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第107話

Auteur: シガちゃん
祐一の言葉を聞いた瞬間、由奈の胸にかすかに残っていた最後の期待と愛情は、冷水を浴びせられたように一気に凍りついた。

驚き、屈辱、怒り、悔しさ――あらゆる感情が渦巻いているはずなのに、心は不思議なほど静かだった。

人は、本当に追い詰められたとき、涙さえ出なくなる。今の由奈は、この状況があまりにも滑稽で、思わず苦笑してしまいそうだった。

「……私が、彼女が本来手に入れるはずだったものを奪ったというなら――全部、返す」

由奈は祐一の手を振り払い、そのまま背を向けた。だが次の瞬間、腕を強く掴まれる。

祐一が目を細める。「……今、なんと言った?」

「だから」

由奈は一語一語、はっきりと告げた。

「私が身を引く。あなたが、彼女を取り戻すための機会をあげるって言ってるの」

勢いよく腕を振りほどき、由奈はドアを開けて外へ出た。

祐一はその場に立ち尽くしたまま、顔色がみるみる悪くなっていく。何かが、確実に自分の掌からこぼれ落ちていく感覚があった。

――滝沢家は、彼女が来たい時に来て、出たい時に出られるような場所じゃない。

祐一は無言でスマホを取り出し、通話ボタンを押した。

……
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Commentaires (1)
goodnovel comment avatar
中村 由美
あ~まだ離婚して家を出ないのか⋯ 離婚させてから更新待ちにしてよー!!
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