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第7話

作者: 狐坂
旭が南雲市を訪ねてきたのは、それから1週間後のことだった。

その日、私はちょうど療養病院を出たところで、兄のために買った薬の袋を手に提げていた。ふと顔を上げると、彼が道端に立っているのが見えた。

しばらくまともに眠れていないのだろう。瞳は赤く充血し、顎には無精髭が浮いていた。着ているスーツはきちんとプレスされているのに、彼自身はまるで魂を抜き取られたかのように、生気がなかった。

私を見た瞬間、彼の目が一気に明るくなった。

「糸」

私は足を止めた。

彼は足早に歩み寄り、私の手にある薬袋を受け取ろうと手を伸ばすが、私はそれを避けた。

旭の手が、宙で止まった。少しして、彼は何事もなかったかのように、低い声で言った。

「迎えに来た」

私は彼を見つめた。

「どこへ?」

彼は眉をひそめた。

「恵川市に決まってるだろう。お前のマンションは、もう更新しておいた。講堂の動画も処理した。もう誰にも拡散させない」

彼は早口だった。まるで、ひとつひとつ問題を片付けていけば、私が素直に一緒に帰るとでも思っているように。

「遥香は、恵川市から出て行かせた。抽選箱の件は、彼女に謝らせる」
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