Mag-log in道の発展は国の発展。
この国、ハルモニクスの王が言った言葉だ。やや強硬的に進められた交通政策のおかげで、こんなド田舎と言って良い地域にもかかわらず、ズビャビッと整備された石畳の道を歩く。
左手を見れば青々とした森が広がり、右手を見れば草原が地平線まで続いている。
思わず俺は自由だ―! なんて叫びたくなる気持ちがあるけれど、そんなことをしている場合でもない。フリーダムを謳歌したい気持ちを抑えて、アルエ様と今後について話した結果だが。
やっぱり直近の目標として、性隷術をしっかり扱えるようになることが共通認識として設定された。「カーラって言ったっけ? あの娘が発情を防げた理由はわからないけど、あなたが人間相手に発情を成功できるかは何とも言えないところね、むしろ失敗する可能性のほうが今のところ高い」
やっぱり確信犯だったんだなぁと呆れもするが、まぁいいか。
「その理由は?」
「単純に、術者の技量が未熟だからよ」
「む、むぅ」
アルエ様は精霊じゃなく淫魔とのことだが。
自身の力、すなわち魔法の力を契約者に与えるという面においては精霊と同じ存在とのことで。「精霊術にしてもそうだけど、やっぱり訓練が必要なのよ。それも実践的なね」
「実践的、というとやはり使って慣れろということでしょうか」
「そそ」
「そうは言いますが。先ほど仰られたように、人間相手には失敗してしまう可能性があるのでは?」
「ええ。だから使う相手を変えるのよ、そう、モンスター相手にね」
……さて、落ち着こう。
「モンスター相手?」
「うん」
「モンスターに発情を?」
「うん」
「俺、どうにかなっちゃいません?」
「なるわね」
「えぇ……?」
しれっと言い放つアルエ様は滅んだほうがいいと思う。
つまりは言ってるのだ、モンスターを発情させてその贄になれと。「やりようはあるわよ。狩りの経験はあるんでしょ? だったらモンスターの足を止めるなり瀕死にするなりしてから発情を使えばいい。成功すればトドメを刺すとかね」
「あぁなるほど。確かにそれなら安全ですね」
「まぁその場合、習熟するのにすっごく時間かかっちゃうけど」
「具体的には?」
「100年くらい」
「アルエ様ってアホでしょう」
「中々言うじゃない?」
むっと頬を膨らませるアルエ様だが、流石に100年も生きてられません。
習熟するころにはベッドインがどうのとか言えないよ、むしろ棺桶にベッドインだよ。「そもそもの話だけど。あなたに魔法の才能はこれっぽっちもないのよ」
「これっぽっちもですか」
「ええ、これっぽっちも」
ちっさい指で更に小さい輪を作りながらアルエ様は続ける。
「それでもあなたと契約できたのは……そうね、言うなれば相性が凄く良かったから」
「相性が良い、ですか?」
「魂の形が近いと言ってもいいかもしれないわね。精霊もそうだけど、自分と魂の形が近い人間を契約者に選ぶ。じゃないと自分の力や加護をちゃんと与えられないから」
力ってのは魔法のことだろう。
そういえば聞いたことあるな、精霊の加護ってやつ。 風の精霊と契約した人が風のような速さで動くとか、水の精霊と契約した人は怪我の治りが速いとか。「アルエ様にも加護があるのですか」
「当り前よ。淫魔といえど、人間には勿体ない位のやつがね!」
胸を張ってもそこにはたわわな果実があるだけですよっと。
いやまぁそれはいいとして。
「じゃあ俺になんの加護を与えてくれてるんです?」
「性能力の向上とツラの良さ」
「はい?」
「要するに魅力的な人間に見えるようになるってことよ、ベッドの外でも中でもね」
ほ、ほほう? そりゃナイスですんばらしい加護ですな?
そうか、ついに俺もイケメン限定の輪に入ることができるのか……ひーひー言わせてやるぜ、ふふふ。
「まぁ性能力はともかく。魅力に関して、今は人間みたいな知性や理性を持つ相手に効果はほぼないでしょうけど」
「なんでやねんっ! 喜びを返してくださいっ!」
ぬか喜びってレベルじゃねぇぞ!
