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恋人の浮気相手は産後ケアリストであった件
恋人の浮気相手は産後ケアリストであった件
Author: 林中有圭

第1話

Author: 林中有圭
婚約披露パーティー終わった途端、彼氏の賀来篤史(かく あつし)は急いで産後ケアを予約してくれた。

予想出来なかったのは、産後ケアセンターのケアリストが私の恋人を狙っているという驚愕の展開。

二枚目、しかも高給料な仕事をもつ、優れた男性だと散々彼に媚びた後、

「年行ってるですし、産後の老化は激しいかもしれませんね」

茶化すような目で私を見て、女はそう言った。

私は怒りを抑えながら店から出ようとした途端、女はまだ大声出しだ。

「そう言えば、お客様先月も来ましたよね。娘を産んだばかりなのに、もうあのモデルさんと離婚しました?」

女が彼氏にくっついてる様子を見て、私は全ての予約を取り消し、その場で店から離れた。

1週間後、彼氏とあのケアリストがベットの上にいる写真が、私の住所に届いた。

連れっ子がいるだから結婚できないなど言われて、やがて彼氏との婚約は水の泡になった。

彼らが愛し合っている様子を見て、私は密かにある「プレゼント」を用意して、二人の披露の日に、その「請求書」という「プレゼント」を彼らに呈した。

私の家族――大塚家は確かにモデルの精子を借りて娘を産んだ人がいるが、あれは私じゃなく、同じく大金持ちの従姉だった。

しかも、彼氏は高給の仕事に就く理由――それは、彼のオーナーは他でもなく、私だったからだ。

婚約披露パーティーがやっと終わり、疲れきった私と彼氏の賀来篤史はようやく家に着いた。

「部長が言ったよ、今回の昇進枠も俺にくれるだって」

家に入った瞬間、彼氏は喜色満面で、私にそう言った。

彼の嬉しいそうなの顔を見て、私は事実に口を拭った。彼は早めに昇進した理由――彼が勤めている会社は、私の家族――大塚(おおつか)家の資産である。そして、私は大塚家唯一の跡継ぎだからだ。

「君は優秀だから、早めに昇進するのも当然のことよ」

私は微笑みながら、言い放った。

「結婚したら、お前は仕事を辞めて、専業主婦になろう。子供の面倒に手が焼けるし、俺が支えれば大丈夫だ」

言いながら、彼が私の手を握った。

「産後ケアを予約したんだ。今から見に行こうか」

拒む余地もなく、彼に車に乗せられ、産後ケアセンターに向かった。

子を産むのは軽い事じゃない。来年の事をいうと、鬼も笑う。

僅かに不快が感じるが、目的地の産後ケアセンターを見た瞬間、その不快は一瞬できえてしまった。

あれは姉さんが推薦した、この市内随一の産後ケアセンター。

彼も彼のやり方で、私のことを気遣いしている。彼の為にも、予約を取るべきだと、私は思った。

夜が遅いの原因で、産後ケアセンターの中一名の受付嬢しか居ない。

彼女はピンクのスカートを穿いて、胸元に名札が付いてる。

『高見玲子(たかみれいこ)』

顔に媚びた笑みを浮かび、彼女は私達に寄り付く。

どういうわけか、彼女はずっと篤史の顔を見つめている。

ふと、彼女は私の方へ振り向いて、表情が急に冷たくなった。

「お客様、こちらは高級店です。化粧もせず、パジャマの格好で当店を訪れると、ご主人の顔に泥を塗ると同然かと」

私は思わず愕然とした。彼氏の篤史も何も言ってないのに、受付嬢に言われる筋あいはないでしょ、普通に。

私が口を開く前に、針のような視線はまだ私に突き刺さってくる。

「お客様、見た目によると、ご主人のずっと年上ですよね。もしあなたが子供を産んだら、もっと老けて見えますよ」

高見は専門家みたいな口調でそう言った。

「外見は、十歳ぐらい行ってしまうかもしれませんね」

「しかも胸が小さいですし、きっと垂れますよ。お尻の方は元々垂れていますので、もっと醜くなりますわ」

一瞬の驚愕の後、堪忍袋の緒は遂に切れた。

産後ケアセンターの従業員なのに、言った言葉が女性を侮辱している。

産後の憂いを解消するところか、明らかに不安を助長する一方だ!

「それは違う、俺の方こそ年上だ」

私の怒りに気付いたのか。篤史は私の背中を撫でながら、彼女に言った。

高見は再び篤史に振り向く。唇に微笑みを湛え、セットのチラシを篤史に渡した。

「お肌綺麗ですね、まるで大学生みたいに若々しく見えます。よくトレイニングしていますよね?スタイルは素敵ですよ」
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