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4.龍愛の国の王子サラリオ

مؤلف: 中道 舞夜
last update آخر تحديث: 2025-06-04 10:26:40

「お助けいただきましてありがとうございました。」

サラリオの部屋に入るとすぐに私は床に膝と額をつけて頭を下げた。夫の幸助さんにお礼を言う時、見送りや帰りを出迎える時、私はこうして敬意を払っていた。

「何をしているんですか。頭をあげてください。」

サラリオは驚いた声で慌てて頭をあげるように言ってくる。不思議に思い顔をあげるとサラリオは私の目の前に駆け寄り膝をついて手を差し伸べてきた。

「お美しいお顔を床につけたりしてはいけません。」

(お、お、おうつくしい……??)

そう言って膝と額を優しく撫でたあと、手の甲にキスをしてきた。

「ひゃっ……」

「ああ、失敬。そなたの国では男性からこのようなことをしないのかな」

おでこや手の甲だけでなく男性にキスなんて今まで一度もしてもらったことなんてない。

「この国では女性を敬い、喜ばせるのは当然のことです。女性たちが輝いてこそ明るさや活力が生まれるのです。あなたのように床に顔をつけるなんてとんでもない。お美しい顔が汚れてしまいます。あなたはにっこりと微笑むだけで皆を幸せにするのです。」

(にっこりと微笑むだけで幸せにする……?そんな馬鹿な!!)

馴染みのない言葉に耳を疑った。

「ここはバギーニャ王国。父はこの国の王で、私は第一皇子のサラリオです。あなたは?」

「私は高岡葵と申します。日本から来ました。」

「タクヮァオクヮァ?」

「葵です。アオイと呼んでくださいませ」

「アオイね、これなら言えるよ。アオイの来たところは知らないな」

「信じてもらえないと思うのですが、私、山奥の滝にいたら急に渦を巻いて激流に飲み込まれてしまって……気がついたらここにいたんです。」

急に滝に飲まれた……こんな話を誰が信じるだろうと思っていたら予想外にもサラリオは納得した顔をしている。

「ああ、そういうことね。たまに水以外の物が飲み込まれるんだけど人が来たのは初めてだよ。」

(え、ええーーあっさり信じてくれるの???)

「世界中の滝や湖の水は、バギーニャ王国の泉と繋がっているんだ。ある条件が揃うと水の循環をするんだけれど今回はそれがアオイの国の水だったみたい。」

「それってバギーニャ王国の泉にいけば元いた世界に戻れるってことですか?」

「いや。水の交換は数年に1度でタイミングで行われるけれど、具体的な日にちも分からなければ、どこの国の水と循環するかも分からない。万が一タイミングがあったとしてもまた全然知らない国に行ってしまうと思うよ。」

「世界中だから、次にアオイの国と循環するのは360年後とかじゃないかな。」

サラリオはニコニコとしながら説明を続ける。

(360年……。次のタイミングまで生きていないよ。ということはこの国で一生暮らしていくってこと????)

私が混乱しているとサラリオは笑顔で近づいてくる。幸助さんが佐紀さんを見つめていたように優しい瞳で覗き込んできた。

「どうしたの、アオイ?アオイにとってここはそんなに嫌な場所?ここは女性を大切にする国でアオイに対して乱暴なことをしたり怖い思いをさせる人は誰もいないよ。僕がアオイのこと大切にするから側にいてくれないかな。」

サラリオは両手で私の手をギュッと握り、碧い瞳で優しく見つめてくる。私の背の高さに合わせるように少しかがみこんで、私の視界の真ん中に入ってきた。今まで経験したことのない距離感に私はドキドキが止まらなかった。

「サ、サラリオ様……。アオイ様が気を失っています。」

「おっと、悪いことをするつもりはなかったのだけれどビックリさせてしまったかな」

(葵のおでこにキスをしたら言葉が分かるようになった。そして滝に飲み込まれてここに来たと言っている……。国を引き継ぐものだけが知るあの言い伝えは本当なのか?そうだとしたら葵は……間違ってここに来たわけではないというのか?)

この時、サラリオは微笑みながらも国の後継者だけが知る伝説と重ねながら葵を見ていた。

(幸助さん、お父様、お母さま、急に帰らなくなってしまった私をお許しください。私は今金髪で慧眼の男性に保護されています。女性を大切にする国だそうで大切に扱われています。私はこの国で生きることになりそうです。……そして距離感や言動が初めての事ばかりで混乱と恥ずかしさで気を失ってしまったようです。自分の身が持つかとても心配です。)

 私はこれから起こる日本とは真逆の溺愛生活に戸惑いで気を失っていた。

中道 舞夜

愛されなかった武士の娘が寵愛の国へ転身~王子たちの溺愛が止まらない~ 尽くす側から尽くされる側へ、そして転生は偶然ではなかった? 毎日22:22に更新中!気に入って頂けたら本棚登録してもらえると嬉しいです。

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