魅了出来なきゃ宝の持ち腐れだよっ!「だからこそ魔法の習熟が必要なのよ。魔法の習熟はあたしという淫魔への理解を深めるということ。魔法の才能が欠片もないあなたに、誰からでも惚れられるみたいな強さの加護を与えれば……ボンッ、よ」
「ボンッ、ですか」
「ボンッ、ね」
そりゃ怖い。
「息も絶え絶えなモンスター相手になら確かに簡単に魔法を通せる。けど、習熟にはならない。困難という壁を乗り超えてこそなのよ」
「急に時代遅れの熱血教師みたいなこと言い出しましたね」
「うっさいな。けど、そういうことよ。精霊術師だって、己の力を高めるために人知れずかどうかは知らないけど、そうやって鍛錬を積んでるわ」
そう言われると仕方ないとしか。
楽な道は無いもんなのだろう。
覚悟を決めて苦労することにしましょうか。 そんなわけで。 魔物除けが施されている街道を外れて森の中に入った。「だからと言ってスライムから選ぶとか、変態ね」
「変態て」
そこは臆病者とかのほうが正しいと思うんだけどどうだろうか。
「スライムだって立派なモンスターですよ。え、モンスターですよね?」
「ええ、間違いなくモンスターよ。付け加えるなら、発情状態にできる、ね」
ならいいじゃないか。
まぁ、こっちに気づいていないあのぽよぽよした直径1メートルと少しの水色球体が、発情すればどうなるのかなんてわからないけど。
「狩りと違って、真正面から戦うわけですし。困難を超えるにしても小さい山から着実に行きたいんですよ」
「まぁ、あたしに異論はないわ。不満ではあるけどね」
若干つまらなそうに口をとがらせるアルエ様だが、勘弁してほしいと思う。
狩りの経験があると言っても、そもそも戦闘とは違うのだ。
安全な場所から、一方的に矢で仕留める。
仕留め損なったら予め準備していた罠へと誘導したり、なんなら気づかれない内に逃げたりと、基本的に選択肢を多く準備し、安全を優先して買うものが狩りだ。「じゃ、おさらいしましょうか。今の段階で、発情の有効射程は大体3メートル程度。言い方を変えればお互いがお互いを認識できる距離ね」
「はい。弓矢で戦う距離じゃないってことはわかっています」
「よろしい。発情反応はモンスターによって違うけど、人間にとって色んな意味で危険であることは共通しているってことは覚えておきなさい」
「はい。覚えておきます」
とはいえ相手はスライムだ。
個体によって大きさに差はあるが、小さいヤツなら気づかぬうちに足で踏みつぶしていたなんてこともある最弱のモンスター。滅多なことにはならないだろうし、襲い掛かられてもどうにでもなる。「ま、油断はしないことね」
そういってアルエ様は姿を消した。
「さて」
弱い魔物とはいえ、戦闘は初めてだ。
最弱と言われているスライムだが、こちらに気づいている様子もなく地面を這いずっているヤツはそれなりに大きい。大きいということはそれだけ質量を持っているということ。
実際の重さはわからないが、あの身体で体当たりでもされたら普通に痛いだろう。発情の有効射程は3メートル。
カーラさんに使ったときは詠唱だなんだも必要とせず、いけと思ったら発動していたように思えるし、対峙してすぐ使えば良いだろう。「……ふぅ」
わかっていても緊張はする。
腰に差したナイフを手に取ろうとすれば手汗でぬるりと滑った程度に。大丈夫、大丈夫だ。
発情が成功しなくても、落ち着いてコレで切りつければいいだけ。 一回か二回くらい体当たりされてしまうかもしれないが、死ぬほど痛いわけじゃない。「――よしっ」
覚悟を決めて、スライムの前へと躍り出る。
「――!?」
驚いたのか身体を波打たせた後硬直するスライムに向けて。
「――
口にする意味はないけれど、なぜか口に出してしまった。
そして。
「あ……れ……?」
がくんと膝の力が抜けた。
「な、んだ、これ?」
立っていられない、気づけば地面の感触が頬に伝わってきて。
あぁ、もしかしなくても俺、倒れてる。
そう、自覚した。
「す、すらいむ、は?」
ぼーっとする頭、言うことを聞かない身体。
何とか頭を動かして、近くにいるだろうスライムを探すと。「――」
「え、えぇ……?」
3メートルの距離を詰めて、俺の様子を伺っているのか目の前にいた。
あぁ、これはまずいな。
直感した。
