センター試験から二週間。二次試験の日がやってきた。「今日だな……」朝、総一は緊張で手が震えていた。「大丈夫?」リリムが心配そうに聞く。「ああ、何とか」「緊張してる?」「すごく」総一が正直に答える。「でも、やるしかない」「そうね」リリムが総一の手を握る。「わたしは信じてるわ」「ありがとう」「行ってらっしゃい」「行ってきます」大学の試験会場。多くの受験生が集まっていた。「すごい人だな……」緊張が高まる。カイも同じ大学を受験していた。「総一」「カイ」「お互い、頑張ろうな」「ああ」試験開始。小論文と面接が課されていた。「よし……」総一は全力で小論文を書いた。心理学についての課題。これまで学んできたことを、すべて出し切る。「終わった……」次は面接。「霧島総一さん、どうぞ」面接室に入る。三人の面接官が座っていた。「志望動機を聞かせてください」「はい」総一が答える。「私は、人を助ける仕事がしたいと思っています」「人を助ける?」「はい。高校時代、様々な人の悩みに触れる機会がありました」総一が経験を語る。「その中で、心理学の重要性を感じました」「なるほど」「人の心を理解し、支えることができる専門家になりたいです」面接官が頷く。「分かりました」面接は二十分ほどで終わった。「お疲れ様でした」「ありがとうございました」会場を出ると、カイが待っていた。「どうだった?」「まあまあかな」「俺も」「お互い、やるだけのことはやったな」「ああ」二人で研究所に戻る。「お帰りなさい」リリムたちが出迎えてくれる。「お疲れ様」「どうだった?」「全力は出し切った」総一が答える。「あとは結果を待つだけ」「そう」リリムが微笑む。「じゃあ、今日はゆっくり休んで」「ああ」それから、発表までの一週間。長く感じる日々だった。「そわそわするわね」リリムも落ち着かない。「ああ」「大丈夫よ」「どうして、そんなに自信があるんだ?」「だって、あなたは頑張ったもの」リリムが総一の手を握る。「結果は必ずついてくるわ」「そうだといいけど」そして、運命の発表日。三月一日。「今日だ……」朝から、総一は落ち着かなかった。「発表は十時よね」「ああ」「まだ時間あるわね」「そ
十二月も終わりに近づき、いよいよセンター試験が迫ってきた。「あと二週間か……」神崎研究所のリビングで、総一がカレンダーを見つめる。「早いわね」リリムも緊張した面持ちだ。「総一、準備はできてる?」「できてると思う」総一が答える。「でも、不安は残ってる」「当然よ。みんな同じ」「そうだな」その時、玄関のチャイムが鳴った。「誰だろう?」ヴェルダが出ると、カイと美優が立っていた。「こんばんは」「いらっしゃい」「今日は、みんなで最後の追い込みをしようと思って」カイが提案する。「いいわね」リリムが賛成する。「じゃあ、勉強会しましょう」四人でテーブルを囲む。「まずは過去問を解こう」総一が提案する。「賛成」それぞれが過去問に取り組む。静かな時間が流れる。「できた」カイが最初に終わる。「答え合わせしよう」結果を見ると、カイの正答率は八割。「すごいじゃないか」総一が驚く。「ああ」カイが嬉しそうに笑う。「美優ちゃんのおかげだ」「私は何もしてませんよ」美優が謙遜する。「してるよ」カイが真剣な顔で言う。「美優ちゃんがいなかったら、俺ここまで頑張れなかった」「カイ君……」「だから、ありがとう」「どういたしまして」二人が見つめ合う。総一も過去問を終えた。「九割か……」ま
楽しい夏休みが終わり、九月。二学期が始まると、受験ムードが一気に高まった。「もう九月か……」朝のホームルームで、担任の田中先生が真剣な顔で言う。「センター試験まで、あと四か月です」教室がざわつく。「四か月しかないのか……」「やばい……」「みなさん、本気で勉強してください」田中先生が続ける。「今からが勝負です」放課後、図書室。総一は参考書と格闘していた。「難しいな……」心理学部を目指すために、必要な科目を勉強している。「総一、大丈夫?」リリムが隣に座る。「ああ、何とか」「無理してない?」「大丈夫だ」でも、疲れた表情を隠せていなかった。「ちょっと休憩しましょう」リリムがお茶を用意する。「ありがとう」「最近、毎日遅くまで勉強してるでしょ」「そうだな」「体調崩さないでね」「分かってる」総一がリリムの手を握る。「お前が支えてくれるから、頑張れるよ」「当然よ」リリムが微笑む。「わたしはあなたの味方だもの」カイも必死に勉強していた。「美優ちゃんと同じ大学に……」美優の志望校は、偏差値が高い。カイにとっては、かなりの挑戦だった。「カイ君、この問題分かりますか?」美優が聞く。「えーと……」カイが考え込む。「こうかな?」「惜しいです。ここがちょっと違います」「そうか」美優が丁寧に教えてくれる。「こうやって解くんですよ」「なるほど」「分かりましたか?」「ああ、ありがとう」カイが感謝する。「美優ちゃんがいなかったら、俺もう諦めてたよ」「諦めないでください」美優が真剣な顔で言う。「私たち、一緒の大学に行くんですから」「ああ」カイが決意を新たにする。「絶対に合格する」週末、神崎研究所。「みんな、勉強頑張ってるわね」ヴェルダが心配そうに言う。「でも、無理してないか心配だわ」「大丈夫ですよ」総一が答える。「みんなで支え合ってますから」「そうね」リリムが頷く。「一人じゃないもの」「でも」神崎が真剣な顔で言う。「受験は本当に大変です」「知ってます」「特に、秋から冬にかけては追い込み時期です」「はい」「体調管理にも気をつけてください」「分かりました」その夜、勉強会が開かれた。総一、カイ、リリム、美優の四人で。「じゃあ、始めようか」それぞれが自分の勉
