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公爵家にて2

Author: をち。
last update Huling Na-update: 2025-05-12 16:34:06
慌ててソファに座り居住まいを正すアスナ。

なんとかギリギリ体裁が整ったところに、父が飛び込んできた。

「アスカ!戻ったか!従魔を連れていると聞いたが、真か?!どのような従魔なのだ?」

執事の話を聞いて急いで来たのだろう。珍しく髪を振り乱している。

その後ろから母、俺の従者のアリアとセリアが続く。

「アーク!少し落ち着きなさいな?おかえりなさい、アスカ」

「「坊ちゃま、お帰りなさいませ!」」

皆の視線が一斉にアスナに集中した。

「……失礼。お客人を連れているとは思わず……」

言いかけてふと何かに気付いたように目を見開く父。

「いや、それにしては魔力が……。もしや、彼が従魔か?」

アスナの魔力に俺の魔力が混じっていることに気付いたのか?さすが父だ。

一方、母は「まあ!とてもカッコいいのね!素敵!」と少女のような笑い声をあげた。

アリアとセリアは仇敵にあったかのようにギリリと唇を噛み締め、アスナを睨んでいる。

俺は「こほん」と咳ばらいを一つ。改めて皆にアスナを紹介した。

「あー……、みなに紹介しようと連れて戻りました。彼は俺の従魔、アスナです。

高位精霊に近い存在で実体がないため、従魔契約をし、俺とアスナの魔力を注いで器を作りました。

この実体はアスナの本来の魂の形に添ったものとなっております」

アスナが緊張した面持ちで立ち上がり、正式な礼をとる。

「初めまして。アスナと申します。わたくしはアスカ様の忠実なるしもべ。この命ある限りアスカ様にお仕えいたします所存」

うん。レオンの中にいるときに学んだのだろうか。文句の付け所のない、綺麗な礼だ。

「…………レオンハルト殿下とそっくりではないか。どういうことなのだ?」

言われると思った。どうしたって気付くだろう。

誰もが同じ疑問を抱いているようで、4対の視線が俺に向けられた。

うーん……そう言われても、俺にもわからんのだから説明のしようがない。

「あー……。たまたま?」

信じて貰えないだろうが、本当にレオンを真似して作ったわけではないのだ。

案の定、胡乱な眼差しになる父と母。

するとアスナがフォローしてくれた。

「どうやら私の姿は、王太子とそっくりの様子。しかしながら、これは私本来の姿なのです。

私はアスカ様の魂を追ってこの世界に渡って参りました。その過程で実体は失われてしまいましたが……。

アスカ様のおっしゃる通り、殿下と姿が
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  • 悪役令息に転生した俺は、悪役としての花道を行く…はずだったのに話が違うぞ⁈   レオンとアスナ

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