スライムの人の害し方なんて、さっきから考えていた体当たりくらいしか知らないが、これは不味い。「――」
食われる。そう思った。
目の前にいるのはスライムという名の捕食者だと本能が俺に伝えてくる。それは、つまり。
「発情は……成功した、ってことか」
そういうことだろう。 そしてその考えが正しいことを証明するかのように。「あ――」
スライムが、ぽーんと上空に飛び跳ねて。
「う、わぁあああああっ!?」
「――」
いただきますとでも言うかのように、身体を広げて俺に覆いかぶさってきた。
「皆、ハラは膨れたか?」「ぴっ! ……ぴ、ぴぃ?」「っ! ご、ご主人、様?」「ディータ、様?」 ネスト前でのバーベキューも終わったか、満足してもらえたならうれしいものだ。 結構カーラとの交わりは長い時間がかかったと思っていたけど、いいタイミングだったようだな。 いち早く俺が顔を出したことに気づいたスラピィ、フォウ、ハルの三人だが。 嬉しそうに顔を向けてきたものの、おかしいな? なんて首を傾げる。「食欲が満たされれば次は……なんて行きたいところだが、その前にやりたいことがある。フォウ、お前はマウンテンウルフたちを集めて俺の前に整列させろ。ハル、お前はハーピーたちをだ」「わ、わふっ! かしこまり、ましたっ」「は、はいっ! すぐにっ!」 慌てて駆け出す二人を見送る。 去り際、二人の頬が妙に赤くなっていたけど、なんでだろうね。「スラピィ」「ぴ、ぴぴっ」 ぴょんっと前まで来て、心なしか敬礼でもしているかのような。 ピシッとしてる雰囲気が伝わってくる。「そう固くなるなって。ほら、おいで」「ぴ……ぴぴー♡」 肩を叩けば一瞬躊躇した後飛び乗ってきて、やっぱりいつものマスターだ、なんて安心したように頬へ身体をこすりつけてきた。「ダンジョンを作るための準備が整ったんだ」「ぴっ」 眠っていたカーラだけども。 徐々に身体が透けていって、アルエいわくの精霊体へと変化していっている。 カーラが自分をダンジョンコアであると、頭でも心でも受け入れ定めた証拠だそうな。 今後、ダンジョンの中でしか生きられないし、基本的には触れること、触れられること叶わない精霊化している状態が常になる。 魔力を使えば一時的に実体は得られるが、半日くらいが限界で。 身も蓋もないことを言えば、俺とのセックスで魔力を補給するときのみ実体化できる。「スラピィ。俺はな、ダンジョンマスターになるよ」「ぴぴぃっ!」 はい、存じ上げております、だろうか。 同時に、心より喜び申し上げますって感じ。「同時に、な。スラピィ。魔人にもなろうと思う」「ぴ、ぴぃ?」 言わんとしていることが理解できない様子だけど。「人間でもない、モンスターでもない、その間に存在して、欲しいもの全てを手に収めようと思う」「ぴ――」 肩に乗っているスラピィの身体が、ふるりと一瞬、痺れたように震
「あえっ!? あ、あー♡ あうぅ♡ あっ♡ ぱんぱんっ♡ しゅご♡ しゅごひよぅ♡」 バックから見ればやっぱりいいケツだと実感する。 フォウとは別の意味で腰の打ち付けがいのある、とでも言えばいいのか。 比べるのはデリカシーがない? そういうのはもう終わったんだよ。「んにゅっ♡ うえぁっ? あう♡ あうっ♡ あいっ♡」「さっきまで処女だったやつが、んなエロい腰振りすんなよ……なっ!」「んぃいぃいいっ♡♡♡」 べちんべちんと腰を突き込めば、ぷるりとケツ肉が波打って。 腰を引けば、離れたくないとでも言うかのように、膣肉がめくれるように引っ付いてくる。 イチモツの形状変化は既にやった。 普通にセックスしたからこそだろうが、今までで一番相手のツボに適応した形に出来たという自負がある。 それを証明するように。 今やもう、どう動こうがカーラの口から放たれるのは快楽に染まった声のみ。「も、もう♡ らめ♡ むり♡ むりだか、らぁ♡」「――発情」「ま゛っ♡ また♡ またきちゃったぁぁ゛ぁ゛♡」 絶頂を迎えれば発情をかけて、快楽から逃さない。「んぎゅっ♡ あえ♡ あえぇあぁ♡ し、しんじゃう♡ ぼ、く、もう♡ しんじゃう、よぅ゛♡」「あぁ、お前を殺すよ。堕とすと言っただろう? 人間と、きっちりさよならさせてやる」「んいぃい゛い゛ぃぃっ♡♡♡」 髪を引っ張って、仰け反った身体をそのままに。 