海から帰ってきて数日後。八月の半ば、地元で夏祭りが開催されることになった。「夏祭りか……」総一が呟く。「行きたいわね」リリムが目を輝かせる。「浴衣着て行きたい」「浴衣?」「そうよ。夏祭りと言えば浴衣でしょ」「そうだな」「じゃあ、みんなで行きましょう」こうして、夏祭りに行くことになった。祭り当日の夕方。「浴衣、着られた?」神崎研究所で、女性陣が浴衣の着付けをしていた。「はい」美優が可愛らしい水色の浴衣を着ている。「似合ってますよ」ヴェルダが褒める。「ありがとうございます」「麗奈ちゃんも素敵」ピンクの浴衣を着た麗奈が照れる。「本当ですか?」「本当よ」「リリムさんは?」「ちょっと待ってて」リリムが部屋から出てくる。赤い浴衣に金色の帯。髪もアップにして、簪を挿している。「わあ……」「綺麗ですね」「でしょ?」リリムが得意げに回る。「完璧よ」男性陣も浴衣を着た。「似合ってるか?」総一が照れながら聞く。「かっこいいですよ」美優が微笑む。「そうか?」「はい」カイも紺色の浴衣を着ている。「俺も似合ってる?」「はい。とても素敵です」美優が嬉しそうに答える。高橋先輩も、落ち着いた色合いの浴衣。「麗奈さん、待たせました」「いえ」麗奈が頬を染める。
受験勉強に励む日々が続いた後、ようやく夏休みがやってきた。「やっと夏休みね」七月の終わり、神崎研究所のリビングで、リリムが伸びをする。「疲れたわ」「お前も勉強頑張ってたもんな」総一が感心する。「当然よ。あなたのサポートですもの」「ありがとう」「でも、せっかくの夏休みだし」リリムの目が輝く。「どこか遊びに行きましょうよ」「遊びって?」「海よ、海」「海か……」「そうよ。夏と言えば海水浴でしょ」「確かに」「じゃあ、みんなで行きましょう」こうして、海水浴の計画が始まった。数日後、一行は海辺の町にやってきた。メンバーは、総一、リリム、カイ、美優、麗奈、高橋先輩、セラフィーネ、エリス、ヴェルダ、神崎、アルカード、ベル。「わあ、海だ」カイが感動する。「広い……」「綺麗ですね」美優も目を輝かせる。「早く泳ぎましょう」ホテルにチェックインして、着替える。男性陣は海パン、女性陣は水着に着替えた。「準備できた?」リリムが部屋から出てくる。ビキニ姿のリリムに、総一が目を奪われる。「お、おう……」「どう? 似合う?」「あ、ああ……」総一の顔が真っ赤になる。「可愛いよ」「ありがとう♡」美優も可愛いワンピース型の水着。「カイ君、どうですか?」「す、すごく可愛い」カイも顔を赤くする。麗奈はシンプルだが上品な水着。「先輩……」「麗奈さん、とても綺麗ですよ」高橋先輩が微笑む。セラフィーネ、エリス、ヴェルダも、それぞれ自分に似合う水着を着ていた。「みんな準備できたわね」リリムが宣言する。「さあ、海に行きましょう」ビーチに着くと、既に多くの人で賑わっていた。「すごい人ね」「夏休みだからな」場所を確保して、荷物を置く。「じゃあ、泳ぎましょう」リリムが海に向かって走る。「わあ、冷たい」「気持ちいい」みんなも海に入っていく。「うわ、しょっぱい」カイが海水を飲んでしまう。「当たり前でしょ」美優が笑う。「初めてですか?」「ああ、海水浴は初めてなんだ」「そうなんですね」「麗奈さん、泳げますか?」高橋先輩が聞く。「少しだけ……」「じゃあ、一緒に泳ぎましょう」「はい」総一とリリムは、少し沖の方まで泳いでいた。「気持ちいいわね」「そうだな」「ねえ、総一」「ん?」リリムが総一
四月も後半。高橋先輩が大学に進学して、麗奈との遠距離恋愛が始まった。「先輩……」放課後、一人で図書室にいる麗奈。いつも一緒にいた高橋先輩がいない寂しさを、強く感じていた。スマホに通知が来る。『今日も勉強頑張ってる?』高橋先輩からのメッセージだった。『はい。でも、先輩がいなくて寂しいです』麗奈が返信する。『僕も寂しいよ。でも、週末には会えるから』『はい。楽しみにしています』『愛してる』『私も愛しています』メッセージのやり取りだけでは、寂しさは完全には埋まらなかった。「麗奈ちゃん」リリムが図書室に入ってくる。「一人?」「はい……」「寂しそうね」「そうですね」麗奈が正直に答える。「先輩がいないと、図書室も違って見えます」「そうよね」リリムが隣に座る。「遠距離恋愛、大変でしょ」「はい。想像以上に……」「でも」リリムが優しく言う。「乗り越えられるわよ」「本当でしょうか?」「本当よ。だって、二人は愛し合ってるんだから」「愛……」「そうよ。愛があれば、距離なんて関係ないわ」「リリムさん……」「大丈夫」リリムが麗奈の手を握る。「わたしたちが支えるから」「ありがとうございます」週末。麗奈は高橋先輩と久しぶりのデートをしていた。「お久しぶりです」「麗奈さん」駅前で再会した二人は、抱き合った。「会いたかった…