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2.愛されない私と突然の異世界転身

last update Date de publication: 2025-06-04 10:26:28

「葵さんの気持ちは分かりました。しかし、私はあなたと男女の仲になるつもりはありません。私には好きな人がいます。本当はその人と一緒になりたい。だから本当は独身の方がありがたいのです。」

拒否されるなんて思ってもいなかった。穴があったら入りたいほど恥ずかしさでその場から逃げたくなった。

(これでは私が求めているみたい……。幸助さんは私が邪魔ということ?私がいなくなれば幸助さんはその方と結ばれるの?)

ハッキリと邪魔など傷つく言葉を言われたわけではない。でもその中途半端な優しさが余計に辛かった。幸助さんのために人生もこの身体も差し出す覚悟できたのに、いらないと言われてしまい私は途方に暮れていた。

少しでも幸助さんの役に立ちたいと掃除や炊事など家事に励んだ。薬草も少しずつ覚えていき、仕事でも支えていきたいと思っていた。

2年が経過し私は18歳になった。周りは結婚したら毎日のように身体を重ねるため半年もせずに子どもを授かっていた。2年も経つのに子どもがいないことを不審がる声も出ていて、次第に影で言うのではなく面と向かって言ってくる人も出てきた。頻度を尋ねてきたり下品な言葉を口にされることもあった。

(そうは言っても、幸助さんは私に指一本触れてこないのです……。)

全く触れてこないのに子どもが出来ることはないくらい私でも分かる歳になっていた。報われない思いを胸に一人涙したが、誰かに見られ幸助さんに悪い噂が流れる事を恐れ、人が滅多に来ない山奥へ向かうと遠くから人影が見えた。

「幸助さん……。」

「佐紀さん」

そこには夫の幸助さんと佐紀さんという女性が2人でいた。私の前で見せたことのない愛おしそうな優しい瞳で佐紀さんを見つめ微笑んでいる。

(幸助さん、、、、やはり私はいない方がいいのですね。)

ザッザッザッザッ

悲しみにくれて、全速力であてもなく林の中を走り彷徨った。そのたびに地面に落ちた葉が踏まれ音が鳴っている。そのうち、自分がどこにいるか分からなくなった。

(このまま帰れなくなるかもしれない……。でも幸助さんにとってはその方が都合がいいのかも。……私も一度は誰かに愛されてみたかった。あんなに優しい瞳で見つめられたかった。)

大木がところ狭しと並んでいるせいで、陽の光を遮断し辺りは暗く肌寒い。陽の光が当たる場所を求め私は歩き続けた。しかしいつまで経っても見慣れた景色も陽の光も見えてこない。その場に立ち止まり耳を澄ませるとどこからか水の音が聞こえる。

水の音がする方へと歩いていくと小さな滝が見えてきた。履き物を脱いで、汚れを落とすために中に入ってすぐのことだった。

ゴゴゴッゴゴゴゴゴー

突然、滝の底が竜巻のようにうずを巻き、すさまじい轟音と共に中心部に向かって水が吸い込まれていく。その勢いに抗えることもなく、圧倒されている間に私も一緒に滝の中へと飲み込まれていった。

意識が遠のく中で、今まで見たことの無い金色の髪に青く綺麗な瞳をした男性がこちらに向かって喋りかけてくる。

(自分を責めることはない、君は十分すぎるくらい素敵で魅力的だ……)

中道 舞夜

愛されなかった武士の娘が寵愛の国へ転身~王子たちの溺愛が止まらない~ 尽くす側から尽くされる側へ、そして転生は偶然ではなかった? 毎日22:22に更新中!気に入って頂けたら本棚登録してもらえると嬉しいです。

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