ちらりと見える顔、その口からはだらしなく舌がてろりと出ていて。 俺はメスじゃないから、どれくらいの快楽に犯されているのかはわからないが。「おぉ゛ぉお゛ぉおっ!? らめっ♡ らめらえっ♡ しぬ♡ あたま、まっしろ♡ ばちばち♡ してぇ♡」 オスであっても得られるこの快感。 もう何度射精したか覚えていない。 というより、数えられない程無自覚に、無責任に子宮を白く汚している。 メスのほうが何倍ものモノだと聞いたことはあった。 それが真実であるなら、きっと俺なら耐えられないだろう。「――魅了」「う――ぁ♡」 耐えさせない。「あ、あ、あ――♡」 カーラは俺に対する感情を恋じゃないかもしれないと言った。 それはダメだ。 身体も、心も、ありとあらゆるこの女全てを俺のモノにする。「ふぎゅっ♡♡♡」「さぁ、カーラ? お前にとって俺は、何だ?」
「んんっ……れぇ、ん、ふ……♡ すご、いね♡ 男の人の、舌って、熱いんだ♡」「カーラのも、ねっとりして、柔らかくて、凄く熱いよ」「やぁ……♡」 なんとなく、だけど。「それに、凄く、気持ちがいい」「あ、ぅ♡ ボ、ボクも♡ だ、だから――んむっ♡ んちゅ♡ んれぇ♡ おいひ♡ でぃーた、くんの♡ おいひい♡」 人間を人間として抱くっていうのはこれが最初で最後になるんだろうな、なんて思う。 発情も、魅了も、魔法は一切使っていない。 なんならより深くキスを交わすために形状変化を試みたりもしていない。 カーラはこれを人間としての思い出といったが、俺自身にとってもそうだ。「んんっ♡ れろ、れぇ♡ んちゅ♡ んぶ♡ でぃーた、でぃーた♡ くぅん♡」 甘えるように舌を絡めてきて、気づけば俺もカーラを抱きしめていて。 性隷魔術に目覚めていなければ、もしかしたらなんとなくお互いに惹かれ合って、結ばれるなんて未来があったのかもしれない。「っぷぁ……未練、だな」「でぃーた、くん?」「なんでもないよ、カーラ。それよりも」「え? ……あっ♡」 背に回していた手をカーラの大きな尻肉に這わせる。「んん……♡ な、なんか、やらしい、ね?」「やらしいこと、してるんだよ」 ハリなんかはフォウの方がある。 カーラの尻は、揉むっていうよりは吸い込まれるとでもいうのか、手に吸い付いてくるような触り心地だ。「……むー」「な、なに?」「ほかの女のこと、考えたでしょ」「……ごめん」 デリカシーがなかったな。 女の勘ってやつは、やっぱり侮れないものらしい。「悪かったってば」「つーん。知らないもん」 特別な想いを寄せていたわけじゃなかったけど、可愛いじゃないか。 肌を重ねれば情が移るとはよく言ったものだよ。「カーラ。どうすれば、許してくれる?」「……じゃ、じゃあ、ね?」 ちらりと期待のこもった目を向けて、俺の耳元で小さく。 ――いっぱい、気持ちよくして? なんて、おねだりをしてくれた。「わかった、任せとけ」「や、優しくもだよ!? ボ、ボク、初めてなんだか――ひゃう♡」 是非、応えてしんぜよう。 尻をつかんでいた指を、尻肉の割れ目を肉壺にむけて這わせれば、カーラはくすぐったかったのか、それとも未知の感覚に驚いたのか背をのけ反らせた。「えう
さて、問題のカーラさん。「くー……すー……」 流石にネストの中に余分なベッドやら寝具はないから、草木を布で纏めたものを敷き布団に、荷物を包んでいた布を掛け布団代わりに眠ってもらってる。 布が薄いもんで、カーラさんの胸先にあるぽっちが呼吸に合わせて上下しているのを見ると、なんともむらむらして大変だ。 というかアルエ様いわくの調査は、服ひん剥いて全裸でなきゃならなかったんですかね……一歩間違ったら凍死じゃないですか。 いやいや、問題はそこじゃない。 この人をどうするか、ってことだ。「ハルピュイアの生まれ変わり、ねぇ」 調査の結果は聞いた。 カーラさんは精霊契約の儀式で、祖先であるハルピュイアを降ろしたことに間違いはないらしい。 本当にハルピュイアの血を引いてる人間がいるんだなって、年寄の戯言が真実だったことに対する驚きが強い。 エリアキーパーだったハルピュイア、霊鳥だなんて言われているがモンスターに変わりはないわけで。 つまりは、モンスターと人間の間に子供ができて、脈々と血が受け継がれてきたということだ。 