドリゲスは、その光景を前に動けなかった。自分が何も知らなかった物語の一部を、目の前で見せられているような気がした。しばらくして、ようやく口を開く。— 母さん……この子
背後でドアが大きな音を立てて閉まった。ジュリアは激しく身を震わせた。心臓が一瞬止まったように感じる。ロドリゲスはすぐに彼女を自分のほうへ引き寄せ、本能的に腕を彼女の腰へ回した。— 動くな。彼の声は、ほとんど囁きに近かった。それでも、その口調には逆らう余地がなかった。クロードがランプを持ち上げ、廊下を素早く照らした。何もない。人影もない。動くものもない。ただ、光さえ飲み込んでしまいそうな長い暗闇だけが続いていた。— 誰だ? そこにいるのか!クロードの声が壁に反響する。返事はなかった。その直後、廊下のどこかから、くぐもった笑い声が聞こえてきた。エレナの顔から血の気が引いた。指が強くこわばる。— この声……ガブリエルが彼女を振り返った。— 知っているのか?エレナはすぐには答えなかった。彼女は瞬きさえせず、廊下を見つめていた。まるで、二度と会いたくなかった人物の顔を思い出したかのように。— エレナ?彼女の唇が震えた。— あの人よ。ロドリゲスが眉をひそめる。— 誰だ?エレナは苦しそうに唾を飲み込んだ。— 私を監禁していた男。そのとき、廊下に足音が響いた。一歩。そして、もう一歩。ゆっくりと。一定の間隔で。誰かがこちらへ近づいてきていた。クロードはすぐに銃を構えた。— 姿を見せろ!足音は止まらなかった。やがて、廊下の奥に人影が現れた。ロドリゲスの身体が強張った。息が止まる。この男を知っている。いや……そんなはずはない。ここにいる全員が知っている人物だった。アンリ。彼の父親。数秒間、ロドリゲスは言葉を失った。ジュリアが口元を手で覆う。— でも……エレナが一歩後ずさった。— そんな……男は彼らから数メートル離れたところで足を止めた。ロドリゲスの記憶にある姿よりも、顔には深い疲れが刻まれていた。顔立ちは歳を重ね、髪も以前とは違っている。それでも、その目だけは……見間違えるはずがなかった。間違いなくアンリだった。ロドリゲスは喉が締めつけられるような感覚を覚えた。— お前は死んだはずだ。アンリの唇に、悲しげな笑みが浮かんだ。— みんなには、そう思っていてもらう必要があった。ロドリゲスは彼に向かって一歩踏み出した。驚きは、すでに怒りへと変わり始めていた。— 知っ