もしかしたら、エリアキーパー信仰ってのは、そういうことなのかもしれない、なんて。 ……いや、そんなことは今考えるべきことじゃない。「ダンジョンコア化する、か」 そんなカーラさんが持つ魔力は膨大で。 ダンジョンコアに問題なくできるなんて、妙なお墨付きをもらってしまった。 はっきり言って、渡りに船、棚からボタ餅だ。 レグニー山脈みたいな天然の要塞に難なく来られて、都合の良さそうなハーピーネストに案内されて。 ここをこのままダンジョンとして拡張できれば、難攻不落の高難易度ダンジョンマスターとして君臨できる可能性は高まる。 カーラさんを毒牙にかけることに抵抗もない。いや、ダンジョンマスターになると決めた以上、責任という名の下あってはならない。 確かに村一番の美人ってだけあって、お相手をと願う気持ちはあったが、スラピィやフォウ、ハルを抱いた後に見れば、何が何でもなんて気持ちは湧いてこない一面はあるが。 それ以上に、ここまでやっておいて、今更中途半端な選択肢を手に取るわけにはいかない。 それが犠牲の上に立つということだ。「生きたままの方が、出力はあがる。強力なコアにできる」 だから問題はどうやって生きたまま協力を取り付けるか
「き、貴様が……!」「招いた覚えもなければ、歓迎する気もないがよく来たな、アドバイン。今の気分はどうだ?」 ハーピーネスト、入口前の開けた場所。 山の天気は変わりやすいが、一時間前から快晴が続き、視界も良い。 そんな中、日光を反射するてかてかした趣味の悪い重鎧姿のアドバインが、指を震わせながら伸ばしてくる。「あぁ、認識阻害は使っていない。お前の屋敷からハーピーを奪ったのは俺で間違いないよ」「きさまぁっ!!」「あ、アドバイン様っ!!」 隣にいたのは討伐隊の指揮官だろうか。 10メートルは離れているというのに、駆けだそうとしたアドバインを押さえつけて宥めようとしている。 展開されている部隊の人数は15、16……18人ね。 ほかのヤツらは一番近い場所にある野営地の確保と、怪我人の治療にあたっている、か。「わ、ワシの! ワシのハーピーを! 返せっ! 貴様っ!」 あーあー目ぇ血走らせちゃってまぁ。 あの屋敷でハルを見せたのは失敗だったか? 完全に魅入られてる。「おいおい、そりゃ今この場で言うことじゃねぇだろうが。もうちょっとはらしいこと、言ってもらえねぇかな」「うるさいっ! ワシの! ワシのおっぱいを! メスを――ひっ!?」 喚くアドバインに向けて。「口の利き方に気を付けてくださいね? あと、私たちは皆、あなたのモノなんかではありませんし、なる予定もありません」「くっ……お下がりくださいアドバイン様! あれは、アレは! 先に確認したユニークモンスターの力を超えています!!」 俺の背後から現れた、ハルのウィングショットが放たれた。 威力は抜群……というか、刃のくせにアドバインの近くにあった岩が弾け飛んだ。「ハル」「申し訳ありません。出過ぎた真似を致しました」 ハルを制するように声をかければ、頭を下げた後しずしずと後ろに下がる。「……貴様、テイマーか?」 警戒しながら問うてくるのは指揮官さんだが。「さぁ? 俺にもわからないよ。でも、どうやらテイマーじゃあないらしい」 お前たちの言うテイマーではない、という意味でな。「何故、街を襲った」「襲った? 違うな、取り戻しに行っただけだ。害意は存在していたが、それ以上に家族を助けに行っただけ。その過程で確かに街へ被害は出ただろうが……先に仕掛けたのはお前たちの方だ。被害者面をした
「なるほど、スラピィが負けた、ね」 ここは通らないだろうなと思っていた道に相手が現れたことに関してはともかく。 あんなところを通ることができるんだ、相当な実力者だろうと心配していたことはそうなんだが。「いやぁ、なんというか。落ち着かせてくれないよね」 ルートAとBに関しての対応も終わって、一息ついていた気分を切り替えて立ち上がる。 色々驚きはあるし、思うところはあるが、ここで俺の前に立つってことは敵ということだ。 帰ってきたのは、カーラさんだった。 別所を映しているスラピィミラーの映像が消えてないってことは、生きているってことだが……まぁよくもやってくれたな。 どうやって目にもの見せてくれようか。 発情から手籠めにするくらいしか思い浮かばないが、村を出るときは効かなかったしどうするか。 ハルは帰ってくる皆の出迎えにいっている。超音波で呼べば来てくれるだろうが、うっとり状態で相手できるわけもないし……さて。「マスター、ミッションコンプリート。スラピィ、ただいま帰還いたしました」 なんて構えてみたものの、どうやらちょっと違うらしい。 いやそりゃ、捕獲完了したら帰りますって話だし? 目の前にいるのがカーラさんじゃなけりゃスラピィに違いないはずなんだけど。「あー……うん、お帰り、そんでありがとうさん。でも、ちょっと待ってくれスラピィ、俺は今混乱している」「待機命令受領。かしこまりました」 どういうことか、つまり。 カーラさんが自分のことをスラピィだと言って。 二足歩行で近寄ってきて目の前で両足をぴしりと揃えて気を付けしてるわけだ。 ……どういうことだってばさ。「困惑されていると判断。マスター、発言の許可を頂戴してよろしいでしょうか」「構わないよスラピィ……って、スラピィでいいんだよな?」「ありがとうございます。はい、スラピィはマスターのスラピィでございます」 喋れたの? なんて。 口をぱくぱくしながらアホ面してるだろう俺に向かって、自称スラピィは、くすりと笑った後。「スラピィの身体を薄く延ばし身体中へと張り巡らせ、この個体、カーラの身体制御を奪っております。一口で申し上げれば丸のみ状態にあると言えるでしょう、現在カーラの声帯を使用しこうして会話できております。マスターと直接言葉を交わせておりますこと、スラピィは、とても喜
街道から更に離れるよう森の奥へと進んでいく。 当たり前と言えばそうだが、魔物除けが施された場所から離れれば離れるほどモンスターと遭遇する可能性は高くなる。 ほぼ無害とされているスライム、あるいは魔物除けを何ら問題にしない強力なモンスターなら別だが、基本的にはそのモンスターにとって影響がない場所に生息しているものだ。「フォレストウルフ、かぁ……」 アルエ様は失敗しても危険はないと言っていたが、具体的なことは何も教えてくれなかったし一抹の不安が拭い切れない。 俺自身、魔物避けが施されている場所から、事前準備なしでここまで離れるのは初めてだし、何より目的はフォレストウルフ、警戒しすぎて
悪魔は嘘をつく。 正確に言うなら、意味のある嘘を呼吸するかのように平然とつく、かな。 逆に言うなら意味のない嘘はつかないってこと。 淫魔といえど、あたしも悪魔だ。 当然とは言わないし、これが普通だとも思わないけど意味のある嘘をつく。 だから、ディータに対してだって、もちろん嘘を重ねている。「くっ! スラピィの中、気持ちよすぎんだろっ!」「ぴっぴぴー♡」 魂の形が似ている。 それはあたしと、じゃあない。 というか、気づいていないのかしら? 妖精体とは言え、人間界とは文字通り次元が違う世界に住んでいるあたしを顕現できている異様さに。 たかが一度、スライムとは
スライムの中、あったかいわぁ……。「もがぼがっ! っぷぁ!」 顔の部分はそんなにスライムに包まれていなかったことが幸いして呼吸が許された。「し、死ぬかと思った……」 溺死は免れたものの、残念ながら身体は全く動かせない。 スライムの重さも感じるが、何よりこの……粘液? とでも言うか、ネバっとした感触が動きを遮ってくる。「――」「……で、どうしよう」 首から下に広がるスライム。 何をされるわけでもなく、なんだろう? なんかこう、抱きつかれているというか羽交い絞めにされているというか。「も、もしもーし?」「――」 残念ながら意思の疎通はできない様子。
「残念じゃがディータ。わしはお主を村の掟に従い追放せねばならん」「……はい」 ですよねー! なんて言いそうになる気持ちをぐっと堪えて神妙に返事をする。「ディータよ。何故精霊術を村の者に向かって使おうとした?」「……申し訳ありません、村長。それは、言えません」 手に入れた性隷術を試したかった、なんて口が裂けても言えないよね。 俺の返事を聞いて難しい顔をする村長。 もしかしたら、情状酌量の余地を探してくれようとしていたのかもしれない。「お主が理由もなく誰かを害そうとするわけがない。何か、理由があったのではないか?」 こういう時に普段の行いがモノを言うってもんなんだろう。 難







